現地レポート

リベンジのその先へRSS

2011年12月26日 18時14分


少なくとも昨年のリベンジは達成しました。しかし、そこで終わるわけではありません。その先にある、まだ見ぬ舞台に彼らは挑戦するのです――。


2006年の第37回大会からウインターカップ3連覇を達成し、すっかり「冬に強い」というイメージを持たれた京都・洛南ですが、実は昨年、一昨年とともに2回戦で敗れています。つまり今年の3年生は優勝の経験はおろか、メインコートの経験さえありません。そんな洛南が3年ぶりにメインコートに戻ってきます。


「この1年はインターハイの初戦で負けたことと、ウインターカップの2回戦で負けたことの悔しさを忘れないでチームを引っ張っていくという気持ちでやってきました。(準々決勝進出は)みんながついてきてくれた結果だと思います。明日はメインコートでやれることを存分に楽しんで、洛南のバスケットで勝っていきたいと思います」


キャプテンの大元孝文選手はそう言います。昨年の悔しさがあるからこそ、もっと頑張ろう、次こそは勝ってやろうという気持ちにもなれる。そうじゃなければ、ウインターカップに出場することさえできなかったかもしれません。経験を生かすとはそういうことなのでしょう。もう一度「冬の洛南」らしいチームで走りきるバスケットを見せてもらいたいと思いますし、きっと見せてくれるでしょう。


昨年のウインターカップで苦汁をなめたのは洛南だけではありません。今シーズン、すでに2冠を達成している宮崎・延岡学園も、昨年は3回戦で東京・京北に2点差敗れています。確かに当時は今3年生、当時の2年生を中心とした下級生チームでした。それでも、いや、それだけに負けた悔しさも人一倍大きかったことでしょう。


「昨年は3年生を出さずに2年生主体でやっていたので、3年生をメインコートに連れていきたかったというのもあるし、それができずに申し訳ないという思いもありました。昨年の負けがあったから、今、ここまで来られたのだと思います」


昨年もスタメンとしてウインターカップをプレイし、今年さらに進化したエースのベンドラメ礼生選手はそう言っていました。コートに立てば、自分たちがやるんだという思いを持ちながら、その一方で2年間一緒に練習をしてきた3年生のためにという思いを抱きながら、チームを勝利に導けなかった悔しさ。それこそが今年の延岡学園高を支えている大きく、太い根っこなのでしょう。ベンドラメ選手はこう続けます。


「優勝を目指しているので、3冠はもちろん意識しています」


今日の勝利でまた一歩、3冠達成に近づきました。男子の3冠達成は1998年に田臥勇太選手(現リンク栃木ブレックス)擁する秋田・県立能代工業が達成して以来のことです。延岡学園にとって、リベンジの先に見据えているものは、ズバリ「3冠達成」です。


男子の準々決勝はメインコート初日の試合というだけでなく、大会最終日まで残れるかどうかのかかった、大一番でもあります。勝ち「残る」のは一体どのチームでしょうか。明日を楽しみに待ちたいと思います。


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エースを輝かせる対角の存在RSS

2011年12月26日 13時54分

メインコートを賭けた女子の準々決勝が終わりました。準決勝のカードは――


愛知・桜花学園×北海道・札幌山の手
山形・山形市立商業
×岐阜・岐阜女子


インターハイ王者の神奈川・県立金沢総合は桜花学園に、インターハイ準優勝の大阪・大阪薫英女学院は岐阜女子にそれぞれ敗れました。今年の女子はどこが勝ってもおかしくない混戦状態。そのギリギリの戦いを制して、メインコートに立つことができるのですから、明日の準決勝はこの4チームに思いきり戦ってもらいたいと思います。


高校バスケットファンの方々は、札幌山の手の長岡萌映子選手と県立金沢総合の宮澤夕貴選手の直接対決を楽しみにしていたのではないでしょうか。開幕前には日刊スポーツにもそのような記事が出ていました。結果的に直接対決にはなりませんでしたが、やはりこの大会の中心になっていたのはその2人であることに間違いはありません。


その一方で、どちらのスーパースターも1人だけの力で勝ちあがってきたわけではありません。支える仲間がいてこそ、真のエースとしての存在感も増すわけです。


「萌映子さんにすべて頼ったら、相手も寄ってしまうので、自分で攻めることも意識して、うまく萌映子さんを使えるように心がけています。今年は萌映子さんがいない時期が多かったんですけど、いなくても自分たちだけで頑張ろうって思って、ずっと練習していました。自分としても、インターハイのときに萌映子さんへのパスがうまく出せなかったので、うまく入れられるようにフェイクやパスの練習をしたり、ちゃんと自分で攻めてから萌映子さんにパスをするように意識してきました。それでもまだディフェンスが寄っているのにパスをしてしまったり、萌映子さんばかりを見ているときがあるので、明日以降はもっと積極的に攻めていこうと思います」


そのように言うのは、札幌山の手の新堀京花選手です。2年生ながらスターティングメンバーに名を連ね、長岡選手に寄りがちなディフェンスを分散させるような攻撃を仕掛けています。彼女の存在、彼女の成長はチームにとっても、長岡選手にとっても心強いところがあるのではないでしょうか。


明日の対戦相手は百戦錬磨の名門・桜花学園です。長岡選手封じを必ずしてくるでしょうから、そのときに新堀選手をはじめとした周りの選手が勝敗のカギを握るように思います。しかも桜花学園は下級生中心のチーム。来年また対戦する可能性もあるわけですから、2年生の新堀選手としても“負けグセ”はつけたくないところでしょう。


もう一方の宮澤選手にも対角になる選手がいます。地味ながら体を張ったプレイで宮澤選手とインサイドでコンビを組む河瀬ひとみ選手です。宮澤選手も、長岡選手ほどではありませんが、たとえば「第1回3×3ユース世界選手権」に出るなど、チームにいない期間がありました。その間、河瀬選手は「私は宮澤のように外からキッチリ得点を稼ぐことはできないんですけど、ルーズボールのように気持ちで何とかなるようなプレイを意識して、チームに貢献できるようにと思って練習に取り組んできました」と言います。それは桜花学園のインサイド陣を向こうに回しても、しっかりとできていたように思います。


河瀬選手は宮澤選手の存在についてこうも言っています。


「チームメイトとしてはすごく心強いし、チーム内ではいい相手というか、自分にとってもすごく経験を積ませてもらっているし、そういった面ですごく勉強させてもらいました」


つまりは、いいお手本であり、いいライバルというわけです。「天井効果」という言葉があるように、近くに上手な選手がいれば、その選手に引っ張られてうまくなることはよくあることです。もちろん彼女の努力なくしてはありえないことですが、努力に「天井効果」も加わって、河瀬選手は県立金沢総合のスタメンの座、宮澤選手の対角の座を勝ち取ったのでしょう。この経験を生かして、大学でもぜひ頑張ってもらいたいと思います。


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不可能を超えろ!RSS

2011年12月26日 09時39分

開幕してからの3日間、世の中は3連休でした。そのおかげもあるのでしょう、初日が7,172人、2日目が9,812人、そして3日目の昨日が10,836人の方々が会場に足を運んでくださいました。第4日目の今日は平日ということもあり、もしかしたら若干入場者数が落ちるかもしれませんが、逆に言えば、よりよい席で観戦することができる可能性もあるわけです。是非ご来場ください。


その東京体育館に来る電車内は多くサラリーマンで混み合っていました。冬休みを目前にしながらも、多くのお父さんたちは家族のために満員電車に揺られ、社会と戦っているのです。


「親の心子知らず」という言葉があるように、子どもたちが親の気持ちをどこまで知っているかわかりません。それでも、以前、山形・山形市立商業の高橋仁コーチが言っていたのですが、「高校生は我々大人が思っているよりも子どもではない」そうです。ちゃんと親への感謝の念を持っているのかもしれません。その一方で高橋監督は「でも、自分たちが思っているよりも大人ではない」とも言っていました。そのように大人から見れば難しい年頃ではありますが、大人の入口にいる彼ら、彼女らは今日も精一杯に戦うことでしょう。


折り返し日を迎えた「JX-ENEOSウインターカップ2011」は女子の準々決勝と、男子のベスト16が激突します。


女子の昨年の覇者、北海道・札幌山の手に挑むのは、今年開催地枠で出場してきた東京・東京成徳大学です。根岸夢選手は札幌山の手戦に向けて、こう言っていました。


「超楽しみです。(長岡)萌映子のところで勝負しようとは思いません。リバウンドではシー(鈴木静香)たちがボックスアウトをして、ガード陣が飛び込もうと思っています。あとは萌映子のメンタルをどう崩すか。仲がいい分、萌映子のことはよくわかっているので、あのメンタルの強さをどう崩していくかがカギになると思います。それさえできれば勝てると思っています」


根岸選手と長岡選手は女子U-17日本代表などで一緒に戦ったメンバーなので仲もよく、お互いがお互いを知り尽くしているわけです。知っているからこその駆け引きがおこなわれるのでしょうから、根岸選手の言葉にもあるように楽しみな一戦になりそうです。


 



男子の京都・洛南と対戦するのは、青森・弘前実業です。初日に福井・北陸を破り、昨日も千葉・県立幕張総合との激戦を制した、今乗っているチームです。エースの山崎渉真選手は洛南戦に向けて、次のようなコメントを残してくれました。


「どれだけ自分たちの力が通用するのか、明日は楽しんでプレイしたいと思います。それでも昨年のウインターカップはベスト16で終わっているので、今年はもっと上に行けるように、自分たちで頑張っていきたいです」


今年の弘前実業は昨年のチームに比べて、個人力もチーム力も上がったと山崎選手は言います。彼自身も相手の弱点を見抜いて、臨機応変にプレイを変えられるのが特長です。洛南に対してどのような変化を見せるのか、こちらも楽しみです。


今朝、見かけた某映画のキャッチコピーは、まさにこれから試合を行う24チームに向けられた言葉のようでもありました。


選手たちよ――「不可能を超えろ!」


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