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3×3女子日本代表:強化合宿レポート「日本の3×3における基盤を作り、世界と戦えるチームにしていきたい」前田有香ヘッドコーチ
2025年5月24日

ミラン・イサコフ コーチの指導でこれまでの国際経験の答え合わせをする桂葵選手

2週間で3x3と5人制それぞれの日本代表合宿に参加し、多くの学びを詰め込む三田七南選手
前田有香ヘッドコーチを迎え、新体制となった3×3女子日本代表は5月20日から23日に強化合宿を実施しました。パリ2024オリンピックで金メダルに輝いたドイツなど、強豪国は国際大会へ頻繁に出場し、チーム力を高めつつ経験値を積み上げているのが主流です。「6月からはじまるFIBA 3×3 ウィメンズシリーズ2025に日本代表として継続参戦し、またFIBA 3×3ワールドカップ2025出場も決まっています。FIBA 3×3アジアカップ2025で銀メダルを獲得しましたが、世界とのレベルの差は大きくあります。今後に向けてまずは日本の3×3における基盤を作り、世界と戦えるチームにしていきたいと思っています。今シーズンに限っては新たな環境に対しても挑戦となりますが、来年や再来年につなげて、ロサンゼルス2028オリンピック出場権獲得を目指します」と前田ヘッドコーチは抱負を語りました。
選手選考の基準として、「3×3はWリーグなど5人制のシーズンとはかぶっていないので、その時期にしっかりコミットできる選手がプレーできるようにしたいです」と前田ヘッドコーチは続け、新たな日本の方向性を定めます。FIBA 3×3 ウィメンズシリーズはすでに開幕し、8月末まで各都市で15回開催され、ランキング上位8チームによる9月初旬のFIINALでシーズンが終わります。都市名を背負ったクラブチームとして参戦する男子のFIBA 3×3ワールドツアーとは異なり、FIBA 3×3 ウィメンズシリーズは各国代表が多く出場しています。日本も同様に、3×3専任の選手とWリーグや大学生の5人制を主とする選手を競い合わせて選考し、継続的に世界と戦う体制づくりへの挑戦がはじまりました。
前田ヘッドコーチが目指す「日本の3×3における基盤づくり」として、今合宿には3×3の強豪であるセルビアからミラン・イサコフ コーチを招聘。3×3特有のスキルを惜しみなく伝授していただく機会となりました。ピック&ロールの攻防に対するスキルに時間を割き、「難しく無駄に動くのではなく、効果的に、効率的にプレーすること」をイサコフコーチは強調します。トヨタ自動車アンテロープスでプレーし、Wリーグのルーキーシーズンを終えた桂葵選手(ZOOS)。以前は3×3に情熱を注ぎ、前田ヘッドコーチとともに世界へ挑み、日本の3×3を牽引してきた一人です。経験豊富な桂選手にとっても、イサコフコーチに教わるスキルは「感動の連続でした。3×3への情熱が再燃しました」と感想を述べます。これまで世界と対峙してきた上で、「自分たちでアイディアを出し、感覚でしかなかったことをそれでもチームの中で共通認識して、プレーの定義を作ろうとしてきました。でも、その正解が何かが分かりませんでした」とイサコフコーチの練習によって答え合わせをします。前田ヘッドコーチとともに目指してきたことが間違いではなかったと確信に変わる機会になりました。
三田七南選手(ENEOSサンフラワーズ)は昨年のパリ2024オリンピック予選をリザーブメンバーとして帯同し、「近くで4人が戦っている姿を見て、4人が悔しがってる姿も見て、当事者として体験できたわけではないですが、同じように悔しい思いをしました」と振り返ります。22歳の三田選手は、3×3女子U23日本代表候補選手として、5月11日にコレド室町テラスで開催された「3×3 JAPAN TOUR 2025 [U23カテゴリー]プレ大会」に出場。その翌日から高橋未来選手(デンソー アイリス)とともに 、コーリー・ゲインズヘッドコーチ率いる女子日本代表セレクションキャンプに参加。新たな5人制のバスケスタイルとともに、ブライアン・フィンリー プレーヤーディベロップメントコーチによるスキルトレーニングを受けます。ふたたび3×3の練習に勤しんだ今合宿であり、約2週間で多くのコーチからたくさんのことを詰め込んできました。
5人制に通じるスキルがある一方で、「3×3との違いも感じています。例えば、5人制の2メンゲームでは、他に3人いることでスペースがなくなったり、カバーディフェンスもいるため2人だけでは完結しづらいことが多いです。そのためにコーリーヘッドコーチは逆サイドのカッティングを入れるスペーシングのプレーがありましたが、3×3での2メンゲームは他に1人しかいないので、ノーマークの状況にできます。3×3ならではのスクリーンを使った裏パスを狙うようなプレーや、ディフェンスとの駆け引きをかく教えてくださり、それは新しい知識であり、考え方に感銘を受け、ものすごく楽しかったです」と三田選手は刺激を受けます。
たった3日間の練習では、「1%ほどしか伝えられていない」とイサコフコーチも残念に感じていました。しかし、0と1では大きな違いがあり、今回習った1をかけ算しながら成長につなげていくことで可能性が広がります。「3×3の基盤を教えていただいたからこそ枝分かれさせ、引き出しをたくさん増やしたい。まだまだインプットしたばかりなので全部は理解し切れていないですけど、これから映像を見返して習慣化できるようにしていきたいです」と三田選手は話し、イサコフコーチも「イメージするだけでも成長できる」と継続していくことが重要です。
最初の合宿を終えた前田ヘッドコーチは、「3×3の基板となる部分をみんなと一緒に学べたことがとても良かったです。これから3×3を続けて行く上でベースになるものをしっかり整理し、5人制にもつながる動きは所属チームに戻っても継続して練習してください。また、今回学んだことをいろんな人に伝えることで、日本の3×3のレベルがもっと上がっていきます」と選手たちへ伝え、3×3をさらに前進させていきます。