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女子日本代表:第1次強化合宿実施中「日本を代表する選手になりたいと強く意識」赤木里帆選手

2025年5月24日

赤木里帆選手は優勝経験を自信に変え、目標として強く意識した日本代表合宿に初参加

約3年ぶりに招集され、日本代表復帰を目指す渡嘉敷来夢選手

 女子日本代表は25名の候補選手を招集し、5月21日から第1次強化合宿がスタート。コーリー・ゲインズヘッドコーチはチームのアイデンティティーを構築するために、「FIBA女子アジアカップで勝利することはもちろん大事ですが、未来の日本代表を作るためにも土台作りを重要視し、チームのコンセプトやフィロソフィーを伝えて共通理解を図り、全員で成長すること」から着手しています。プレースタイルは「基本的にファイブアウト・オフェンス。ペースとスペースを大事にし、ボールを持った選手は他の4人の動きを読んで(リード)リアクトする。思いきって判断することを求めています」と本格的な強化がはじまりました。

 渡嘉敷来夢選手と長岡萌映子選手にとっては約3年ぶりの代表招集ですが、ゲインズヘッドコーチとはリオ2016オリンピックをはじめ、それ以前からアドバイスを受けてきました。プレーや性格などは理解しており、月日が経った現時点の「細かい部分をしっかりと見ていきたい」とゲインズヘッドコーチは評価していきます。「率直に、スタートラインに立てることをうれしく思っています。25人が選ばれている今がゴールではないですし、満足することなくやっていきたいです」と渡嘉敷選手は気を引き締め、練習に臨んでいます。

 FIBA女子ワールドカップ2022以来の日本代表復帰を目指す渡嘉敷選手。3年後のロサンゼルス2028オリンピックを見据えるにあたり、「自分の年齢やパフォーマンスを考えた場合、ちょっと難しいと判断をされる可能性もあります。今すぐオリンピックがあれば、自信を持って絶対に行けます、と強く言えますが、今はまだヘッドコーチの考えもハッキリとは分かっていないので、こういう言い方になります」と新体制となった日本代表での役割などを探していかなければなりません。

 パリ2024オリンピックでは足りなかった高さが期待される一方、日本の武器である3ポイントシュートへの課題も渡嘉敷選手自身が把握しています。昨年の皇后杯ではアイシン ウィングスを準優勝へ導き、その決勝戦では試合序盤に3ポイントシュートを成功。試投数こそ少ないですが、1本目を沈めることで相手に印象づけることもできます。ゲインズヘッドコーチからは「思いきって打て!打つのは簡単だろ」と言われており、「空いたら思い切って打というという気持ちではいます。所属チームの事情としてシーズン中に打つことは難しかったですけど、常にシューティングはしているので、あとは自信を持って打つだけだと思っています」と合宿中も練習前にしっかりと打ち込んでいます。

 ゲインズヘッドコーチは19歳の田中こころ選手と中村ミラー彩藍選手をはじめ、日本代表候補として4人を初選出しました。田中選手にとっては憧れの選手ばかりであり、「最初の顔合わせの時はすごく緊張しました。でも、一日目が終わっていろんな方とお話できたことで、緊張は全然なくなりました」とコート内外で自分らしさを発揮します。プレー面ではポイントガードを任され、「どんどん前にボールをプッシュすることを意識しています。シューティングガードとしてもプレーしてきたので、自分のシュート力も見せていければ良いと思います」とゲインズヘッドコーチが目指すバスケスタイルに対し、積極的に順応しています。

 Wリーグで2連覇を飾った富士通レッドウェーブから5人が選出されました。そのうち赤木里帆選手は、はじめて日本代表活動に参加。リストに名前が挙がったときは、「率直にビックリしました」という赤木選手ですが、2連覇を狙う昨シーズン開幕前から高い目標を掲げていました。2023−24シーズンにはじめて優勝するまでは、「日本代表は憧れの舞台であり、応援する側でした。自分が代表選手になりたいと言っていいのいかどうかも分からない位置にありました」と言います。しかし、優勝したことが自信となり、「自分の中での目標を決めようと思ったときに、日本を代表する選手になりたいと強く意識しました」と1年間努力し続け、2度目の優勝とともに代表合宿に参加するチャンスを引き寄せます。「トップレベルの選手が集まるこの合宿に参加させていただき、本当に学ぶことがたくさんあります。スピード感などいろんなことが勉強になっています」と吸収するだけではなく、「どんどんアグレッシブにディフェンスしていきたいです」と長所を生かしてアピールしています。

 ゲインズヘッドコーチは「若手育成のためにも、ベテランの経験を生かしたい」と考え、メンバーを選考しました。時代の変化により、コミュニケーションの手法が変わっているからこそ、ベテランにはつなぎ役としても期待しています。「対面でコミュニケーションを取って、認識を合わせることが必要です。フィル・ジャクソンが史上最高のヘッドコーチなのになぜ引退したのかと聞いた時、ブルズ時代はベテランが多く、うまくコミュニケーションが取れていましたが、時代が変わって若い選手たちがうまくコミュニケーションが取れなくなったことでコーチングも難しくなったと話していました。そうならないためにも、ベテランと若手のバランスを大事にしています」という先人の経験を踏まえ、新しい女子日本代表を作っています。