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「2022年度JBAオンライン女性コーチカンファレンス」開催報告(2023年2月11日開催)

2023年2月13日

講師を務めていただいた青柳健隆氏(関東学院大学)

当協会(JBA)では、去る2023年2月11日(土)に「2022年度JBAオンライン女性コーチカンファレンス」を開催いたしました。
本年度は、女性コーチが直面する課題として挙げられる「仕事・コーチング・私生活の両立」の解決のため、コーチのワーク・ライフ・バランスをテーマとして取り上げました。関東学院大学の青柳健隆先生に講師を務めていただき、特に部活動を指導する教員コーチを対象とし「部活動指導とワーク・ライフ・バランス」というタイトルでワーク・ライフ・バランスの概要や実現のための具体的な実践につながる知識を学びました。

<第1部>講義「部活動指導とワーク・ライフ・バランス」
第1部では青柳先生より「部活動指導とワーク・ライフ・バランス」について講義が行われました。講義冒頭で、近年よく耳にする「ワーク・ライフ・バランス」という言葉であるがどのような概念なのか、どんなことが課題として考えられているのかといったワーク・ライフ・バランスの全体像について説明がありました。その上で、どの立場(国なのか、組織なのか、個人なのか)からワーク・ライフ・バランスについて考えるかによって全く見え方が異なること、そのためきちんと各個人がワーク・ライフ・バランスの全体像について理解していることが重要であること、そして自分にとってのワーク・ライフ・バランスを見つけることが重要であるというお話がありました。
講義中盤では、日本国内の労働時間や家事・育児時間など様々なデータの紹介があり、長時間労働が問題となっていることから社会全体としてワーク・ライフ・バランスが取れた状態ではないことが垣間見えました。特に子どもを持つ女性は社会に根強く残る性別役割認識などの影響を受け、家事・育児時間も男性と比較し長いことから、より仕事・コーチング・私生活のバランスを取ることが難しいという説明がありました。また、就労に関連する法律、規則の説明もあり、教員の労働環境が規定とかけ離れていると驚く参加者もいらっしゃいました。
以上を踏まえ、ワーク・ライフ・バランスを実現するためにできることとして、どのようにワーク・ライフ・バランスを考えれば良いのかというヒントについてお話がありました。その1つとして「在りたい自分でいられているのか」ということを考え、実践することが重要であるという説明がありました。
講義の最後には、青柳先生が長年研究されている部活動の地域移行について、現状や今後生まれると予想されている課題についても紹介がなされました。

<第2部>グループワーク
第2部では3~5人のグループに分かれ、ワークシートを用いたグループワークが行われました。第1部の講義で説明のあった「在りたい自分」でいられているのかという自己採点を行い、より在りたい自分に近づくために必要なことについて、グループで考えました。

<全体を通して>
本カンファレンスを通じて、「教員の部活動負担について、業務の過酷さをデータで見て客観的に認識することができた」「自分の在り方次第で、ものごとが義務ではなくやりたいことに変換されると気づいた」といった意見が寄せられました。また、グループワークを通じてカテゴリーや年代の違うコーチと意見交換をしたことで、各ライフステージにおいてどのようにワーク・ライフ・バランスを考えたら良いかといったヒントになったとの意見もあり、参加者1人1人が自身のワーク・ライフ・バランスやコーチングのあり方について見直すきっかけとなった研修となったことが伺えました。

■参加者の声
今後の部活動のあり方や部活動地域移行について考慮していく点などを学ぶことができました。また、ワーク・ライフ・バランスをどのように修正していくかなどについて、他県で実践している指導者の方々とお話しをする中で、もう一度自分のワーク・ライフ・バランスを考え直すことができました。

働き方改革と言われる現代で、時間の使い方、仕事と指導の内容についてかなり考えさせられた内容でした。また、これからの部活動の指導のあり方、指導法については、バスケだけにとどまらず、どの競技でも考える課題だと思いました。特に教員であり、指導者の立場にあるものとしては、時間の使い方がかなり重要なポイントだと感じました。

女性コーチのカンファレンスには初めて参加させていただきました。男性の参加もあったり、取り上げる内容がバスケット指導だけに片寄ったものではなく、大変勉強になりました。ありがとうございました。
予定があり終了後のフリートーク参加が叶わなかったので、他の参加者の方のお話しをもっと聴かせていただければと思いました。ワーク時間を増やしていただけるとありがたいです。

ライフ・ワーク・バランスを考えていくときに、できないことやマイナスのことばかりに目を向けるのではなく、「在りたい自分」をイメージし、そのためにどうするかを考えていくことが必要だと感じました。全て100パーセントにすることは容易ではないですが、今の自分がどう在りたいかに意識を向けて、仕事と生活のバランスを取り、自分を満たしながら過ごしていきたいと思いました。
そのためにも、自分だけでどうにかするというよりも、周りのサポートに頼ることも自分にとって大事なことだと気付くことができました。