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煌めく青春 南関東総体2014(インターハイ) 大会第2日目 現地レポート -県2位が見せた意地-

2014年8月3日

昨年のウインターカップ覇者・明成を相手に、自分たちのバスケットを貫いた兵庫・報徳学院

初めての全国大会を経験し、更なる成長に期待がかかる千葉・県立幕張総合(右:#10林 祐太郎選手)


 「平成26年度全国高等学校総合体育大会 第67回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は第2日目、シード校の男女各5校も登場し、これで全チームが夏のコートに立ちました。ベスト16決めとなった2回戦は、2試合が延長戦となり、6試合が5点差以内と、白熱した試合が多くみられました。

 男子では、第2シードの秋田・県立能代工業が敗れ、波乱が起こりました。県立能代工業に【108-87】で勝った大阪・大阪学院大学は、リバウンドへの意識が高く、球際での争いをことごとく制していました。そうすることで自分たちのリズムを作っていったのでしょう。リズムが良くなると、自然とシュートの確率も上がります。そして、大阪学院大学は最後まで気持ちよく自分たちのバスケットをしていました。これまで築き上げてきた自分たちのバスケットを、全国大会の、しかも強豪相手でも物怖じすることなく出し切れば、勝機は生まれるものなのです。一方の県立能代工業は、初戦ということもあったのか、いわゆる“能代らしさ”を出せずにいました。もう一度、自分たちのバスケットを取り戻して、ウインターカップを目指してもらいたいものです。

 さて、今大会では全国10の都道府県が複数のチームの出場資格を得ています。つまり2位(もしくは3位)でもインターハイに出場できるわけです。大阪学院大学も大阪府を2位で通過したチームです。その上で大阪学院大学と県立能代工業のゲームを振り返ると、2位であっても全国で十分に戦える力を持っているのです。

 兵庫県2位の報徳学院は、昨年のウインターカップの覇者、宮城・明成と対戦し、【74-87】で敗れはしたものの、最後まで自分たちのバスケットを貫いていました。田中 敬コーチは「いつも通りにやろうと選手たちと話していました。私自身、彼らは力のある子たちだと思っていますし、逆に(相手が明成だということで)構えてしまったらよくない。いつも通りのプレイをして、ダメだったら考えようというスタンスで試合に臨みました」と言います。特別なことをしていたわけではありません。マンツーマンディフェンスをベースにして、トランジションの早いバスケットを展開していくだけ。それでも自分たちのやるべきことをしっかりとやれば、県2位のチームが全国トップクラスのチームとも互角に戦えるのです。

 ただ、田中コーチも認めるとおり、明成は「一つ一つのプレイが洗練されていて、精度が高い」。これが勝敗を分けたところかもしれません。だからこそ、今後の課題として「やっぱりファンダメンタルに戻るんです。パスをしっかり出すとか、シュートをきっちり決めるといったファンダメンタルが、全国の上位陣を倒すためには必要になっています。またデイフェンスではもっとアグレッシブに、タイトに守れないと、ちょっとでも隙を見せるとシュートを打ってきますから」と言います。加えて、県内ではあまり見かけないサイズの違いを、どう埋めていくのかも考えなければいけません。そう考えると課題は山積みですが、だからこそ上を目指せる楽しみも生まれてくるのです。

 もう一つ、千葉県を2位で通過した県立幕張総合。相手は2012年度に最年少で日本代表候補選手にも選ばれた角野 亮伍選手を擁する静岡・藤枝明誠でした。第3ピリオドを終えた時点で、67-89と22点の大きなビハインド。しかしそこから猛追を仕掛け、終わってみると【107-115】の8点差に。敗れはしましたが、会場を大きく揺らすような歓声が沸き上がる終盤戦でした。

 しかし試合終了後、飯沼 加寿夫コーチの選手に対する言葉は、けっして賞賛するものではありませんでした。「ナイスゲームではないぞ。勝負どころで君たちは足が動いていなかった。最後、あれだけ動けたのは、負けが決まったと思ったから。負けが決まって攻撃的になるようなチームは勝てない。ダメでもと思って打ったシュートが決まったが、ゲームの中盤ではシュートを躊躇していた。力を発揮しなければいけないところで発揮できていない。応援してくれる方々は優しいよ。負けているチームが必死になっていれば応援してくれる。でもそれに甘えてはダメなんだ」
 厳しい言葉かもしれませんが、飯沼コーチは選手たちに「ウインターカップ予選があるから、あえて厳しいことを言うぞ」と前置きをしています。つまりインターハイはインターハイとして重要な大会であるのですが、たとえ負けても取り返せるチャンスが、高校バスケットにはあるのです。だから飯沼コーチは選手たちに発破をかける意味でも、厳しい視点でゲームを振り返っていたわけです。

 その後、飯沼コーチは「機動力のあるバスケットが幕張総合のバスケット。それをやって、最後に疲れて動けなくなるのならまだいい。どこまで体力が持つのかを見せて欲しかった」と悔しそうに言います。40分間を乗り切ろうと考えるあまり、どこかで休んでしまう。それはバスケットをする上で大切な要素ではありますが、勝負どころを見誤ると、強豪チームには一気に波を持っていかれてしまうものです。「ただ2年間インターハイに出ていないのは大きい。彼らにとってはこれが初めての全国大会ですから。まだまだ勝負への図々しさが足りません」と、飯沼コーチは選手たちを擁護もしていました。この経験をどのように自分たちの力に変えていくのか、これからの成長に期待がかかります。

 複数のチームが出場できる10の都道府県のうち、今年のウインターカップに複数出場できるのは開催地(東京都)と、インターハイの優勝、準優勝チームの都道府県だけ。兵庫県は既に神戸村野工業が敗れているため、1枠を争うことになります。また千葉県は、船橋市立船橋が勝ち残っていますので、彼らが決勝まで進めば県立幕張総合にもチャンスは生まれますが、他力本願ではいけません。そして、インターハイ予選が2位であっても、ウインターカップ予選まで同じになるとは限らないのです。今回の敗因を突き詰めて、次への力にしてもらいたいところです。県2位の逆襲はこれから始まるのです。

 煌めく青春 南関東総体2014の試合結果は、千葉県協会 大会特設サイトにてBOXスコア、レポートとともに掲載されています。また、JBA大会特設サイトでは、連日熱戦を繰り広げている今大会のフォトギャラリーを更新しています。是非、ご覧ください。
 さらに、今大会の試合の模様は、全国高体連公式 インターハイ応援サイト「インハイ.tv」にて、インターネットLIVE配信(無料)を行なっています。高校バスケの熱い戦いをお見逃しなく。