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平成25年度U-15男子トップエンデバー開催報告

2013年11月26日

 11月2日(土)から4日(月・祝)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて「平成25年度U-15男子トップエンデバー」を開催しました。

 今年度の男子U-15カテゴリーは、これまでとは異なる要素を加えての再スタートとなりました。小池 一元コーチングスタッフは話します。
「これまでのU-14、U-15のトップエンデバーは『育成と普及』という目的に重きを置いていましたが、エンデバーコーチングスタッフ会議での話し合いの結果、今回からU-15カテゴリーでは「強化」の点も取り入れることにしました。今回の合宿に参加した選手たちがU-16以降の日本代表入りにつながるように、トップカテゴリーである日本代表チームでも必要とされている個々の技術をつけてあげることがねらいです。」

 その先にあるものはもちろん、7年後の東京オリンピックです。小池コーチングスタッフは、「オリンピックに向けて一つひとつ克服していかなくては、日本代表チームの長期間強化はできません。試合があるから頑張れ、では間に合わないわけです。ですから、日本代表でも課題に挙げられている1on1の強さ、体幹を含めたフィジカルの強さ、ピボットや突き出しの正確さといった点を、この世代で克服していこうという話になりました」と言います。

 今回重点を置いた技術は3点、「シュート」「ディフェンス」「合わせのプレイ」です。正確でスピーディに打てるシュート、ヘルプやボックスアウト、ディナイを強調したディフェンス、ピック&ロールを含めた合わせのプレイ。この3つの課題を、トーステン・ロイブル氏(JBAスポーツディレクター)を交えた特別クリニックで強調していきました。特にボックスアウトは、背中で抑え込むコンタクトから、リバースターン、リバウンドという従来の定石ではなく、一瞬のボディコンタクトからフロントターン、リバウンドという技術を指導しています。「世界で対戦することになる大きい選手に対しては、こういったプレイでいち早くボールを取りに行くことが重要なのです」(小池コーチングスタッフ)。

 日本代表につながる指導をテーマに掲げた今合宿。「国際ゲームではボディコンタクトでほとんど笛は鳴らない。強く向かっていこう!」(トーステン・ロイブルスポーツディレクター)、また「このトレーニングは日本代表選手も取り組んでいるものです」(川上 洋治トレーナー)、「中学3年生はU-18代表、早生まれの中学2・3年生はU-16代表のチャンスがあります。チャンスは自分で掴むもの。機会をしっかりものにしていってください」(大平 敦 男子U-16日本代表チームリーダー)など、各コーチ陣からも「世界」「日本代表」というキーワードが幾度となく言葉で伝えられました。

 コーチ陣の思いに応えたかのように、今合宿に参加した斉藤 諒馬選手(山形・河北町立河北中学校 3年)は「これからもっといろいろな技術を磨いていかないと、世界では戦えないと思いました」と、選手たちの意識も世界へと広がっています。また、柳川 幹也選手(広島・広島市立井口中学校 3年)は、「まずは年代別の代表に呼ばれて、2020年の東京オリンピックに出て活躍して、最終的にはNBAに行って世界一のプレイヤーになることが夢です」と、頼もしい心意気を語ってくれました。

 しかし、小池コーチングスタッフには懸念点もあると言います。それはファンダメンタルに対する意識と、その実践度についてです。
「最近のこの年代は小技のある選手が増えましたが、ファンダメンタルの部分が実は身についていないという選手がとても多いです。例えばドリブルのテクニックはたくさん持っているけれども、少しコンタクトされただけでボールを失ってしまったり、ディフェンスでしっかり守れているように見えて、実は簡単に外から打たれてしまったりします。各チームでもファンダメンタルの指導をされていて、選手たちも『自分たちは練習しているし、できている』と考えています。でも実際はできていないということがとても多いです。百歩譲って日本では通用しているとしても、世界の身体的にも能力的にも高いチームと戦ったときには通用しません。ファンダメンタルの練習は単純ですが、これが一番うまく、強くなれる近道だということを指導者も選手も理解して、実践していってもらいたいです」。

 苦労したメニューに腕立て伏せ、スクワット、体幹トレーニングら基礎トレーニングを行なった三森 啓右選手(中標津町立中標津中学校 3年)は、「これまでにも同じようなトレーニングに取り組んでいましたが、それが正しいものではなかったことを痛感させられた」と話しています。さらに「今までは崩れた姿勢で取り組んでいたので、正しい姿勢でやってみたら、すごくきつかったです」と苦笑い。その他の技術に関しても同じことが言えると、指摘しているのです。

 続けて、小池コーチングスタッフは、「育成年代から、トップエンデバーなどで全国から選手が集まった時に『この基礎はきちんとできている』という最低限のラインを上げていかなければなりません。」と言います。
 エンデバーから日本代表へと一本の太い幹を作り、強い日本代表を作るため――。日本の男子バスケットボール界は、大きな変革期を迎えようとしています。