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佐古賢一氏 FIBA 殿堂 受賞コメント

2021年6月20日

2020年FIBA殿堂入りした佐古賢一氏

男子U19日本代表を率い、世界に挑む

 国際バスケットボール連盟 (FIBA)はオンラインセレモニーを開催し、FIBA殿堂入りを果たした佐古賢一氏を称えました。現在、佐古氏はアンダーカテゴリー(ユース代表)のヘッドコーチとして後進の育成にご尽力いただき、来る7月3日より男子U19日本代表チームを率い、FIBA U19ワールドカップ 2021(ラトビア)で世界に挑みます。オンラインセレモニーへ寄せた佐古氏の受賞コメントをご紹介します。

■佐古賢一氏 受賞コメント

 まず初めにこのような名誉あるFIBA殿堂入りに選出していただきましたFIBAの関係者皆様に感謝申し上げます。誠にありがとうございます。そして、両親といつも一番近くで支え続けてくれている妻と子供たちにもこの場を借りて感謝したいと思います。バスケットボールにおいて素晴らしい実績と歴史を積み上げてきた世界中の名選手の仲間入りを果たせたことは非常に光栄であり、日本人選手として新たな歴史を刻むことが出来たことを非常に嬉しく思っています。

 自分がバスケットボールを始めたのが8歳のときでしたが、きっかけは父親がバスケットボールをしていたということを知り、両親に褒めてもらいたいという思いからの競技スタートでした。その背景には自分が両親から離れ、祖母に預けられて生活をしていた時期があり、そういうことから少し両親の愛に飢えていたのかもしれません。そのことにより、バスケットボールを通じて自分を見てほしかった、そういう思い、そういう記憶が今でもはっきり覚えています。

 しかし、バスケットボールをやりはじめたら、そういうきっかけや思いとはまったく裏腹に、その楽しさに魅了され、仲間達と毎日、1日の大半をバスケットボールに費やしていた、そういう記憶もあります。バスケットボールを始めた当時のことを思い返しても、今回のFIBA殿堂入りという名誉ある賞の受賞や日本代表でプレーするなんてことも、また数多くのタイトルや優勝を経験できるということもまったく想像していませんでした。私のキャリアにおける成功は、自分にこれまで携わっていただいたコーチ、スタッフ、チームメイト、ファン、そして多くの友人と家族のサポートなしでは決して成し遂げることができなかったと思っています。その方々にも感謝を伝えたいと思います。

 このFIBAの殿堂入りという栄誉は私個人の功績ではなく、日本バスケットボール界に関わっているすべての皆様の努力の証だと思っています。日本は世界のトップレベルのチームと戦うには、まだまだ成長しなければいけません。しかし、世界で活躍している優秀な選手たちも出てきています。その選手たちを目標としている若くて有望な選手たちも増えてきていると実感しています。

 私は現在、日本代表アシスタントコーチおよびユース代表ヘッドコーチを務めていますが、私が現役時代に経験したことや私自身が指導者としての学びを続けていくことにより、スキルや戦術だけではなく、メンタルの部分も育てていけるコーチになることを目標とし、バスケットボールの発展に向けて邁進していきたいと思っています。

 最後になりますが、現在新型コロナウイルスの影響により、世界中で多くの人が苦しんでいると思います。私を含め、バスケットボール関係者ができることは微力で、限られていると思いますが、スポーツには人々に勇気や元気を与える力があると信じています。バスケットボールという素晴らしいスポーツの力を信じて、世界中の人々が力を合わせて、一日も早くこの世界的困難を乗り越えられることを願っています。本日は誠にありがとうございました。