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平成25年度全国バスケットボールコーチクリニック【中国会場】 開催報告

2013年7月23日

 平成25年7月6日(土)・7日(日)の2日間にわたり、岡山県岡山市にて「平成25年度全国バスケットボールコーチクリニック【中国会場】」を開催しました。

 7月6日(土)の第1部では、荒木 秀夫氏(徳島大学大学院教授)より、「スポーツコオーディネーショントレーニング(実技編)」というテーマで実技指導が行われました。
 講師自らのデモンストレーションによって、寝ている状態から素早く立ち上がるなどの身体操作において頭を垂直に保つこと、ボールを投げる−キャッチする際に目線を切る(アイカット)ことの重要性、スラローム走の走り方など、普段気づきづらいバスケットボールの技術の習得法が暗に示されました。
 受講者の方々も、荒木氏の動きとモデルプレイヤーの動きを見比べることで、バスケットボール特有のタイミングや動きの習慣化、コーディネーショントレーニングの可能性や必要性を再認識されているようでした。

 第2部では、中大路 哲氏(大阪体育大学女子バスケットボール部監督)より、「ディフェンスの考え方と基礎技術」というテーマで、自らのチームで実践しているディフェンス方法の指導が行われました。
 そこでは、求められている動きを正確に行うために「一度止まること」の重要性や、練習において常に試合を想定し、「素早く」「鋭く動く」「練習を流さない」といった、一見当たり前のことでもなかなか徹底の難しい点が強調されました。
 また、スクリーンやポストプレイに対するディフェンスの指導では、「一方的に良くなることはない」というキーワードで、ある面を守った場合はその裏側は守れないことを理解し、それをどのようにチームとしてカバーしていくか、具体例を交えながら指導されました。
 今回の実技指導は、具体的なドリルはもちろんのこと、日々の練習における正確な動きの反復やチームとしてカバーしながら守ることの重要性など、ディフェンスの本質を考えるきっかけとなったようです。
 
 第2日目となる7月7日(日)の第1部では、荒木氏より「スポーツコオーディネーショントレーニング(理論編)」として、コーディネーショントレーニングとはスポーツ能力を学習する態勢作りが目的であり、驚く場面における瞬間的な反応を例に挙げて、欧米人とは違う日本人の特徴に合わせた能力の開発が必要であることなどの説明がなされました。
 また、実際に受講者に目を閉じて片足立ちをさせ、補助者が広げた両手の甲に少し触れてやることで、自分の位置を認知し、バランス感覚が安定すること、あるいは足と手拍子でリズムをとる際に、5拍以上の手拍子は2拍と3拍に分けることで簡単に行えるなど、動きは脳と神経系、そして筋肉のユニットであることを具体的に紹介されました。
 そこでは、日々の練習や生活において組み合わせや配置、集合場所を変えるなど変化を与え、脳に刺激を加えることで、トレーニングを自ら作りだし創造する余地があることも強調されました。

 第2部では、中大路氏より「強いチームをつくるために」、どのようなコンセプトでチームの指導にあたっているのかについて講義が行われました。
 そこでは、本当のチームワークはどのようにして生まれるのか、中大路氏自身の指導上のポイント、昨年行われた第64回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)女子 優勝チームのディフェンスの強化ポイントや強みといった、多くの人が知りたいチーム作りの裏側について、具体的なお話がありました。
 第2部の終わりには、2日間のまとめとして、インカレで優勝した大阪体育大学の試合を編集した映像を用いて出だしの重要性、時間の使い方の徹底度、ポストに対するディフェンスについてなど、具体的な説明がなされました。

 最後に2日間を通しての質疑応答がなされ、荒木氏には「コーディネーショントレーニングは大人にも必要か、有効か」といったものや、「視野が上手くとれないプレイヤーへの指導」についての質問があり、大人向きのトレーニングの必要性や全体集中と1点集中の使い分けといった、視野についての説明がなされました。また、中大路氏には「引っ張り込むディフェンス」とはどういうものかについて質問があり、映像を例に説明がなされました。

 このような形で2日間の全国コーチクリニックを無事終了することができました。お集まりいただいた受講者の皆さん、また開催にあたってご協力いただいた地元関係者・スタッフの皆さん、どうもありがとうございました。

 当協会では、引き続き、日本のバスケットボール指導者の資質と指導力の向上につながる、指導者養成事業を展開していきたいと考えております。今後とも皆様のご理解・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。