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2019年度 U15 ナショナル育成センター (女子) 第 1 回キャンプ 開催報告

2019年10月25日

萩原コーチの指導に真剣に耳を傾ける

ドリルでドライブからの合わせを実践

 世界に通用する選手の育成を念頭に、年代に応じた技術指導、フィジカルトレーニング等を行う「ナショナル育成センター」が今年度も始まりました。2019年度は U13、U14 ,U15 の 3 カテゴリーで実施されます。まず行われたのは「U15 ナショナル育成センター (女子)」。9 月27日 (金) ~29日 (日) の 3 日間、トライアウトを通過した28名の選手が味の素ナショナルトレーニングセンターに集まり、萩原美樹子コーチのもとで第 1 回キャンプを行いました。

 今回のキャンプでは、1 対 1 からのフィニッシュ――たとえばフローターシュートや、ユーロステップからのリバースシュート、ハンドオフでボールを受けた後にスピンムーブでアタックする技術等を練習しました。世界的な潮流としてスクリーンを使った戦術が多くの国で使われていますが、その前段階として 1 対 1 でどこまで相手を攻略するかにフォーカスしました。
「どれだけスクリーンを多くセットしても、またそれをうまく使えても、最後は 1 対 1 のフィニッシュ力がないと国際ゲームでは戦っていけません」
 萩原コーチは 1 対 1 の重要性をそう説きます。

 そうして 1 対 1 で自分のディフェンスを破ったときに、もしほかのディフェンスが寄ってくれば、チームメイトとの連携が生まれます。今回のキャンプで 1 対 1 と併せて行われたのがスペーシングです。よりよいスペーシングをすることでボールマンが守られた後の攻撃がよりスムーズになっていきます。参加した選手のなかには日常のチームでセンターを任されている選手もいますが、今回は28名すべてがツーガードポジション、両ウイングのポジションに立ち、ボールの動きに合わせて適切なポジションに移動していく動きを練習しました。ディフェンスをつけていないときはスムーズにできていたことも、ディフェンスをつけると微妙な調整も必要になってきて、混乱するような場面もありました。
 それでも 3 日間をかけて練習を行うと、選手たちもかなりの理解度を示し、最終日に行われた 4 対 4 では萩原コーチが何度も「今の動きはよかったよ!」と声を掛けるシーンが見られました。

「今回のメンバーは (2 年前の) U13 のときから選ばれている選手もいますが、一方で『これまでいなかったよね』という選手もいて、改めてこの世代は後からグーッと伸びてくる選手もいるんだなと気づかされました。またここ数年、継続的に見させていただいて、すごく上手になるなとも感じました。実際に 3 日間のキャンプを行ってみて、15歳になるとかなり理解度が進んでいることを確認しました。もちろん時間がかかるケースもありますが、こちらが言っていることを理解してくれて、3 日目になるとある程度の形になっていると感じられました」
 萩原コーチはそう手応えを語りました。

 またキャンプと同時期にインド・バンガロールで開催されていた「FIBA 女子アジアカップ2019」もよい影響を与えたようです。選手たちに女子日本代表が行うスペーシングや、ドライブからの合わせなどを実際の試合映像で見せたところ、その翌日からまた動きがよくなったといいます。自分たちの行っている動きをよりイメージしやすくなり、また自分たちが日本代表と基本的に同じことをしているという自信にもつながったようです。

 そうした前向きな選手たちだからこそ、今年度はあえて協会側から指名せず、キャンプの感想を自ら話してくれる選手を求めたところ、積極的に手を挙げてくれた選手が 2 人いました。昨年度の U14 ナショナル育成センターにも参加した菊地実蘭選手 (静岡・沼津市立沼津高等学校中等部 3 年) と、今回が初めてのナショナル育成センター参加となる樋上さくら選手 (大阪・堺市立平井中学校 3 年) です。

 昨年度の U14 ナショナル育成センターで最終キャンプにまで残った菊地選手は、それが「自信になって、その自信を胸にプレーしてきました。今回はその経験を生かせてよかったです」と、昨年からの継続に自信をのぞかせていました。そのうえで今回のキャンプについても手応えを口にします。
「自分のチームではセンタープレーが主ですが、国際的に考えるとセンタープレーだけでは通用しないので、スペーシングを取ってからのカッティングやドライブなどを学べてよかったです」
 一方の樋上選手は、最初こそ参加者のレベルの高さに不安も感じたそうです。しかしそのレベルの高さが逆に奏功し、「選手のレベルが高いし、練習の環境もよくて、萩原コーチの指導もあって、チャレンジすることや、国際基準で考えたり、世界で戦うことを意識しながら練習ができました」と 3 日間を総括します。また、初めて味の素ナショナルトレーニングセンターで練習し、隣接するアスリートビレッジでの寝食に「環境がすごくよくて、食事に関しても栄養指導を受けて、どういったものを食べたらいいか、どういった種類のものを合わせて食べたらいいかを学びながら生活をすることができました」とも言います。

 技術面はもちろんのこと、栄養やトレーニングなどさまざまなことを吸収していくナショナル育成センター。U15 の第 2 回キャンプは28名から20名に絞られ、10月25日 (金) ~27日 (日) の日程で開催される予定です。

 
■2019年度 U15 ナショナル育成センター (女子) 第 1 回キャンプ 主なプログラム
◆1 日目 9 月27日 (金)
・開講式
・ジャパンズウェイ、行動規範説明
・クリニック
・トレーニング
・栄養講習
・講義

◆2 日目 9 月28日 (土)
<午前>
・朝練習
・クリニック
<午後>
・クリニック
・トレーニング
・講義

◆3 日目 9 月29日 (日)
・朝練習
・クリニック
・閉講式

※キャンプの様子は、フォトギャラリーをご参照ください。