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FIBAオリンピック世界最終予選 大会第3日目 現地レポート

2012年6月28日

 ロンドンオリンピック世界最終予選 第3日目。予選ラウンド最終日も4試合が行われましたが、そのうち勝敗によって決勝ラウンド進出が決まる試合は、グループAの日本vsプエルトリコ戦のみ。他のグループはすでに予選ラウンドを通過した2チームが決まり、それぞれ順位を決める試合。がけっぷちに立たされた両チームの対決は、序盤から攻守ともに積極的にプレイした日本が勝利し、8番目となる決勝ラウンド進出チームに決まりました。

 トルコ戦での敗戦から一夜明け、しっかり気持ちを切り換えて臨んだハヤブサジャパン。開始早々からディフェンスを頑張り、速攻を出す日本らしいバスケットを展開。オフェンスでは#5髙田、#6間宮が強気でインサイドを攻めて得点につなげ、守っては警戒すべき相手のガード陣をしっかりカバーリングするチームディフェンスで抑え、序盤は12-4と日本がペースを握ります。交代して入った#8田中の3Pシュートも当たり、第1ピリオドを終え、19-11と8点リード。しかし第2ピリオドになると、リバウンドを拾い、良い形でノーマークを作ってシュートを打つも一向に決まらず、逆にプエルトリコの反撃を受け30-28と2点差まで縮められ、前半終了。

 ハーフタイム中、「ディフェンスをしっかり頑張って、自分たちの得点につなげよう」という内海 知秀ヘッドコーチの指示を受けて入った第3ピリオド。立ち上がりこそプエルトリコにシュートを決められ早々に逆転を許しましたが、#13大神が攻守にわたりチームを鼓舞し、再び日本がリズムを取り戻して第3ピリオドを終えた時点で52-43。#6間宮が最後まで強気でアタックし、ファウルをもらって点差を離し、#7矢野が連続3Pシュートを決めると68-51。この試合最大となる17点のリードを奪ったハヤブサジャパン。終盤はプエルトリコの猛追を受けましたが79-70で振り切り、今大会初勝利を収めました。通算成績1勝1敗、グループA2位で、決勝ラウンド準々決勝への進出を決めました。

 試合後の内海ヘッドコーチ、選手のコメントをご紹介します。

内海 知秀ヘッドコーチ
 プエルトリコは非常に個人技が優れた選手がおり、タフなチームでした。特に6番と8番の選手たちのトランジションをどう抑えなければいけないかということを重点に置き、今日の試合を戦いました。その中でディフェンスが機能し、第1ピリオドに先手を取れたことで少し落ち着いたゲームができました。しかし、第2ピリオドは我々のシュートが入らなかったこともありましたが、プエルトリコのオフェンスが決まり、タフなチームであるという印象を受けました。後半はディフェンスをしっかり頑張って自分たちの得点につなげようと話してゲームに入った結果、良いゲームができました。終盤、プエルトリコの追い上げは我々にとっては脅威ではありましたが、それを凌げたことは良かったです。

#13 大神 雄子キャプテン(JXサンフラワーズ)
 世界最終予選は、1つの試合に勝つことで勢いを付けられる大会だと思っています。昨日の試合を負けた後、全員で修正して臨めた今日の勝利は本当に大きな1勝です。自分たちでつないだ、また皆さんにつないでもらった次のステージへ向けても、今日の1勝は本当に大きかったと思います。みんなでつないだ次へのステージです。この道は自分たちしか進めないので、諦めずに戦っていきます。

#7 矢野 良子選手(トヨタ自動車 アンテロープス)
 ひとまず「つないだ」という感じです。まだ次の試合がありますし、まだオリンピックを決めたわけではありません。試合に勝ったことはうれしいですが、まだ喜んでいられない気持ちです。今日の試合の入り方は良かったのですが、途中で相手に点差を詰められてしまい、昨日に引き続き悪い内容もありました。その点を出さないようにしていかないと、試合がなかなかペース良くつかめません。特に日本人はずっと足を止めずに動かしていないと、ちょっとずつディフェンスがずれてしまいます。自分は後半から出た分、元気でしたので、とにかく走ろうと思ってコートに出ました。それで周りが動いてチャンスを作れれば良いですし、自分が開けばシュートを打っていこうと思っていました。結果として、シュートがつながることになり良かったです。みんなが動いていかなければいけないことを、もっともっと強く思いました。

#8 田中 利佳選手(JXサンフラワーズ)
 昨日の試合が終わってから「これまでで一番最悪の出来だ。このままでは明日も負けてしまう。そうなったら日本に帰れないぞ」と丁コーチには怒られました。この試合の前に、大神選手が「昨日のことは忘れて、今日の試合に集中しよう」とミーティングで話し、もう一回、気持ちを出していこうと言って試合に臨んだことで、今日は良い入り方ができました。最後は少しやられてしまいましたが、午前中にプエルトリコのガード陣の対応の仕方を練習したことがうまくできました。昨日の試合で3Pシュートが入らなかったので、今日は入ると思っていましたし、大丈夫だと思って打ちました。明日はまた入らないかもしれませんが、運良く一日開きますので、次の試合も大丈夫だと思います。

#12 吉田 亜沙美選手(JXサンフラワーズ)
 今日負ければ終わりと言うことを、昨日の試合後も今日のミーティングでも言われていました。逆に勝てば、チャンスがあるということも言われ、チームとして強い気持ちを持っていましたし、絶対に負けないという気持ちがプレイに出たと思います。ディフェンスも良かったですし、リバウンドもセンター陣が頑張ったり、ガードとフォワードの選手もルーズボールを頑張ったことでファストブレイクを出せて、自分たちの流れができました。昨日の試合で固かった分、少し和らいだ感じもしましたので、今日の試合に勝てて良かったです。

#5 髙田 真希選手(デンソー アイリス)
 この試合を勝たないと次が無いので、まずはこの試合に勝つという気持ちで、出だしから強気でプレイしました。自分の方が高さがあり、コーチからも「インサイドから攻めろ」と指示された通り、ファウルをもらうこともできましたので、出だしは良かったです。間宮選手も中で攻めて得点もできていました。間宮選手がシュートまでいけない時には、自分もうまく合わせられるようにしていましたし、インサイドから攻めろと言う指示通りのプレイはできたと思います。

 日本が勝利したプエルトリコ戦後、グループBのチェコvsアルゼンチン戦が行われ、68-54でチェコが勝利を収めました。この結果により、準々決勝の対戦相手はチェコに決定しました。
 本日は大会休息日。次の試合は翌29日(金)、この日に運命のオリンピック出場権決定戦である準々決勝が行われます。この試合に勝った時点でオリンピック出場は確定し、勝利チームにとっての世界最終予選は早々に終わりとなります。チェコとは2010年FIBA世界選手権で対戦し、結果は60-66で惜敗。しかし、世界に大きく近づいたという手応えを感じた試合でもありました。あれから2年。再び世界の舞台で戦うハヤブサジャパン。オリンピックの舞台に出るためにも、倒さなければならない相手であり、これも何かの運命のような気がします。

 本日も多くの日の丸が観客席に掲げられ、ホームのような声援を贈ってくれた皆さん、ありがとうございました。また、日本からTVの前などでパワーを送って、応援してくださっている皆さん、本当にありがとうございます。
 オリンピックへの望みをつないだハヤブサジャパンへのさらなるご声援をよろしくお願いいたします。