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女子日本代表:オーストラリア遠征レポート「自信を持ってコートに立てる選手を増やしていくこと」恩塚亨ヘッドコーチ

2022年6月3日

オーストラリア代表に2勝1敗で勝ち越し、成果が見られた遠征

課題とともに自信を得ることができたとチームの成長を実感する髙田真希キャプテン

 女子日本代表はオーストラリア遠征を終え、無事に帰国の途に着きました。しばしリフレッシュした後、6月18日 (土)・19日 (日) に千葉ポートアリーナにて、トルコ代表を迎える「三井不動産カップ2022 (千葉大会) 女子日本代表国際強化試合」(チケット好評発売中 ※席種によっては完売)へ備えます。

 FIBA世界ランキング3位のオーストラリア代表を相手に3試合を行い、2勝1敗と勝ち越すことができました。遠征へ旅立つ前、「得点面での貢献度をもっと増やしていきたい」と語っていた東藤なな子選手(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)。昨年までの「20」から名前から由来する「75」へと新たな番号を背負って迎えた第1戦では27点を挙げ、公約どおりに得点面で貢献しましたが、試合は66-72で惜敗。

 続く第2戦は56-55、第3戦も69-67といずれも接戦を制し、2連勝を挙げました。「特に第3戦は、コートに立つ5人が同じページの上でプレーする機会が増え、すごくクリエイティブでシンクロしたプレーが表現できていました」と恩塚亨ヘッドコーチは手応えを実感しています。髙田真希キャプテン(デンソー アイリス)も、「スタートしてまだ間もないですが、試合を重ねるごとに少しずつ良くなっていきました。課題もたくさん見つかりましたが、自信を得られるものもたくさん見つかったので、そこを少しずつ良くし、伸ばしていきたいです」という成果が見られたオーストラリア遠征でした。

 『こういうときにはこうしよう』と選手同士が判断し、流れるようなプレーを恩塚ヘッドコーチは求めています。オーストラリア代表を相手に、目指してきたオフェンススタイルが見られた点について、このように説明します。

「今まではひとつの技術を深める、ひとつのセットプレーを深める、ひとつのフィニッシュを深めると、それぞれを深めていかなければいけなかったです。例えるならば、絵を細かく描いていくような感じでした。しかし今、女子日本代表が目指すのは、フレームレートを増やすような感じです。
 オフェンスのはじまりからフィニッシュまでの段階を踏んでいく中でさまざまな局面がありますが、その中に目的と原則を入れています。簡単に言えば、ボールマンがいつ攻めれば良いか、ボールを持っていない選手は何をすれば良いのかなど迷うシチュエーションに対して言語化し、みんなが共通のビジョンを持って動くバスケット手法に変えています。
 この新しい試みに対し、最初はいつもとは違うリズムだったために、選手たちも少し戸惑いがありました。それによって焦ってしまったり、味方の考えが分からなかったり、うまくいかなかったです。でも今回の遠征では、オフェンスでの局面の流れに対して、より動画が滑らかに再生されるかのようにフレームが増えたことで、選手たちはこのシーンだからこの動きをしようと考えて動くようになっています。絵の解像度を上げるのではなく、フレームレートを増やすような感じでバスケットを理解し、シンクロできる再現性を目指しています。
 これが実現できれば、みんながもっとバスケットを理解できるようになります。選手たちはいつ攻めれば良いのか、ボールを持っているときに何をすれば良いかと悩んでしまう問題があります。それを解決するためのバスケットを女子日本代表が表現し、選手のパフォーマンスを高めつつ、これをスタンダードにしていき、自信を持ってコートに立てる選手を増やしていくことを目指しています」

 原則を元に、選手たちがより良いプレーを選択することを求め、固定したセットプレーも用意されていません。それに対し、最初は不安に思う選手もいました。恩塚ヘッドコーチは「戦術=セットプレー」ではないことを強調し、「戦う力を高めるための術」と説いたことで、ワクワクするようなバスケットが表現できはじめています。

「戦う力を高めるために、滑らかな動きの中でこういう局面になればこういうチャンスができるので、そのチャンスを見逃さずにしっかりとつかめるようにしています。つかんだチャンスを生かす選手に対し、まわりの選手も自ら考えてサポートできれば、戦う力は必然的に高まっていきます」

 成長した女子日本代表を目の前で見られる三井不動産カップ2022。FIBAランキング9位(日本8位)のトルコ代表とは過去2回公式戦を戦い、いずれも敗れています(2012年オリンピック世界最終予選●49-65/2016年リオデジャネイロオリンピック●62-76)。今年9月に行われるFIBA女子ワールドカップで優勝を目指す女子日本代表は、「そこへ向けた準備を逆算して、戦略をチームに浸透させている段階です。オフェンスは手間をかけずにチャンスをしっかり得点につなげていくこと。逆にディフェンスでは、相手に手間をかけさせてスタミナを削っていくことで、日本の強みを出すことができます」と恩塚ヘッドコーチは特徴を挙げ、日本のファンの皆様の前で勝利を目指します。