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女子U16日本代表:エントリーキャンプレポート「女子日本代表の試合で見たディフェンスを少しでもここで体現できたらいいな」山田桜来選手

2023年3月23日

女子日本代表が世界に誇るディフェンスで存在感を示す山田桜来選手

積極的に1on1を仕掛けて練習の成果を試す阿部友愛選手

 今年7月に開催予定の「FIBA U16女子アジア選手権」へ向け、2022年度女子U16日本代表チームは3月20日(月)〜22日(水)の期間、最初の選考会となるエントリーキャンプを実施。約2週間前に行った女子U18日本代表エントリーキャンプ同様、ボールを持っていない選手に対するオフボールスクリーンを中心としたオフェンス強化に取り組みます。

 はじめての国際大会であり、はじめて日本代表を目指すこの世代。藪内夏美ヘッドコーチにとっても、はじめて見る選手も多い参加メンバー26名の特徴を見極めなければなりません。「あえて原則や絶対にこの動きが必要などとは言わずに、最低限のルールだけでプレーさせてみました。これは私にとっても挑戦です」という藪内ヘッドコーチは思いきってプレーさせます。いつもとは違うアプローチによって選手たちの可能性を引き出したことで、「いろんなプレーが見られました」と手応えを感じています。

 昨年はコロナ禍により、FIBA U16女子アジア選手権の開催が遅れたことで、続けざまにFIBA U17女子ワールドカップが行われました。1年前に2つの大会を経験したことを踏まえ、「もう少しここは日本らしく、または16歳らしく変更できる部分がありました。また、少し変更することによって相手が嫌がるプレーも勉強できたので、そこをうまく探りながら表現していきたいです」という藪内ヘッドコーチは、試行錯誤しながら新たなチーム作りがはじまりました。

 阿部友愛選手(聖和学園高校1年)は、「1on1からアタックするプレーを今は意識して練習しています。この場でどれだけ自分の力を通用するかを試すためにも、積極的に1on1をして行こうと思っていました」というとおりのプレーを見せます。同世代の日本トップレベルを相手にし、「やっぱりディフェンスのレベルがすごく高かったです。シュートに行くときのキャッチングが弱くてボールを取られてしまったり、ドリブルの技術がまだ足りないためにカットされたりしたので、そこは今後の課題としてチームに戻ってからも練習していきたいです」という発見が今後の成長につながります。

 山田桜来選手(札幌市立東月寒中学校3年)は、年明けに行われたJr.ウインターカップに出場したNORD BREZZA U-15では得点・アシスト・リバウンドとオールラウンドに活躍。しかし、このキャンプでは「背が小さいので、低いところのルーズボールを狙うことや前から当たるボールマンプレッシャーを意識していました」と話し、得意とするディフェンスで存在感を示します。

 同じ北海道出身でもある町田瑠唯選手(富士通レッドウェーブ)ら女子日本代表選手のプレーを見て来たからこそ、「ディフェンスで足を使ってがんばって流れを持ってくるというイメージがすごくあります。それを少しでもここで体現できたらいいなと思って、ディフェンスをまずがんばっています」と世界に誇る武器を発揮。キャンプ中はチームのルールづくりをメインにし、ディフェンスはまだ着手していませんでした。「自分たちで意識して前からディフェンスで当たってくれたこと、選手自身の内から出てくるプレーは一番強いので、そこは大事にしたいです」と藪内ヘッドコーチは評価し、女子日本代表から女子U16日本代表まで一気通貫の強化が体現されています。

 国際経験のない選手たちに対し、「相手は2メートルだよ」「そのパスは通らないよ」とコーチ陣は声をかけ、世界のライバルをイメージさせるところからスタート。フォワードの阿部選手は、「大きな相手に対して足元に入ってディフェンスすることやポールプレッシャーを強くするなど大事なことを学べました。身長が高い選手と戦っても、教わったことを出せば通用するのではないかと思いました」と意識改革から取り組んでいます。山田選手も、「上からのパスは絶対に通らないのでバウンドさせたり、シュートも簡単に打てないからフィニッシュを工夫したり、特にオフェンスでは細かい部分をもっと磨いていきたいです」という課題を持ち帰りました。山田選手ら中学3年生がメインであり、まもなく高校に進学します。カテゴリーが上がれば、国内でも体格差が出てきます。今回、世界を相手にするために学んだプレーが生かされることでしょう。