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平成29年度U14ナショナル育成キャンプ 第1回キャンプ 開催報告

2017年10月2日

男子を主に指導するのは、「AKATSUKI FIVE」男子日本代表チームのエルマン・マンドーレアシスタントコーチ

アンダーカテゴリーで様々な国際大会を指揮した萩原 美樹子コーチは、日本の重要課題であるリバウンドを徹底させる

 9月16日(土)~9月18日(月・祝)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成29年度U14ナショナル育成キャンプの第1回キャンプを開催しました。
 本キャンプは、各ブロックから推薦された選手によるトライアウトで選出された選手が参加しており、選出されたU14年代の男女各20~30名の選手を対象として、世界に通用する選手の育成を念頭に、年代に応じたフィジカルトレーニング、技術指導等を行います。

 男子を主に指導したのは「AKATSUKI FIVE」男子日本代表チームのアシスタントコーチでもあるエルマン・マンドーレ氏。マンドーレコーチの起用について、山本 明ユース育成部会部会長はこう言います。
「男子日本代表が新しくヘッドコーチに就任したフリオ・ラマス氏のバスケットを追求しようとしているなかで、育成年代もそれに合わせたバスケットをしようというのが、昨年度までと大きく異なる点です。ただしナショナル育成キャンプではファンダメンタルを伝えるのであって、戦術をそのまま指導しているわけではありません。考え方の方向を合わせていることを重視しています。そのためマンドーレ氏と、同じく男子日本代表のアシスタントコーチである佐古 賢一氏、テクニカルスタッフの前田 浩行氏も、U14ナショナル育成キャンプおよびジュニアユースアカデミーキャンプのコーチングスタッフに加えました」

 全4回のキャンプの初回であり、選手のほとんどが初めて練習するナショナルトレーニングセンターということもあり、練習は緊張の連続の中で行われました。しかしマンドーレコーチは、「内容自体にも喜んでいるし、選手たちが自分たちのできることをすべて出してくれたので、すごく嬉しい」とコメントしました。その上でマンドーレコーチは第1回キャンプをこう締めくくります。
「このキャンプではいくつかの目的を持っています。オフェンスに関してはオフボールマンの動きを重要視すること。ディフェンスについては1対1のディフェンスの積極性、ブロックを作るときのファーストヘルプ、セカンドヘルプについて、ボックスアウト、リバウンドについてです。初日こそ選手たちが緊張していたため、あまりスムーズに進めることができませんでしたが、3日目にはだんだんよくなってきましたし、私としてはいい仕事ができたと思っています。日本人は基本的に頭がよく、理解度も高いと感じました。第2回、第3回と回を重ねるごとに、目的を100%理解してくれると信じています」

 選手たちも普段の部活動では得られない、新鮮な刺激を多く受けていました。今回のキャンプで最も身長の高い(197cm)の島﨑 輝選手(埼玉県・ふじみ野市立大井中学校 2年)は「部活動で言われてきたボックスアウトの重要性を、ここでもすごく重要視していて、基礎的なことが重要だと改めて感じました」と振り返ります。また、今夏の全国中学校バスケットボール大会を制した福岡県・福岡市立西福岡中学校2年の岩下 准平選手は、緊張して自分のプレイを出し切れなかったと言いながらも「このキャンプではパスをした後にカットする動きを繰り返していました。その中で教わったバックドアカットはチームでも使っていきたい」と、早くも今後の自分のバスケットにつなげるヒントを見つけたようでした。

 一方の女子もまた、アジアカップ3連覇を達成した女子日本代表チームのバスケットにつながるようなバスケットをコンセプトにしたと、主に指導にあたる萩原 美樹子コーチは言います。
「まずはペイント内にアタックをして、ドライブでディフェンスを切り崩しておいて周りの選手が合わせるだとか、ディフェンスでは相手にプレッシャーをかけるといった、女子日本代表が行なっている戦術のベースになるものを指導しています。今後、彼女たちがあらゆる年代の日本代表等に選ばれたときに、必ず戦術があります。そのときに理解度が高まるような、その前段階までをキャンプで伝えていきたいと考えています」

 但し、キャンプに選ばれた選手の多くは160cm台後半から170cm台と比較的身長が大きく、自チームではセンターをやっています。そのためキャンプのコンセプトであるアウトサイドからペイント内にアタックするドライブや、そこから合わせるパスなどがまだまだ弱いという課題も明確になりました。それについて萩原コーチはこう言及します。
「現時点では仕方がないことだと思っています。その一方で代表選手とは、選ばれたときに自チームとは異なるポジションをやることが当たり前でもあります。そういう意識を持って、キャンプに臨んでほしいとは伝えました」

 さらに、萩原コーチはナショナル育成キャンプに参加する選手たちの心構えを改めて口にします。
「やはり先生やコーチに言われたからやる、もしくはチームの方針がこうだからやるというのではなく、自分に必要なことを、自分でしっかり把握して、自分が続けることが重要です。コンディショニングを含めて、誰が見ていなくても、自分に必要なことを自ら行動できる選手になってもらいたいです」

 3日間のキャンプでしたが、萩原コーチの思いは選手たちに何かしらの影響を与えているようでもあります。西ファトゥマ七南選手(千葉県・船橋市立三田中学校 2年)は、「全国的なキャンプに参加するのは初めてで、自分がどれくらいのレベルなのか分からなかったけど、上手な人たちと一緒にプレイできて、自分のレベルや、これからどうすればよいかがわかって、すごくよい3日間でした」と言います。また、山本 遥香選手(島根県・松江市立第一中学校 2年)は、「島根県では背が高い方ですが(172cm)、このキャンプでは低いほうでリバウンドの力強さを体験することができました。また普段はセンターですが、ここではフォワードをやってみて、自分のドリブルの弱さを実感できました」と、自らが今後進むべき方向性と、そのために足りないことを痛感したようでした。

 次回、10月20日(金)~22日(日)に行われる第2回キャンプでは、今回の男子24名、女子25名から、それぞれ20名に絞って開催されます。つまり第1回キャンプは、第2回キャンプに進めるかどうかのトライアウトでもありました。その狙いを山本 ユース育成部会部会長はこう言います。
「今年のナショナル育成キャンプでは初めて、キャンプの前にトライアウトを実施しました。そして、さらにキャンプでも人数が絞られることになります。選手たちにはハードルを越えていく経験をさせて、最後に辿り着くのが日本代表チームであると伝えたいのです。日本代表に入るにはそれだけの価値があることを伝えたうえでなお、それでも自分は日本代表に入りたいんだという選手を探したいと考えています」

 ナショナル育成キャンプは3日間(U12は2日間)のキャンプではありますが、どれだけ意欲を持って取り組むかが、例年以上に求められるキャンプになっています。

 
■平成29年度U14ナショナル育成キャンプ 第1回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 9月16日(土) 午後
【共通】
・栄養講習会
・講義
【男子】
・クリニックⅠ・Ⅱ
【女子】
・クリニックⅠ

■2日目 9月17日(日) 午前
【共通】
・朝練習(シューティング)
【男子】
・クリニックⅡ
【女子】
・クリニックⅡ
・トレーニング

■2日目 9月17日(日) 午後
【共通】
・講義
【男子】
・クリニックⅢ
・トレーニング
【女子】
・クリニックⅢ
・クリニックⅣ

■3日目 9月18日(日) 午前
【共通】
・朝練習(シューティング)
【男子】
・クリニックⅣ
【女子】
・クリニックⅤ
・トレーニング

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。