03:「日の丸への思い」 3×3男子日本代表 青木 康平選手

「日の丸への思い」
青木 康平選手(東京サンレーヴス)

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FIBA(国際バスケットボール連盟)がオリンピック正式種目にすべく、世界的に始動した3×3(スリー・バイ・スリー)。これまでユース世代の国際大会はあったが、日本代表が集うFIBA ASIA選手権大会は今回が初めてであり、3×3日本代表チームが結成されたのも初めてのことだ。3×3日本代表選考は、全てのバスケットボール選手に門戸を開いてセレクションを行われ、当初はその参加者から選考する流れであった。しかし、本来であればJBL、JBL2、そしてbjリーグのファイナルズの時期だが、すでにオフシーズンを迎えたチームも対象とした中で、白羽の矢が立ったのが青木 康平選手だ。

青木選手はbjリーグが発足した2005-2006年から活躍し、全てのオールスターゲームに出場している唯一の選手。また専修大学4年時には、あえて仲間たちに苦言を呈しながらストイックに取り組んだ結果、見事にインカレを制しMVPにも輝いた。エリート街道を進むと思われていたが、JBLチームからのオファーはなく、当時アメリカでの人気が日本に飛び火しつつあったストリートボールへの道を選択。同じ志を持った仲間たちとともにFAR EAST BALLERSを立ち上げ、自分たちでその道を切り開いていく。誰にものとめられることのない自由なチームにも関わらず、大学時代同様にストイックに打ち込み、強さを誇示することで、その存在を認めさせる日々が続く。そんな紆余曲折なバスケ人生を送ってきたが、FAR EAST BALLERSを立ち上げてから11年。長い年月を経た今年、青木選手は3×3日本代表選手に選ばれた。

どの舞台であってもストイックさは変わらない。3×3日本代表に選ばれた以上、覚悟を持って勝ちにいく気持ちは固まっていた。だからこそ、「日本人同士ならば簡単に中に入って、ゴールまでいけてしまいます。でも、アジア選手権で対戦する相手には、そう簡単にいかないことは想定しなければならず、たった10分の試合時間であり、21点先取したら終わるルールの中で、どのシュートセレクションが良いかをすごく考えています。3Pシュートが2点、それ以外が1点と倍の点数になるので、やっぱりノーマークで3Pシュートを効率よく打てるようにしなければいけません。そう考えると中途半端な距離からのジャンプシュートはリスクが大きくなるのではないかとも思い、悩んでいます」と、悶々とした思いが駆け巡っている。24時間365日バスケットボールのことしか考えていない青木選手にとっては、3×3日本代表選手に選ばれたことは、同時に新たなる難題を抱えたことでもある。

日の丸を背負う思いが誰よりも強かった時代がある。2010年、JBAがbjリーグと覚書を交わしたことで、日本代表への門戸は開いた。当時の日本代表を指揮するのはトーマス・ウィスマン ヘッドコーチ。翌2011年には総勢42名を選出し、3つのグループに分かれた大所帯の日本代表となったが、青木選手が招集されることはなかった。そこから日本代表への夢や思いは封印するしかなかった。「僕はJBL選手と対戦をしたり、試合をしたことがなかったので、僕の力を図る指標のようなものがありませんでした。以前、日本vs韓国戦を見ましたが、僕はヤン・ドングン選手ら韓国代表クラスとは何度も対戦したことがあり、それなりに通用した部分もあります。その選手たちが日本代表戦で活躍しているのを見て、自分にもチャンスはあると思っていましたし、僕が入ることで起爆剤になれるのではないかなという思いはありました」と、悔しかった当時の思いを淡々と語ってくれた。

カテゴリーは違えど、3×3日本代表に抜擢されたことについては、「3×3日本代表になることを決めたひとつの要因は、やっぱり日本代表がオリンピックに出ないことには、バスケットボールが陽の目を見ることはありません。3×3ではそこにチャンスがあることを信じて、これをきっかけにバスケットボール界が良い方向に向かえれば良いと思っています」と、自分のこと以上に、バスケットボール界全体のことをいつも考えている青木選手らしい言葉だ。

第1回FIBA ASIA 3×3男子バスケットボール選手権大会へ向け、初の3×3日本代表選手になった先駆者たち。男子日本代表チームが掲げるコンセプトのひとつである「戦う軍団となるチーム作り」は、このメンバーにも備わっている。強い気持ちでどこまで勝ち上がるか。この大会の結果が、今後の3×3シーンの指標となる。

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青木 康平(あおき こうへい)
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生年月日:1980年12月13日(32)
ポジション:G
身長/体重:167cm / 75kg
出身校:長丘中→福岡大学付属大濠高→専修大
出身地:福岡県
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