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男子日本代表:アジア競技大会[5-8位決定戦]日本 74-79 サウジアラビア「NBAアカデミーでエース級のプレーヤーにならないといけない」川島悠翔選手

2023年10月5日

アドバイスしながら、将来へ向けたターニングポイントとなるきっかけを与えるコーリー・ゲインズヘッドコーチ

トライ&エラーを重ねながら試合毎に積極性を増す西野曜選手

 「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」にて国際経験を積む機会も、残すはあと2試合。男子日本代表は様々なタイプの相手に対応し、そして昨日のチャイニーズ・タイペイにはそれを上回れてしまい、今大会初黒星を喫しました。負けたあとこそ修正点を洗い出し、気持ちを切り替えて臨むことが大事であり、それも経験です。しかし、5-8位決定戦のサウジアラビアとの試合は74-79で敗れ、この日も悔しい結果となりました。

 立ち上がりこそ10-2と流れをつかんだ日本ですが、先発メンバーがベンチに下がると風向きが変わります。その時間帯にコートに立っていた西野曜選手(横浜ビー・コルセアーズ)は、「相手のトランジションに対してコミュニケーションミスがあり、そこを止められずに点差を縮められてしまいました」と話します。さらに第2クォーター、ゾーンディフェンスに切り替えると、昨日のチャイニーズ・タイペイ戦同様に、サウジアラビアに3ポイントシュートを決められ、36-46と10点リードされて前半を終えます。

 ゾーンディフェンスの目的は、213cmのビッグマン#12 ALSUWAILEM Mohammed Ibrahim H選手への対策でした。作戦として、「打たせても良い相手を絞ってゾーンディフェンスを組みました。でも、その打たせて良い選手に決められてしまったので仕方なかったです」と西野選手はその状況を振り返ります。コーリー・ゲインズヘッドコーチも「正直言って、すべてを止めることは難しいです」と言い、大きな選手にポストでボールを持たれてしまったことで失点を許してしまいました。

 第3クォーターを終えても10点差は変わらず、55-65。ベンチに戻る川島悠翔選手(NBAグローバルアカデミー)と米山ジャバ偉生選手(富山グラウジーズ)をつかまえ、ゲインズヘッドコーチはアドバイスを送ります。これまでもいろんなアドバイスを受けてきた川島選手が、その内容を以下のように答えます。

「コーリーさんには今大会を通じて、トム(ホーバス)さんのバスケの考え方や自分の足りない部分など、本当にいろんなことを教えてくださっています。自分はジャンプパスをしてしまう癖があり、自分よりも小さい相手ならばそのパスも通りますが、それが通らなくなるとターンオーバーにつながってしまいます。ミスしないようにジャンプストップをするなど、しっかりとしたプレーが本当に自分は必要だなと感じています」

 平岩玄選手(アルバルク東京)がケガのためチームを離れてしまったことで、慣れないセンターを担う川島選手。「何センチも大きな選手を止めなければいけなくなり、チームでヘルプをしてもらっていますが、もう少し自分で外へ押し出すことが今回の鍵でした。でも、まだまだ足りなくて、相手のセンターに大事な場面でリバウンドを取られたり、得点を決められたりする場面がありました」と課題と向き合います。71-75、4点差を追う終盤には、シュートを外してしまいました。「ダンクに行けたとも思うので、力強くプレーしなければいけなかったです」と悔やみます。

 連敗しましたが、ゲインズコーチは「目的は経験を積むことであり、今は新しいこともたくさん試しており、それを次に生かすことができるかが大事なポイントです。最後まで戦い抜く『ジャパン・バスケットボール』を発揮することであり、その日本のスタイルを今日もしっかり出し切ってくれています」と述べ、着実に選手たちはステップアップしています。

 「いつもとは違うポジションなので、最初の頃はアジャストしきれなかったところもありました」という西野選手ですが試合を重ねるごとに積極性が増し、比例するようにプレータイムが伸び、サウジアラビア戦は後半の出だしから起用されました。良い経験はできていますが、「正直このまま終われば悔しさが残ります。あと1試合あるので、今日この瞬間から次の試合へ向けた準備をして、やるしかないと思っています」とラストゲームを飾れるように気持ちを切り替えます。

 高校3年生の川島選手は、サウジアラビア代表を相手にチーム最多タイの5リバウンドを取り、6点と毎試合スタッツを残しています。ディフェンスではフィジカルの差がありながらも4つのファウルにおさえ、及第点の活躍。ゲインズヘッドコーチも、「この試合は選手たちにとって、すごく良い経験ができました。特に悠翔のような若い選手にとって敗戦後は、気持ち的にもダメージは大きいと思います。でも、最後まで諦めずにトライし、我々の指示を遂行し続けてくれました」と評価するとともに、この経験が将来の目標へ向かうターニングポイントとなるきっかけを与えています。

 川島選手は、「試合毎にどんどん自分から攻める意識が芽生えて得点したり、ドライブからキックアウトパスを出したり、得点につながるようなプレーができてきたのは良いことです。でも、アンダーカテゴリーとは違って相手は大人であり、大きいです。NBAアカデミーでプレーする選手よりもっと体が強くて、レベルが高いと感じています」と毎試合のように手応えと課題をつかみ取っています。今すぐにステップアップできなくても、「半年ぐらいの期間をかけて練習をして、もっとチームに貢献できる良い選手になれるようにがんばりたいです」と必要なことも明確になっています。

 今大会がはじまった日に18歳3ヶ月30日だった川島選手は、パリ2024オリンピック出場をしっかりと見据えています。そのためには、「NBAアカデミーでエース級のプレーヤーにならないといけないことを本当に感じています。将来はNBA選手になる自分の高い目標がある限り、もっともっと上を目指さないといけないなと思いました」とはじめて日本代表でプレーしたからこそ、貪欲に自分の道を切り開いています。

 サウジアラビア戦に敗れたことで、ラストゲームは10月6日(金)13:00より7位決定戦を行います。相手は予選グループで勝利した韓国と、ふたたび対戦します。