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男子U18日本代表:エントリーキャンプ実施レポート「シュート力に関しては日本人でも負けていない」瀬川琉久選手

2024年2月26日

渡邉伶音選手はドライブも3ポイントシュートも兼ね備えた期待のビッグマン

瀬川琉久選手はチームをコントロールしながら得意のシュートで活躍に期待

 今年開催予定の「FIBA U18アジア選手権大会2024」(開催地・日程未定)へ向け、男子U18日本代表は2月21日〜25日の期間、最初の選手選考となるエントリーキャンプを実施。最終日は午前中の練習を終えたあと、有明コロシアムへ移動して男子日本代表が88年ぶりにFIBA主要大会で中国に勝利した「FIBAアジアカップ予選 Window1」を観戦。選手たちにとっては、国際大会へ挑むためのイメージができる素晴らしい機会となりました。

 同世代の川島悠翔選手(NBAグローバルアカデミー)が日本代表デビュー戦を果たし、グアム戦を見た渡邉伶音選手(福岡大学附属大濠高等学校2年)は「1年間高校で一緒にプレーし、アンダーカテゴリーでも自分が出た大会では毎回悠翔さんがいて、近くで見てきた存在が大舞台で活躍してるのを見て、やっぱりすごい選手だとあらためて感じました」と感想を述べます。川島選手だけではなく、昨年のFIBA U19ワールドカップ後に日本代表合宿に招集されたジェイコブス晶選手(ハワイ大学1年)も含め、アレハンドロ・マルティネスヘッドコーチも喜んでいました。「アンダーカテゴリー日本代表を通じてスペーシングやファンダメンタルを学び、土台がしっかりと備えたからこそ、日本代表につながる実績を彼らは見せてくれています」と話し、就任当初から変わらず今合宿でも土台作りを徹底させていました。

「これまでも合宿で伝えてきたことは、バスケの土台として必要不可欠なものです。テーブルを支える4本の脚のように、ボールをシェアすること、スペーシング、ボックスアウトをしてリバウンドを確実に獲ること、攻守ともに1on1といった4つの土台ができれば、より良いものを上乗せすることができます。それが良いチームになるためにも必要です。重要なのはファンダメンタル。パスの出し方、ピボットの仕方、止まり方が非常に大事であり、この合宿でも継続的に強調しています」

 日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチのコーチングも根本は同じです。この世代から基礎を徹底させ、しっかりとした土台を作って次のカテゴリーへ橋渡しながら、一気通貫の強化を図っています。

 18歳以下で参加する昨年の「第31回 日・韓・中ジュニア交流競技会」は、今年の活動を見据えて今回のメンバーが参加し、中国や韓国に勝利したことで期待が高まります。ポイントガードの瀬川琉久選手(東山高等学校)は、「ガードとしての視野の狭さでやゲームメイクなどが、まだできていないと感じました」と課題を知る機会にもなりました。瀬川選手はアメリカで開催されたバスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・グローバルキャンプに参加し、同世代の世界トップレベルに触れる経験をしてきたばかりです。「身体能力や高さはもちろん、スピードでも劣る部分がありました。でも、シュート力に関しては、日本人でも負けていないと感じました。そこは今後もっと磨いていけるようにがんばりたいです」と手応えを感じたからこそ、スタンダードを引き上げています。

 昨年の男子U19ワールドカップ、一昨年のFIBA U17ワールドカップ、昨年は飛び級でFIBA U19ワールドカップを経験したのが、渡邉選手と内藤耀悠選手(レバンガ北海道U18)です。渡邉選手はその経験をしてきたからこそ、「リーダーシップを出さなければいけないと思っています。世界で通用することと通用しないことを知っているからこそ、練習中から日本のレベルではなく、ワールドスタンダードをしっかりと伝えていかなければいけないと感じています」と気持ちの面でも成長した姿を発揮し、身を持って体験してきたことを還元します。

「例えば、3ポイントシュートは通用すると思いますし、素晴らしい選手もいっぱいいるので積極的に打って行って良いです。しかし、レイアップシュートはブロックされてしまうので、ワンステップにするなどの工夫が必要です。あとはボックスアウトでのフィジカルの差は、日本ではなかなか感じることができないので、合宿中から強度を上げていかなければいけないです」(渡邉選手)

 2大会連続FIBA U19ワールドカップ出場を知る入野貴幸アシスタントコーチと、チームリーダーとなった常田 健コーチもこれまでの経験をもとにしながらチームを上向かせています。「これまでの大会で他のチームの強化日数を聞いたところ、日本はアメリカに次ぐ2番目に少なかったです」と常田チームリーダーはその差を痛感します。そこで、1回の合宿での日数を増やす提案をし、昨年の3日から今年は5日へ伸びました。「5日間で8回の練習ができ、昨年までとは比べものにならないほどの進歩と言えます。一つひとつの練習にかける時間が全く違い、一つひとつのパートに割く時間が増えたことで、じっくり腰を据えて練習することができました」とマルティネスヘッドコーチもこの改革を歓迎しています。

 来月末にはドイツで行われるアルバート・シュバイツァー・トーナメントに6年ぶりに参戦します。世界トップレベルが集う大会で腕試しを行い、3大会連続FIBA U19ワールドカップ出場を目指した強化を進めていきます。