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2019年度 U14 ナショナル育成センター (女子) 第2回キャンプ 開催報告

2019年12月10日

ボックスアウトを徹底

スペースを活かし、ゴールに飛び込む

 11月8日 (金)~10日 (金) の 3 日間、味の素ナショナルトレーニングセンター (東京都北区)で「2019年度 U14 ナショナル育成センター」の女子第 2 回キャンプが行われました。今回は「U14 ユース育成コーチ研修」が同時開催され、各都道府県のコーチ陣が練習を視察するという、前回とは異なる環境でキャンプが進められました。しかし萩原美樹子コーチが「前回は少し緊張していたのか、表情もやや硬かったですが、今回は非常にのびのびと、明るく練習に取り組んでくれました」と言うとおり、環境の変化に動じることなく、選手たちは最後まで声を出し続け、自分の出せる力を出し切っていました。

 今回は、前回も取り組んだ 4 つのポイント (ツーガードと左右両ウイング) にポジションを取ってからの「ドライブ&キック」や「ギブ & ゴー」など、スペースを活用したオフェンスと、前回は取り組めなかったディフェンスやリバウンド (ボックスアウト) のドリルに取り組みました。萩原コーチは選手たちの反応に一定の手応えを感じています。

「動きとしては決して悪くありませんでした。彼女たちのうち何人かは昨年度の『U13 ナショナル育成センター』に参加していて、『ボディーアップ』と呼ばれる、コンタクトのあるディフェンスをしても倒れずに体勢を保つ動きを学んでいます。そのため今回もボディーアップを練習しましたが、昨年度の練習を思い出してやっている選手もいましたし、今年初めてこのキャンプに参加した選手もうまく対応してくれました」

 一方でスクリメージになると、教わったボディーアップやボックスアウト、4 ポイントのオフェンススペーシングなども忘れてしまい、個々の得意とする動き、自チームでやっている動きに戻るなど、学んだことをうまく表現できていない時間も多く見られました。
 それでもスクリメージの中で「ボールを受けようとしてディフェンスにディナイをされたらバックカットを狙う」、「ドライブをしてディフェンスがヘルプに来たら、アウトサイドでスペーシングを取った選手にキックアウトパスを出す」といった動きもいくつか出せていました。
 萩原コーチは「ここで教わったことがすぐにできるようになると考えてはいない」とし、「自分らしさを出しながら、習ったことをきちんと頭に入れてプレーするという意味では、レベルの高いスクリメージができていたように思います」と称賛していました。

 選手たちも手応えを感じているようです。
「将来は日本代表に入りたい」と語る高瀬ゆのか選手 (岩手・大宮中学校 2 年) は「レベルの高い選手たちと一緒に練習を行って、たくさんのスキルや動き方、合わせ方などを学べてことはよかったです」と今回のキャンプを振り返ります。さらに、「今回はリバウンドでペイントエリアからボールを出す動きや、オフェンスでは前回同様『キラーポイント』と呼ばれる位置を意識して攻めることをやりました。まだまだ完ぺきではありませんが、前回よりポイントを強く意識して練習に取り組めたと思います」と目を輝かせます。

「将来は長岡萌映子選手 (トヨタ自動車 アンテロープス) のような選手になりたい」と語る島袋椛選手 (山口・光市立光井中学校 2 年) も「前回とは異なるメンバーで練習をする中で、自分の通用するところと、課題が見つけられたキャンプでした」と振り返ります。
「『キラーポイント』を意識することは、前回のキャンプ以降、自チームでも意識してきたので、アタックする回数は増えたと思います。また今回はボックスアウトの練習がありましたが、それは前回から意識していたことでもあったので、改めて学んだことで、スクリメージでそれをする回数が増えたと思います」

 彼女たちの言葉からも充実した第 2 回キャンプだったことがわかります。

 もちろん、参加選手たちには課題も山積しています。なかでも萩原コーチが気にかけているのは「ボールをもらうときのトラベリング」と「コンタクトプレー」です。
 ナショナル育成センターにはいくつかのコンセプトがあり、そのうちの1つに「国際基準でプレーする」というものがあります。その上に立って考えたとき、国内の試合でややおざなりになっているのが上記の 2 つ。例えばジャンプストップでボールを受けようと思えば、空中でボールを受けてから着地をしなければなりません。しかし実際には足が床についている時点でボールを受け、そこから小さくジャンプして両足で着地をする選手がまだまだ多くいます。このあたりは指導者を含め、審判とも改めて協議・連携をする必要がありますが、萩原コーチはこのキャンプで国際基準を示し、少しずつでも改善を図るように指導していました。
 コンタクトについても同様で、国内の試合だとどうしてもコンタクトが発生しづらいところがあります。それらをどう克服していくか。これは育成年代での今後の課題のひとつになりそうです。

 U14 女子としては次回の第 3 回キャンプが最終回となり、メンバーは今回の20名から15名に絞られます。しかし合否にかかわらず、キャンプで学んだことを日々の練習から意識して取り組めれば、彼女たちの未来はきっと明るいものになるはずです。



※キャンプの様子は、フォトギャラリーをご参照ください。