ニュース

「第8回JBAコーチカンファレンス(オンライン)」開催報告

2023年1月19日

「日本のバスケのためにみんなでがんばりましょう!」とのメッセージも

「人間力」をキーワードにして様々な話が展開されました

当協会(JBA)では、2023年1月14日(土)・15日(日)の2日間、オンラインでの「第8回JBAコーチカンファレンス」を開催しました。14日は907名、15日は688名程の皆さんがオンラインで参加し、過去最大のコーチカンファレンスとなりました。今年の8月25日に開幕する「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」(男子)を控える男子日本代表チームのトム・ホーバスヘッドコーチをはじめ、アンダーカテゴリー男女日本代表チームヘッドコーチ等にもお話しいただき、代表チームの現状や取り組み等が披露されました。参加したコーチの皆さんにとってはゲームを見るだけでは知りえなかった情報を得ることができ、そこから自分の指導、コーチングを見つめ直すことができる貴重な機会となりました。

1日目のセッション1では、カンファレンスイントロダクションとして東野智弥技術委員長が登壇。日本代表から育成での取り組みや日本バスケの今後についてお話しいただきました。
セッション2では、男子日本代表チームのトム・ホーバスヘッドコーチが登場。ワールドカップのアジア地区予選やアジアカップなど、どのようにチーム作りをしていったかなどをお話しいただき、8月のワールドカップが楽しみになる内容でした。
セッション3では、男女日本代表のアシスタントコーチを経験した鈴木良和コーチが登壇。鈴木コーチはもともと育成年代の指導を中心に行っていたこともあり、代表での経験を踏まえた上での育成年代のそれぞれの年代でどのようなことが求められるのかなどについてお話しいただきました。

2日目のセッション1では、女子アンダーカテゴリー日本代表チームの藪内夏美ヘッドコーチが登場。2022年に行われたU16、U17、U18のそれぞれの大会について、どのような準備をして、どのように選手、スタッフと向き合ってきたのか、コーチとして大切にしていることなど育成年代に携わるコーチにとって非常に参考になるお話でした。
セッション2では、男子アンダーカテゴリー日本代表チームのアレハンドロ・マルチネスコーチが登場。女子と同様に、2022年に行われたU16、U17、U18の各大会を振り返っていただきました。また、一方的に話すよりもインタラクティブにやりとりしたいというアレハンドロコーチの要望により、質疑応答の時間が多く設けられました。
セッション3では、「コーチにとって必要な人間力について考える」をテーマにパネルディスカッションを展開。パネリストとして、藪内夏美コーチ、中竹竜二さん(一般社団法人スポーツコーチングJapan 代表理事)、佐良土茂樹さん (日本体育大学/JBA指導者養成委員会委員)、モデレーターとして佐藤晃一さん(JBA 技術委員会 スポーツパフォーマンス部会 部会長)が登場しました。「人間力とは?」という内容からそれぞれの考え方や思い、エピソードなどをお話いただき、参加者にとっても深く考えさせられる時間となりました。

技術面において、各コーチが声を揃えていたのはファンダメンタル(基礎練習)の重要性です。トム・ホーバスヘッドコーチは「代表でもファンダメタルバスケットを教えています。フットワークやボールハンドリング、パッシングなど細かいところをしっかり練習すれば、代表に入るチャンスがあるというメッセージを選手たちには伝えて欲しいです」と、参加された多くの育成年代のコーチたちへメッセージを送りました。

■カンファレンスの主な内容
◎ DAY 1:1月14日(土)
【セッション1】カンファレンスイントロダクション
スピーカー:東野 智弥 (JBA技術委員会 委員長)
<主なトピックス>
・キーワード創り「一気通貫」「日常を世界基準に」
・今年のキーワード「競争力」
・日本一丸のPDCA
・FIBA ワールドカップ 2023へ向けて

【セッション2】男子日本代表の活動の振り返りと2023年ワールドカップに向けて
スピーカー:トム・ホーバス (男子日本代表チーム ヘッドコーチ)
<主なトピックス>
・ワールドカップ予選、アジアカップの振り返り
・男子代表でのチーム作りとこれまでの成長
・ワールドカップに向けて
・コーチとして大切にしていること

【セッション3】代表活動を通して感じる育成年代からのコーチングの重要性
スピーカー:鈴木 良和 (女子日本代表チーム アシスタントコーチ)
<主なトピックス>
・ゲームモデルについて(局面別の整理)
・5つの局面(トランジション・クリエイト・チャンス・ブレイク・フィニッシュ)での年代別の原理原則
・育成年代のコーチングで重要なこと

◎ DAY 2:1月15日(日)
【セッション1】女子アンダーカテゴリー日本代表の活動の振り返りとこれから
スピーカー:藪内 夏美 (女子アンダーカテゴリー日本代表チーム ヘッドコーチ)
<主なトピックス>
・アンダーカテゴリーでのコーチング
・大会の振り返り(U16アジア選手権大会、U17世界選手権大会、U18アジア選手権大会)
・育成年代のコーチの皆さんへ

【セッション2】男子アンダーカテゴリー日本代表の活動の振り返りとこれから
スピーカー:アレハンドロ・マルチネス 男子アンダーカテゴリー日本代表チーム ヘッドコーチ)
<主なトピックス>
・大会の振り返り(U16アジア選手権大会、U17世界選手権大会、U18アジア選手権大会)
・練習で大切にしていること

【セッション3】コーチにとって必要な人間力について考える
パネリスト:藪内 夏美 (女子アンダーカテゴリー日本代表チーム ヘッドコーチ)
パネリスト:中竹 竜二 (一般社団法人スポーツコーチングJapan 代表理事)
パネリスト:佐良土 茂樹 (日本体育大学/JBA指導者養成委員会委員)
モデレーター:佐藤 晃一 (JBA 技術委員会 スポーツパフォーマンス部会 部会長)
<主なトピックス>
・「人間力」とは?
・ユーモアと人間力
・自己認識と他者理解
・物事の捉え方

■参加者からのコメント
≪トム・ホーバスコーチのセッションについて≫
・日本代表でもファンダメンタルをしっかり練習として取り入れていることがわかり、ファンダメンタルの重要性を再認識しました。また、自分が努力する、または更新していくことができないと、代表として必要のないという厳しい世界だと感じると同時にスポーツ選手であっても常に学び続けていかないといけないんだなと思いました。
最後にハングリーでなければならないという言葉が印象に残りました。プロだけではなく恵まれているこの日本においてどのようにすればハングリーが育まれるのかとも聞きながら考えました。

・ファンダメンタルの重要性とあきらめないメンタルの育成、途中でぶれない一貫した指導等々、選手の気持ちを途切らせることのない指導者の情熱と勉強が大切だと感じました。自分の方向性が合っているのか不安になる中、日本の代表指導者からの言葉に安心するとともに今後の指導に希望が持てたと感じています。

・「みんなでがんばりましょう」というトム・ホーバスヘッドコーチの言葉が心に残りました。日頃、指導にあたる者の一人としてがんばりたいという気持ちになりました。

≪鈴木 良和コーチのセッションについて≫
・U12、U15でゾーンディフェンスが禁止になったときに、どうしてそんなことをするんだろうと怪訝に思いました。バスケットボールの1つの醍醐味としてディフェンスを変えるということが、コーチングの妙味であったと思います。しかし今日の話を聞いて、育成時期におけるバスケットボールの基礎の習得の重要性と、ゾーンディフェンスに頼ることによって一人ひとりのディフェンス力が向上しないということに気づかされました。
育成時代から、やはりマンツーマンを指導し一人ひとりのファンダメンタルを高めることが、日本のバスケットボールの発展につながるということを確信しました。

・育成年代の指導について、明確なビジョンを示していただいたと思います。特にU12の指導においての話は、納得のいく内容でした。フィニッシュ力を高める指導を徹底することが、将来につながることを指導者がしっかり理解することが大切だと思いました。U12の指導者の傾向として、目先の勝利を優先するが故に、ピック&ロールや、戦術でなんとかしようとされることを目にしています。それでは、次のカテゴリーです通用しない選手育成になっていることも実感として感じていましたので、今回のカンファレンスは、とても良い機会にすることがきたのではないかと思います。

・「幼稚園児でも赤信号と青信号の区別がつく。判断する基準を指導者が伝えられてないから。」という表現がとても印象的でした。私自身、伝えていることにバラつきがあり、子どもたちを迷わせていると気付かされました。もう一度チームとしてプレーの約束事をシンプルにし、子どもたちが自分たちで判断し気付いていける練習を考えていきたいと思いました。

≪藪内 夏美コーチのセッションについて≫
・コーチの権限/選手の権限のところで、コーチが全てに関わるのでは無く、小学生であっても適度な権限を与えることで成長を促すことの大切さを感じました。

・「セットプレーでも選手に選択肢がある」、判断してプレーすることの楽しさを伝えながら指導にあたりたいと思いました。「敵ではなく、対戦相手」、リスペクトをもって対戦するという意識が、恥ずかしながら私自身にありませんでした。意識を変え、その意識を選手とシェアしたいと思います。

・トッププレーヤーだった方が指導者として学び、さらに指導の仕方を工夫する姿にはとても感銘を受けました。女性ならではの視点も入っているように感じました。見習いたいところは、姿勢ももちろんですが、ひとりひとりに対する声かけやアフターフォローです。取り入れたい所は自分自身のコーチングの振り返りの部分です。

≪アレハンドロ・マルチネスコーチのセッションについて≫
・マルチネスコーチのコーチング哲学、バスケットボール哲学も明確でとても勉強になりました。中でも、リバウンド、ファストブレイク、スペーシングへのこだわり。正しい状況判断を練習を通して明確にすること。コーチがブレない幹(ゴール)を持っていることは、選手たちにとってもわかりやすくモチベーションも高まると思いました。1-4などの基本モーションの有効性、アンダーカテゴリー世代にはわかりやすくて有効であるのだと感じました。オプションが自由で考えやすいことも魅力だと思います。

・スペーシングの意識を全選手が理解することの重要性、アンダーカテゴリーから意識させることが重要だとわかりました。そのためには判断力を磨くこと、カテゴリーごとに理解度は違うとは思いますが、地道に取り組んでいくことが改めて必要だと感じました。
練習ではミスのたびに練習を止め、何がダメなのかをしっかりと説明して理解させることが大切だと思いました。選手は条件反射的に理解していなくても、わかっているという返事をすることがあるので、本当に理解しているか、確認する必要があるというところは、まさにその通りだと思いました。

・「1番簡単なのは手間暇かけずシンプルに攻めること」確かにその通りだと思いました。
飴と鞭で注意するときのテンションと同じテンションでできた時は褒めていたのですが、「ただ褒めるのでは無く出来た工程を褒めるともっと努力する」ということは目から鱗でした。

≪パネルディスカッションについて≫
・コーチにとって必要な人間力とは、正しい自己認識、そして多くの引き出しを持ち、たくさんの見方と選択肢と打開策を持つこと。そこにユーモアとウイットが利かせられれば最高かなと考えます。
グロースマインドセット、フィクストマインドセットも学べ、大変勉強になりました。2日間ありがとうございました。

・「コーチの人間力なくして、選手の競技力の向上なし」は確かにその通りと思いました。
よく失敗を恐れずチャレンジしろ、と選手には言うものの、自分はどうなのかというと、同じような練習ばかりして、自分はチャレンジしていないかもという話も興味深く聞きました。
ほめるということは縦関係を作りがちというのもはっとさせられました。そして単にほめるのではなく、具体的に良かったところをフィードバックすることも大切にしていこうと思いました。うまくいかないことに対しては、共感も大切であるが、どうしてうまくいかなかったのか、理由を選手と一緒に考えることも重要だと学びました。

・コーチは聖人君主でいなければいけない、そう考えて、弱みは見せないと、どこか孤独になることも多かったですが、パネストの皆さんも悩み、勉強し、考える、そういった人間味のある話が伺えたことが何よりでした。人の考え方をどうかすることはできない、との考え方が最近やっとできるようになってきた気がします。しかし一方で自分が考えていることを表現する、ということもコーチには必要である、ということを再認識しました。
人間力とは何か、その答えのない問いを、これほどまでに多くの人間がバスケットを通じて考えるJBAに関われていることに感謝し、より一層考え学び続け、前に進みたいと考えます。

2日間にわたって開催したコーチカンファレンスでは、合計8名の登壇者の皆さんからの大変貴重なお話をいただきました。さらに、チャット機能を利用して、参加者の皆さんの様々な意見、感想があり、そこからも多くの学び、気づきを得られるカンファレンスであったのではないかと思います。
JBAの指導者養成では「学び続ける」ということをテーマとして掲げておりますが、我々も学び続けながら、皆さんにとってよりよい学びの機会を今後も継続して企画、実施してきたいと思います。
今後とも皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

※今回のカンファレンス動画については後日オンデマンドでの配信を行います。
 オンデマンド配信に関する詳細は後日改めてご案内します。