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女子ユニバ日本代表:ウィリアム・ジョーンズカップ優勝・MVP樋口鈴乃選手「ガードが点を取りに行くことで流れを作っていける」

2025年7月8日

本番前にジョーンズカップを制した女子ユニバ日本代表

MVPとベスト5を受賞した樋口鈴乃選手(左)と佐藤多伽子選手

 「FISUワールドユニバーシティゲームズ」開幕まで、あと8日。女子ユニバ日本代表は実戦強化の場として、「第44回ウィリアム・ジョーンズカップ」(以下ジョーンズカップ)へ出場。最終戦こそ開催地のチャイニーズ・タイペイに敗れましたが4勝1敗で昨年に続き、優勝を飾りました。

 女子日本代表がチャンピオン奪還に挑むFIBA女子アジアカップ2025(中国・深圳)直前ということもあり、チャイニーズ・タイペイ ユニバチームを除き、「どの国もフル代表が参戦し、ものすごくレベルが高く、本当に良い試合ができました。フィリピンとチャイニーズ・タイペイにも190cm台の大きな選手がおり、ユニバーシティゲームスを前に良い経験になりました」と小笠原真人ヘッドコーチは成果と課題をしっかり持ち帰ってきました。女子日本代表にとっても、FIBA女子アジアカップ2025で予選グループフェーズ同組のフィリピンや、勝ち上がれば対戦する可能性がある韓国の情報を共有でき、一気通貫、日本一丸でそれぞれの大会で1番を目指します。

 三浦舞華選手(トヨタ自動車アンテロープス)は「全試合とも前半は競ってしまい、苦しい時間帯が多かったです。自分たちのプレーが何度も何度もうまくいかず、本当に苦しかったです」と感想を述べ、課題が先行します。苦しい時間帯こそ、「ディフェンスで粘ってリバウンドからブレイクを出せたことで、徐々にリズムをつかむことができました」とキャプテンとしてガマンさせ、勝利へ導きました。国際試合では環境への対応力も欠かせません。「レフェリーのジャッジが国内とは違い、試合によっても違っていたことにアジャストしなければいけませんでした。また、相手の手の長さにボールが当たってターンオーバーが増え、ブロックされることも多かったです。その体格差に対する対応がうまくできず、みんなも課題に感じているので、ユニバーシティゲームスに向けてしっかり修正していかなければいけないです」と事前にできたこの経験を糧にします。

 ジョーンズカップを制した日本から、樋口鈴乃選手(日立ハイテク クーガーズ)と藤澤夢叶選手(山梨学院大学4年)がベスト5に選ばれました。合わせて、樋口選手が今大会MVP受賞。喜びの声を聞けば、「自分で良いのかなって思いました。このチームの強みは、誰が出ても同じように活躍してみんなが点数を取れることであり、今回の受賞はたまたまでした。チームとして最後の試合に勝ちきれず、そこに甘さが出たと思います。ユニバーシティゲームスへ向けて、改善していかなければいけないです」と樋口選手も課題が先行します。

 昨シーズン、Wリーグ フューチャー得点王の樋口選手は、今年5月の女子日本代表セレクションキャンプに参加した一人です。コーリー・ゲインズヘッドコーチの新しいスタイルとを知る機会となり、来日したブライアン・フィンリー コーチのスキルトレーニングでは、「ポイントガードが1番シュート力を持っていなければいけない」と背中を押されました。ジョーンズカップでは5試合で平均11.2点。タイとの開幕戦、100点ゲームのダブルスコアで大勝しましたが、樋口選手は2点に終わりました。しかし、翌日の韓国戦は23点を挙げ、勝利に貢献。「やっぱりガードが点を取りに行くことで流れを作っていけることを今大会で感じました。セレクションキャンプでコーチ陣から言われたように、得点力はもっともっとつけていかないといけないです」と教えを守り、実践することが上のカテゴリーへの架け橋となります。

 前回大会銀メダルの女子ユニバ日本代表であり、その手応えと悔しさを知る選手が半分います。本番前のジョーンズカップで表彰台の一番高いところに立つことができましたが、「全勝優勝してこの大会を終えたかったです」と三浦選手が言い、不完全燃焼で終わりました。相手への大歓声に包まれた最終戦は、「気持ちの部分で負けてしまったと思います。相手のシュートが当たっている時こそ、1本を止めて自分たちの流れに持っていかなければいけなのに、悪い流れのまま引きずってしまいました。ここで負けていたら、世界と戦うユニバーシティゲームスはどうなるんだろう、という不安な気持ちでいっぱいです」と引き締めます。しかし、順風満帆にいかなかったからこそ、「今大会はまだみんなの力を出し切れていませんでした。本当に良い選手が揃っているのでもっと良さを引き出し合いながら、最強のチームになって優勝したいです」と三浦キャプテンは力を込め、残る少ない期間で引き上げていきます。

 前回大会の選考段階で落選した樋口選手にとっては、「同級生のみんなが活躍している姿を映像で見ていましたし、準優勝という結果もすごいと思っていました。今回は同じ舞台に自分が行けることがすごくうれしいです。今回こそしっかり優勝できるようにがんばりたいです」と2年前の悔しさを晴らし、2年間の成長を発揮する大舞台へ向かいます。

■第44回ウィリアム・ジョーンズカップ 試合結果
日本 103-49 タイ
日本 75-69 韓国
日本 72-51 チャイニーズ・タイペイ ユニバチーム
日本 94-74 フィリピン
日本 79-89 チャイニーズ・タイペイ

■FISUワールドユニバーシティゲームズ
日程:7月16日(水)〜27日(日)
開催地:ドイツ・ラインルール
予選グループフェーズ
【グループA】インド、フィンランド、アルゼンチン、チェコ
【グループB】チャイニーズ・タイペイ、ドイツ、アメリカ、ポーランド
【グループC】日本、リトアニア、ブラジル、ハンガリー
7月18日(金) 20:00(日本時間 27:00)日本 vs リトアニア(会場:Ischelandhalle)
7月19日(土) 14:30(日本時間 21:30) 日本 vs ブラジル(会場:Walter-Schädlich-Halle)
7月20日(日) 12:00(日本時間 19:00) 日本 vs ハンガリー(会場:Ischelandhalle)
7月22日(火) 準々決勝・順位決定戦
7月23日(水) 準決勝・順位決定戦
7月25日(金) 決勝・順位決定戦