ニュース

平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプ 第1回キャンプ開催報告

2016年9月29日

男女計40名が集まった第1回キャンプ。選手たちのモチベーションは高かった

選手たち同様、鈴木コーチの指導を熱心に聞き入る研修コーチたち

 9月24日(土)・25日(日)の2日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプの第1回キャンプを開催しました。
 この育成キャンプは前週までに行われたU-13、U-14と同様に、未来の日本代表選手を育成するためのキャンプです。但し、強化の色合いはこれまでの年代と比べると若干薄くなり、むしろミニバスケットボールの基本理念である「友情・ほほえみ・フェアプレイの精神」を尊重しながら、支えてくれている人々への感謝を持って、さまざまなことを経験するキャンプでもあります。

 当協会としても初となる小学生レベルの全国キャンプを指導した鈴木 良和コーチは、2日間の合宿を終えて、次のように感想を述べます。
「今年度のメンバーはみんなエネルギッシュです。U-13と同じように、誰かにうまくしてもらおうと考えるのではなく、『自分たちで考えてやるんだ』という、自らの力を引き出すようなコーチングをしましたが、そこへの反応も非常に良かったです」

 メニューそのものはU-13と同じか、それを少しわかりやすくしたドリルを行なっていました。但し、その中で鈴木コーチたちがよく口にするのは「常に疑問を持つことが大切」、「1を教わったら、2、3、4…と考えられるのがいい選手」といった、よりよい選手になるためのメンタリティーについての語りかけでした。
 鈴木コーチもそれを意識していたと認めます。
「ユース育成部会でも出ている話ですが、まずは人間力を育てることを考えています。この2日間で何か技術を身につけるとか、うまくなるというほどバスケットボールは簡単なスポーツではありません。しかし彼らの練習に取り組む、バスケットに向かう姿勢を変えてあげられれば、彼らのこれからの1か月に対して大きな貢献になります。また変化していった彼らの姿を見て、周りの子どもたちも『ああいうふうになりたい』と思えるようにと考えています」
 キャンプに参加した選手を通じて、良い選手になるために、バスケットボールに取り組む姿勢を全国に発信しようとしているわけです。

 U-12のキャンプで一番伝えたいことは、「上手になるかどうかは自分次第」ということです。誰かに上手にしてもらおうと思わない子どもたちが集まれば、おのずと刺激し合い、工夫をするようになります。そうして自分が考え得る最大限の努力をしたときに、指導者がさらに「こういうプレイもあるよ」、「こんなドリルをしてみよう」と紹介すれば、そのときに選手の成長は急伸します。逆に言えば、指導者が持つ知識や経験の最も大切な部分をくみ取れるかどうかは、選手たちに「もっとうまくなりたい」、「もっとバスケットをしたい」、「もっと知りたい」という思いがあるかどうかなのです。

 その点については、鈴木コーチが感想で述べていたとおり、選手たちはエネルギッシュに新しいドリル、スキルを吸収しようとしていました。
 男子の武内 大朗選手(福島県・会津美里ミニバスケットボール少年団・小学6年)は、「最初は緊張したけど、友だちと親しくなって、楽しい2日間でした。基礎的な練習からどんどんハードになっていって、自分たちがいつもやっている練習がレベルアップした感じでした」と充実した2日間を振り返ってくれました。ミニバスケットの理念である「友情」が彼の意欲をかきたてた例だと言えます。
 また、女子の水谷 想選手(三重県・富州原ミニバスケットボールクラブ・小学6年)も、「海外の練習を見に行っているコーチが、私たちにすごいことを教えてくれて、すごく勉強になりました。自分のチームは6年生が2人しかいなくて、みんな背が低いんですけど、U-12ではみんなが私と同じくらい(162cm)の選手ばかりでやりやすかったです」と、笑顔で言います。

 2日間の充実したキャンプを過ごしたのは選手たちだけでなく、キャンプ参加に応募してきた「研修コーチ」たちにも言えることです。ナショナル育成キャンプは選手を育成することを念頭に置いてはいますが、それぞれのキャンプで研修コーチを募集することによって、技術やフィジカルの重要性、指導のポイントなども広めようとしています。

 埼玉県・飯能市の美杉台チェリーズを25年指導されている魚谷 宗史さんは、「これまでもさまざまなコーチングセミナーを受講してきました。そこで多くのことを学びましたが、そうしたところの多くでは高校生年代の選手がデモンストレーションをすることが多いんです。でもU-12では私が指導している年代の子どもたちが実際にプレイするので、よりよく理解できました。かつ2日間に渡ってさまざまなドリルを紹介してくれて、その一つひとつが目新しいものだったことも、すごくよかったです」と感想を述べてくれました。

 子どもたちがよりうまくなるための意識を持ち、指導者もまたより多くの引き出しを増やす。そうすることで、バスケットボールのすそ野が広がり、結果として日本のバスケットボールのレベルは上がっていきます。
 全2回の平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプの最終回は、10月15日(土)・16日(日)の2日間、同じく味の素ナショナルトレーニングセンターで行われます。

 
■平成28年度U-12ナショナルジュニア育成キャンプ
 第1回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 9月24日(土) 午後
・形態測定(男子)
・クリニックⅠ:コーディネーションとドリブルファンダメンタルズ
・栄養指導
・食事指導
・スポーツパフォーマンス講義

■2日目 9月25日(日) 午前
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅡ:認知・判断とパスのファンダメンタルズ

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。
※研修コーチの募集についてはこちらをご確認ください。