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男子U16日本代表:エントリーキャンプ開催報告「U16は育成世代。教えるべきはメンタルの部分」佐古賢一ヘッドコーチ

2018年11月9日

ポイントガードとして指示を出すハーパー ローレンス Jr選手

3Pシュートを決める福田健人選手

 来年開催が予定されているFIBA U16 アジア選手権へ向け、11月7日(水)〜9日(金)の期間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて男子U16日本代表チームのエントリーキャンプを実施。34名の候補選手が参加し、年明けに行われるクリスタル・ボヘミアカップ(チェコ遠征)への出場メンバー12名を決める選考合宿となりました。

 新たにアンダーカテゴリー(U18〜U16)の指揮を執る佐古賢一ヘッドコーチは、「U16は育成世代」と位置づけます。男子日本代表のフリオ・ラマスヘッドコーチも「ただ単に勝つことを選択するのではなく、良い人材を見つけて、良いチャンスを与えて欲しい」と同じ意図であり、一気通貫での取り組みとなります。この育成世代に対し、「一番教えなければいけないのは、バスケットの技術以上にメンタルの部分」と佐古ヘッドコーチは考えています。U16がはじめての日本代表であり、その第一歩を踏み出すエントリーキャンプだからこそ、日の丸を背負って戦う気持ちの部分を大切にしていました。元日本代表選手として、現在はアシスタントコーチとしてFIBAワールドカップ、オリンピック出場へ向かっている戦いの中で得た経験を、このチームにも注入しています。

 メンタル部分を強化するためにも、「勝ちに行くことは絶対に求めていかなければならず、それがなくてはメンタルの重要性を説くことはできません」。一方で、結果として勝つこともあれば負けることもあります。佐古ヘッドコーチが目指すのは、「戦う集団」になることです。日本代表のユニフォームを勝ち獲る選考合宿も、選手たちにとってははじめての経験です。初日は「コンタクトもせず、外からシュートを打つだけ。遠慮して誰も何も言わない」状況でした。「戦う集団」になるためのメンタリティーを言い続けたことで、最終日には積極的にプレーし、選手たちは率先して声を出し、練習の雰囲気が一変します。「たった3日間の練習でも、これだけチームらしくなったわけです」と佐古ヘッドコーチも手応えを感じていました。

 選考合宿であり、最低限のルールだけを伝え、選手たちのポテンシャルを引き出すことを重要視。ポイントガードのハーパー ローレンス Jr選手 (福岡第一高等学校 1年)は、「スクリーンをかけるスピードやディフェンスで声を出すこと、ガードとしてチームをまとめていくためにも一つひとつのプレーを大事にすることを教わりました」と新たな発見があったようです。190cm以上の選手を招集して育成を図るジュニアユースアカデミーでは、ガードも務める191cmの福田健人選手 (石井町立石井中学校 3年)。今合宿ではスモールフォワードとして3Pシュートを決めてアピールします。しかし、反省点も多かったようで、「リバウンドやオフボールのところで動くことをもっと意識していかなければいけないと感じました。また、ハンドリングやシュート力など全部のレベルをもっと上げられるように普段からしっかり練習していきたいです」とさらなる向上心が芽生えています。

 ユース世代の強化・育成に以前から興味を持っていた佐古ヘッドコーチだけに、「ここに携わらない限りは何も語れないですし、ここにいる選手たちが次の日本代表につながっていく世代です。世界と戦いながら、成長させられることに携わることができたのはうれしいです」。チェコ遠征へ向け、今合宿を経て12名を選考します。しかし、そのメンバーがそのままFIBA U16 アジア選手権メンバーになるとは限らず、「今回選出されなくても、今後もチャンスがあるのでしっかり準備し続けること。ここに集まった選手全員のことはインプットした」と伝え、今合宿で学んだことを継続し、さらなる成長を促しました。

 今後、「日本全国を回ってさらに良い人材を自分の目で探していきます。ビッグガードになれるような素材をどんどん掘り起こしていかなければいけないですし、ここがスタートになります」とまだまだ選考は続きます。近藤義行チームリーダーは国内のみならず、「世界の隅々まで探して最高の日本代表を作って行く。今回12名に選ばれても、今度の努力不足や学校生活が良くなければ、すぐに切る」と約束し、今合宿は終了。日本代表へつながる新たなアンダーカテゴリーの強化・育成が元気にはじまりました。