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【北信越インターハイ現地レポート】男子準決勝:中部大学第一 vs. 福岡大学附属大濠 / 帝京長岡 vs. 仙台大学附属明成

2021年7月29日

福岡大附属大濠 #13 岩下准平選手

仙台大学明成 #10 菅野ブルース選手

 新潟県長岡市でおこなわれている「令和 3 年度全国高等学校総合体育大会 男子バスケットボール競技大会」は大会 5 日目を終え、今大会のファイナリストが決まりました。中部大学第一 (愛知) と帝京長岡 (新潟) です。中部大学第一は2018年の愛知インターハイ以来 2 大会ぶりの、帝京長岡は初の決勝戦進出となり、勝てば両校ともに初のインターハイ制覇となります。

 中部大学第一に69-83で敗れた福岡大学附属大濠 (福岡) の片峯聡太コーチは「ずっと我慢、我慢の展開で、こうなると練習の積み重ねが出てしまいます。追い上げる展開だったので、プレスディフェンスを仕掛けて、うまくいったところもあるのですが、やはり継続がうまくできませんでした」と振り返ります。

 強度の高いディフェンスからファストブレイクを決めるなど、福岡大学附属大濠もリズムをつかみかける場面がありましたが、大事なところでフリースローを決め切れませんでした。「そうやって自分たちで流れを切っているところもありましたし、ファストブレイクに行ったときの状況判断もこの試合で学ぶところがあったと思います。そうした “詰め” の部分、つまりフリースロー、ファストブレイク、そしてファストブレイクからのノーマークの 3 ポイントシュート。それらが今後の大きな課題だと思います」

 第 2 試合で帝京長岡に73-75で敗れたのは仙台大学附属明成 (宮城) です。チームを率いる佐藤久夫コーチは試合後、「自分たちのバスケットボールが何もできませんでした」と振り返り、「あの 2 人に頼った私が悪かったです」と反省を口にします。あの 2 人とは「FIBA U19 バスケットボールワールドカップ」に出場していた山﨑一涉選手と菅野ブルース選手です。
「彼らが戻ってきて、前日のゲームのペースを見て、今日もそのまま彼らを起用していこうと思ったのですが、やはり甘いものではありませんでした。残念という言葉も出ません。今日は私たちのバスケットボールができず、ただただ情けないという思いです」

 昨年度のウインターカップを制するなど、多くの経験を積み重ねてきたコーチですが、その年々のチームを新たに築き上げるのは、けっして簡単ではないのです。

 ただ、だからこそ、ここで変われば、レベルアップできると佐藤コーチは言います。
「大会に入る前から選手たちに言い続けているのは『ここで変わらなければ、みんな、凝り固まった選手になってしまうぞ』というものでした。そういう意味では変われる題材を見つけました。もちろん見つけて終わりではありません。その題材をしっかり練習で示していきたいと思っています」

 結果として、コロナ禍の影響で地方ブロック大会が開催できなかったブロックのチーム、さらには「FIBA U19 バスケットボールワールドカップ」に出場した選手のいるチームが敗れたわけですが、両コーチともにそれらを言い訳にすることはありません。
「この大会は『言い訳をしない』、『ともに戦う』、『勝ちにこだわってやる』という 3 つの約束事をマインドセットしてきました。そういう意味ではチームとして戦うことの素晴らしさ、楽しさは大澤祥貴キャプテンを中心に気づけたかなと思いますし、確かな学びのある大会だったと思います」
 福岡大学附属大濠の片峯コーチは今大会をそう総括します。
 仙台大学附属明成の佐藤コーチもまた、彼らがワールドカップに出場したことで、チームが得たものもあると言います。
「今年の仙台大学附属明成は選手層が本当に薄いんです。その薄い部分を、2 人が抜けて、それを補おうとみんなが頑張ってきました。そのメンバーで 2 戦を勝って、(2 人が帰ってきた) 準々決勝でもよく頑張ってくれました。選手層の薄さが少し……ほんの少しだけですが、起用できそうな選手が出てきたと思います」

 この負けから何を学ぶのか。そしてそれを今後に向けて、どのように体現していくのか。冬に向けた福岡と宮城の 8 月はより熱くなりそうです。