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【四国インターハイ/現地レポート②】男女1回戦 - 自分たちのバスケットを貫くことの大切さ –

2022年7月27日

 香川県高松市を中心とした「令和4年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(以下、インターハイ)」が開幕しました。初日のきょうは男子21試合、女子19試合がおこなわれ(うち1試合は中止)、オーバータイムあり、ハイスコアの打ち合いあり、僅差の大接戦ありと、見ごたえのある男女1回戦となりました。

 高松市総合体育館で行われた男子1回戦の第1試合で、北陸学院(石川)に敗れたのは新田(愛媛) です。しかし彼らは最後まで自分たちの持ち味であるモーションオフェンスを貫きました。近年、オンボールスクリーンを使ったハーフコートオフェンスが主流になっていますが、新田は広いスペーシングからのパッシングとカッティングを駆使した動きのあるバスケットを遂行しました。

 その理由について、チームを率いる玉井剛コーチは「私たちは全体的に身長が小さいので、オンボールスクリーンをしても、相手にスイッチディフェンスをされると抑えられてしまうのではないか。ならば、パスとカッティング、つまり私たちなりのモーションオフェンスをやりたいと考えたのです。選手たちもその考え方を理解してくれていて、自分たちの小ささを動きで補おうとしています。結果として今日の試合は負けましたが、選手たちは最後までよく自分たちのバスケットを表現してくれたと思います」と言います。
 その言葉どおり、第2クォーター以降、じりじりと離される展開になりながらも、新田は最後まで自分たちのバスケットを貫こうとしていました。

 そうして今の自分たちにできるバスケットをやりきれば、もちろん負けた悔しさは残りますが、自分たちへの後悔は残りません。むしろ伸びしろへの期待が募るばかりです。
「自分たちのやりたいバスケットができた時間帯もありました。まだウインターカップもあるので、それまでに自分たちのバスケットができる時間帯を長く作れるように、これから練習していきたいです」
 15得点・11リバウンドのダブルダブルを達成したポイントガードの #2今西奏斗選手もそう振り返っていました。

 また、Cコートの2試合目に登場したのは、インターハイ“初出場”の福島東稜です。
 同校の男子はこれまでにインターハイに5回出場していますが、ここで紹介するのは同校の女子です。しかも彼女たちの初めてのインターハイの対戦相手は、過去にウインターカップで優勝経験のある大阪桐蔭でした。

「とんでもないブロックに入ってしまったなと。大阪桐蔭さんをはじめ、周りは全国区のチームばかり。私たちは初出場。本当に試合ができるのかな? それが組み合わせ当初の率直な感想でした。でも、選手たちととにかく一生懸命練習しよう、胸を借りるつもりでやろうと言ってきました」
 福島東稜を率いる古川清春コーチはそう振り返ります。しかしインターハイは初めてながら、昨冬のウインターカップに下級生中心のチームで初出場を果たし、そこで2点差で敗れる悔しい経験はすでにしています。

「選手たちは本当に悔しかったようです。『あっという間にウインターカップが終わってしまった。何もしないで終わった』と言っていたので、トーナメント形式の大会では『自分たちの出したいものを出さなければ、あっという間に終わってしまうものだよ。40分ってすごく早いんだよ』と言い続けてきました。だから今日のゲームは、自分たちのバスケットを出し切って、楽しもうと言ってきたんです」
 古川コーチのその言葉を受け止めた選手たちは、日々の練習にも意識改革を実行し、結果、今日の試合で全国初勝利を掴み取りました。
 そんな福島東稜の2回戦の対戦相手は京都精華学園(京都)。昨冬のウインターカップのファイナリストであり、今年度の注目校のひとつでもあります。

 しかしポイントガードの#5浅沼早英選手はその名前に気圧されることもありません。
「私たちはいつでもチャレンジャーの立場ですし、私たちの代から福島東稜の新しい歴史を築いていくことが目標でもあるので、その思いを曲げずにプレーします。自分たちの持ち味であるリバウンドやベンチでの盛り上がり、プレーの激しさも曲げずに、私たちのバスケットを貫いてできたらいいなと思っています」

 敗れるにせよ、勝つにせよ、自分たちのバスケットを貫けば、試合後の達成感はその胸のなかに残ります。新田がそうであったように、福島東稜がそうであったように、明日以降も自分たちのバスケットを見失わずにプレーし続ける夏の高校生たちに注目したいと思います。