09:「アウトサイドもある182cm」 女子日本代表 元山 夏菜選手

「アウトサイドもある182cm」
元山 夏菜選手(シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)

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平均身長177cmの女子日本代表候補選手12名は、現在、第2次強化合宿(アメリカ/ヨーロッパ遠征)を実施中。Wリーグで怪我を負ったために出遅れている昨年の日本代表でスターターを務めた間宮 佑圭選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)、高田 真希選手(デンソー アイリス)の間に割って入るのは、192cmの渡嘉敷 来夢選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)に加え、189cmの王 岑静選手(三菱電機 コアラーズ)。大型化が進む中、日本代表インサイド陣の競争は激しさを増している。日本における180cm台の選手はインサイドを本職とするのがほとんどだが、元山 夏菜選手(シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)や櫻木 千華選手(三菱電機 コアラーズ)ら、アウトサイドもある180cm台が頭角を現してきたことで、全体的な大型化にも期待が高まる。

女子U-18日本代表としてアジアを制し、女子U-19日本代表では世界の舞台に立った経歴を持つ元山選手。2009年に行われた第9回FIBA U-19女子バスケットボール選手権大会で8試合に出場し、12本の3Pシュートを決めた(12/32:37.5%)。しかし、所属するシャンソン化粧品では、ルーキーからの3シーズンで通算15本しか3Pシュートを決めていない。しかし迎えた4年目の2012-2013シーズンでは、これまでのキャリアと同じ15本の3Pシュートを1シーズンでクリア。「182cmながら3Pシュートを打て、走力にも期待している」と話す内海 知秀ヘッドコーチ。元山選手も「他のセンター陣に比べるとパワーは劣りますが、インサイドとアウトサイドの両方で動きながら足を使ってプレイすることを心がけています」と、第1次強化合宿でしっかりアピール。その結果、日本代表候補選手に初選出ながら、第2次強化合宿(アメリカ/ヨーロッパ遠征)の参加メンバーに残り、さらなるチャンスを手にしている。

元山選手はアンダーカテゴリーでの国際大会、そして2010年には24歳以下で構成された女子U-24日本代表にも選出され、チャイニーズ・タイペイで行われたウィリアム・ジョーンズカップにも出場した。これまでの国際大会での試合を通じて、3Pシュートへの手応えをどう感じているのだろうか。「まだまだ練習は足りていませんので、もっと入るようにすることはもちろんですが、まずは3Pシュートを打つ機会を増やしていきたいです。さらに、インサイドでももっと強くプレイできるようにして、中と外の両方を磨いていきたいです」と、二刀流宣言。プロ野球では珍しい二刀流だが、バスケットにおいてはよくある話。第1次強化合宿を終え、チームに求められるプレイは「練習中ではリバウンドでもコンタクトを強くしながらボールを獲り、素早く動けない相手がマッチアップした場合は外から3Pシュートを打ったり、またドライブすることもできますので、外からのシュートを狙いながら、カッティングからインサイドへ向かっていくプレイもできるようにしています」と認識しており、海外遠征でさらなるレベルアップに勤しんでいる。

初めて日本代表選手たちと生活し、気付かされたことがあると元山選手は言う。「本当に能力も高くて上手な選手たちばかりなのに、基本的な練習を毎日しっかりやっています。日本代表選手でもハンドリングから基礎練習を欠かさずやっていて、当たり前の練習を当たり前のように続けることの大事さを改めて勉強させられています。Wリーグで対戦していて、本当にすごいと思うような選手たちですが、合宿で一緒に生活をさせてもらって、試合ですごいと思うのは毎日基礎からしっかりやっていることが試合に出せているんだな、とすごく感じました」。ハビットスポーツと言われる通り、習慣(habit)が一番大切なバスケットボール。日本代表に選ばれるスター選手たちだからこそ、その重要性をよく知っており、練習そのものが習慣化されている。

日本代表にとっての新たなる習慣化として目指すのは、アジアの決勝に立ち続けること。アジア4強と言われる中国、韓国、日本、チャイニーズ・タイペイの4カ国。しかし、3位決定戦に回ることが多い昨今の日本の現状を打破するためにも、準決勝の壁を破って決勝へ進まなければならない。アジア予選では1枠しかないオリンピック出場権を勝ち獲るためにも、悪くても決勝に居座りたい。女子U-18日本代表では中国を破り、アジアの頂点に立った世代である元山選手は、「何で中国に勝てないのだろう」という疑問を抱く。「中国代表がアンダーカテゴリーの後に、どんな練習をしているのかを知りたいです」と話し、まだ見ぬ中国代表がどんなものなのか、そしてその差が生まれているアンダーカテゴリー以降の強化などに興味を抱いている。同じように、すでにアジアを制した経験もまた自信になっている。「私たちの代ではアジアで優勝していますので、もし日本代表12名に残ってFIBA ASIA選手権大会に出場できたら、絶対に負けたくないです」。

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元山 夏菜(もとやま かな)
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コートネーム:キラ(所属チーム:ミウ)
生年月日:1990年8月1日(22)
ポジション:F
身長/体重:182cm / 65kg
出身校:松戸MBC→牧野原中→昭和学院高
出身地:千葉県
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平成25年度バスケットボール女子日本代表チーム 日本代表候補選手 初選出
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