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ニュース

2018年度スクールコーチ・スキルコーチ講習会 開催報告

2019年2月10日

トレーニングの内容を説明する佐藤氏、松野氏

末広氏の映像を交えた講習

 2019年1月8日(火)~9日(水)の2日間、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)において、「2018年度スクールコーチ・スキルコーチ講習会」を開催しました。今回は、約60名の受講生の参加者がありました。

 当協会(JBA)では、育成年代の指導が非常に重要であると考えています。理由の一つは、競技人口です。約62万人のバスケットボール競技人口のうち、約65%をU15・U12などの育成年代が占めているからです。二つ目に、日本のバスケットボールの未来は、育成年代の子どもたちに託されていると考えているからです。バスケットボールは、プレーする楽しさもありますが、観る楽しさもあり、支える(コーチング、組織や大会の運営)楽しさもあります。子どもたちが、そういったバスケットボールの楽しさを継続的に味わっていくためには、育成年代にバスケットボールを真に楽しんでプレーできる環境を創ることが必要です。それは指導者にかかっているといっても過言ではないでしょう。

 一方で、育成年代の指導には難しさがあります。第一に、指導の成果を定めることの難しさがあります。育成年代では、勝利が一番重要なことではありません。また、適切な時期(年齢、習熟度)に適切な指導をしないと指導の効果が得られないと言われています。その時期を逃してしまうと後戻りができないのが育成年代の特徴です。
 以上のことから、育成年代の指導者は正しい考え方と正しい知識を持って指導する必要があります。
 スクールコーチ・スキルコーチ講習会は、そういった育成年代を担う指導者、その中でも特に、活動が活発化しているクラブやスクールコーチをターゲットとして育成年代の指導内容を伝達するものとして開催されました。

 JBAでは、今後も日本のバスケットボール指導者の資質と指導力の向上につながる指導者養成事業を展開していく予定です。皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

 
■スクールコーチ・スキルコーチ講習会の主な内容

【1日目:1月8日(火)】
①「スクールマネジメントの実際」
 鈴木 良和(JBA 技術委員会・指導者養成部会)

 スクールマネジメントを行う上で、どんな考え方が必要かという理念やビジョン、ミッションについて考えるところから始まりました。そもそも顧客(保護者や子どもたち、または地域)が何を求めているのかを考え、ニーズを掘り起こすことはマネジメントの基本であり、「自分が何をしたいか」をまず考えるのではなく、それらの顧客が期待していることにフォーカスすることが重要であると紹介されました。
 また、子どもとの関わり方や、本当の意味でのスクールの価値を高めるということはどういうことなのかについて、ディスカッションを交えることで参加者一人ひとりが自分なりの答えを模索する機会となりました。

②「子どもたちを惹きつけるファンドリル」
 加賀屋 圭子(JBA 技術委員会・指導者養成部会ワーキンググループ)

 スクールを開催することになれば、すでにバスケットボールを経験している子どもたちだけではなく、まだボールも触ったことがないような子どもたちが参加することもあるでしょう。バスケットボールを普及していく上で、そのような子どもたちがバスケットボールに興味を持ち、続けてみようと思うかどうかは非常に重要なことです。ここでは、上手くなりたいという期待を持った子どもたちや、とにかくバスケットボールを始めてみようと思った子どもたちが「あのスクールにまた行きたい」「体を動かすこと、バスケットボールって楽しい」と思えるようなファンドリルを学びました。
 緊張をほぐすテンションコントロール、技術の導入、コーディネーショントレーニングを兼ねたドリルなど、様々な目的で使用することができるファンドリルは、大人の受講生でも引きつけられる内容となりました。

③「怪我をしにくい身体と動きを作る」
 松野 慶之(JBA 技術委員会・スポーツパフォーマンス部会)

 バスケットボールを行う上で怪我はつきまとう問題の一つです。ジュニア期から怪我をしにくい身体を作るためには、どのようなトレーニングが必要かということを基礎から学びました。
 トレーニングと聞くと、バスケットボールの動きに直結したものと考えがちですが、バスケットボール以外の動きを取り入れることで動きに多様性を持たせ、様々な動きができるようになること、さらにはオーバーユースやオーバーワークを防ぐことができるといいます。また、トレーニングを行う選手が普段どんな生活をしているかについてまで考えてトレーニングをすることが重要であり、すぐに完璧を求めないことも大切であることを学びました。

④「ペアレンツコーチング(保護者を味方につける)」
 鈴木 良和(JBA 技術委員会・指導者養成部会)

 スクールやチームを運営する上で、保護者との信頼関係を築くことは非常に重要であることを学びました。その理由の一つは、その信頼の度合いが物事を進める速度に影響するからです。二つ目に、多くの時間を子どもと一緒に過ごす保護者の考え方(価値観)がバスケットボールの上達にとても大きな影響力を与えるからです。
 スクールやチームの理念を明確に打ち出し保護者との信頼関係を築くことで、より子どもの成長を促せる可能性を学ぶことができました。

【2日目:1月9日(水)】
①「ジュニア期特有のコーチング」
 塩野 竜太(アルバルク東京U15)

 外国人選手よりも日人選手が全員の前で発言を積極的に行わないのはなぜか、コートに置かれた状況でよりよいプレーを選択し実行できるようになるにはどのような育成をしていけばよいのか、ということについて、現在クラブで取り組んでいる指導法や考え方が紹介されました。
 無理なフォームでシュートを打つことよりも、この年代で調整力を身につけるために、ボールの大きさや重さ、ゴールの高さを変えることを推奨していました。また、プレーヤーが自分たちのゲームだと認識し責任を持つための工夫として、コーチの指示ではなくプレーヤー自身が交代を自ら行い、プレータイムを均等にすることにも取り組んでいるそうです。これらの多岐にわたる取り組みや考え方は、受講者の質問も多く、新たな指導の観点を学ぶことができました。

②「攻撃成功率を高めるためのオフェンススキル」
 末広 朋也(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15)

 過去にJBAの分析スタッフとして活動してきた経験から得た技術の考え方が紹介されました。
 攻撃の成功率を向上させるためには様々な要因がありますが、その中の一つであるターンオーバーを少なくすることをテーマに、状況判断を交えたボールを失わない技術がエリアごとに紹介さました。プレッシャーがかかった状態でも正しくボールキープをし、パスを正確に出す能力を身につけることはどの年代においてもとても重要な技術です。
 次にドリブルをしているときにボールを守るコツやディフェンスを抜くドライブの瞬間、抜いた後のヘルプディフェンスへの対応、フィニッシュのスキルが紹介されました。エリアごとに編集された映像は、非常にわかりやすく、子どもたちに伝える際にも役立つ内容となりました。

③「スキルを身体の使い方から分析・解決する」
 佐藤 晃一(JBA 技術委員会・スポーツパフォーマンス部会長)

 スキルを発揮するための身体の使い方を学びました。バスケットボールの練習の中にまったく異なる運動を取り入れることで異なる運動回路を使うための順応(アダプテーション)が起こり、身体が様々な動きに対応できるという考え方が紹介されました。
 また、多方向への動きの基礎として、ラテラルスクワット、クロスオーバースクワットなどのトレーニングを受講者が実際に体験しました。今現在の常識がいつか非常識になることもあり得ることから、自分のマインドセットを凝り固まったものにするのではなく、指導の内容や情報など、様々な考え方を柔軟に取り入れていくことの重要性を改めて認識する機会にもなりました。

④「インテンシティコントロール」
 鈴木 良和(JBA 技術委員会・指導者養成部会)

 インテンシティとは「負荷」「強度」のことであり、練習メニューの負荷をコントロールすることで、様々な子どもたちの成長に最適な課題を提供することができるという考え方です。
 同じレイアップシュートのメニューでも設定を変化させることで身体的負荷、運動機能的負荷、技術の難易度、メンタリティーの負荷を様々な強度でかけることができます。プレーヤーの成長度合いによって設定を変え、より成長しやすい環境作りができる指導者になるために必要なことを学びました。