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女子U16/U17日本代表:第1次強化合宿レポート「1〜10まで教えずに選手たちが考える余韻をしっかり残したい」藪内夏美ヘッドコーチ

2022年3月25日

176cmのポイントガードとしてチームを引っ張る佐々木凛選手

世界を視野に入れ、気づきの機会となった角田絆菜選手

 今年7月に開催される「FIBA U17女子バスケットボール ワールドカップ 2022」へ向け、2月22日に抽選会が行われました。4枚の出場権を懸けて「FIBA U16女子アジア選手権」が直前の6月に開催が予定されています。女子U16/U17日本代表は候補選手40名をエントリーし、3月22日から24日の期間、第1回強化合宿を実施しました。

 日本代表の入口となるこの世代に対し、藪内夏美ヘッドコーチは「選手たちにとって、頭も心も体もすべてにおいて、成長と学びの場になれば良いと思っています。いろんな状況ではありますが、日本代表としての育成活動は止めていけないと思っていましたので、合宿ができたことがすごくうれしく、選手たちも同じ気持ちで参加していると感じました」と話し、トップである女子日本代表のエッセンスを踏まえながら強化を図ります。

 身長や体格差で劣る日本が世界と戦うために、女子日本代表はすべてのカテゴリーにおいて「アジリティー」を求めています。藪内ヘッドコーチは、「速さ、機動力、途切れないオフェンスであり、その機動力と運動量で世界の大きさに対して補っていかなければなりません」という点を、ひとつの選考基準として評価しています。

 最年少となる中学3年生の角田絆菜選手(那覇市立安岡中学校3年)ですが、所属チームで学んだ「盛り上げることが大事」という教えを守り、積極的にコミュニケーションを取っていました。世界の高さや強さをイメージするところからはじまるこの世代であり、そのためにはこれまでとは違うプレーや役割を求められる場合もあります。「ブロックの練習をしましたが、世界ではもっと大きな選手を相手にしなければいけないことが分かりました。この合宿で練習したディフェンスの動きに合わせて状況判断する力をもっと鍛えていきたいです」といろんな気づきがあったようです。

 藪内ヘッドコーチは、ドリルでいろんなスキルを紹介したあとは、選手たちの自主性に任せていました。「1〜10まで教えたり、答えを教えたりすることは絶対にありません。練習の中で、ある程度は不完全で良いと思っており、それは選手が疑問に思ったり、考えたりする余韻をしっかり残したいからです。みんなが一糸乱れぬドリルになってしまうと、それは誰にとって良い練習なのかということを考えていかなければなりません。ある程度はできない選手がいても、見守るしかない部分もあり、そこは気をつけています」という指導方法により、角田選手のように自ら気づきを得る機会を与えています。

 今回選考された選手は159cmから193cmまでおり、平均身長は174.9cmです。佐々木凛選手(秋田県立湯沢翔北高校2年)はほぼ平均となる176cm。ゲーム前にポジション分けをした際、自らポイントガードを志願します。「秋田県内では大きい方」という佐々木選手ですが、ミニバス時代から担ってきたポイントガードとして存在感を示していました。この合宿では身長が大きい相手が多く、世界に出れば同じポジションでもさらに大きくなることをイメージし、「フィニッシュも工夫して打たないとブロックされてしまいました。そのフィニッシュに関しては、いろんなドリルで習ったスキルを意識していきたいです」と話し、プレーの幅を広げるきっかけとなりました。

 ポイントガードはヘッドコーチの指示を理解し、みんなに伝える役割であり、コミュニケーションも大事になります。特徴の分からない仲間と短い合宿期間内でチームワークを築くために、佐々木選手は「コーチから『チーム内で話し合って』と言われたときに、どうしても戸惑ってしまう選手もいるので、そうならないように自分から次のプレーについて提案したり、積極的に話すようにしていました」と言い、しっかりとリーダーシップを発揮しています。

 藪内ヘッドコーチはこれまでも「良い顔でプレーしよう」と選手に伝え、「バスケットが好きで、楽しいという気持ちを忘れて欲しくない」ことを心がけてチーム作りを行っています。その気持ちがあるからこそスキルを習得しようと意欲的に取り組み、きついことがあっても乗り越えられる原動力となります。「しかし、それは難しいことです。バスケットが好きなことと勝つことは、どうしてもイコールにならないことの方が多いです。でも、その両方を同時に追いかけていかなければ、育成にはならないと思っています」という信念を持って取り組んでおり、女子U16/U17日本代表もまたワクワクするようなチームを作っていきます。