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インターハイ2025 第1日目 初戦敗退をかみしめて

2025年7月28日

本日から「令和7年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」が始まりました。今年度の開催地は岡山県岡山市です。

ジップアリーナ岡山でおこなわれた男子1回戦。第3試合に登場したのは2年ぶり4回目の出場となる県立能代科学技術(秋田)です。瓊浦(長崎)と対戦し、76-114で敗れました。粘り強く守るディフェンスや失点後の攻守の切り替え、高さに勝る瓊浦に対して3ポイントシュートで応戦するなど県立能代科学技術がやろうとするバスケは随所に見られました。しかしチームを率いる長谷川聡コーチが認めるように1試合を通してターンオーバーが多く、自分たちの波を作りきれませんでした。
「それと普段から留学生と対戦することに慣れていないので、つい呼び込まれるようにゴール下まで攻めてしまうんですよね。ゴール下に行く前にプルアップのジャンプシュートでいいんです。それが決まれば、留学生も外を守りに出てくるので、そのときにゴール下が空く。そこを攻める。そういう順番のはずなのですが、それがうまくできませんでした」
長谷川コーチはゲームをそう振り返ります。
やってきたはずのことがうまく表現できないのは、昨年度のインターハイもウインターカップも出場権を逃したことが要因のひとつとして挙げられます。ゴールデンウィークにおこなわれる「能代カップ」などで全国の強豪校と対戦できるとはいえ、やはり一戦必勝が求められる全国大会に出られなかったことは、チームとして積み重ねたい経験値という点においてマイナスだったのでしょう。

「オフェンスリバウンドは身長で劣りながらもよく頑張ってくれました。ただそこで経験のなさが出たように思います。そこから両コーナーにパスを出してくれれば、チームとしてのリズムが生まれたと思うんです。でもそこでシュートを打ってしまって、留学生にブロックされてしまう。そのあたりの経験のなさです。『潔い諦め』は必要なんですけど、それこそ経験ですよね」
目の前にある小さなチャンスを諦める潔さこそが、チームにとって次の最善の一手、それもチームに流れを引き込む大きな一手になることもあります。それをこの敗北で得ることができれば、2年ぶりの全国大会はけっして無駄になりません。
かつて日本の高校バスケ界を牽引してきた県立能代工業が県立能代西と統合し、県立能代科学技術になって5年目。「必勝不敗」の横断幕も、鳴り物を使った応援もなくなりました。しかし選手たちは全力で、そして必死に県立能代科学技術の今を作っています。

今から57年前のインターハイに出場し、それ以来の出場となったのが、第4試合に登場した県立沖縄水産(沖縄)です。対戦相手はやはり高さのある留学生がいる阪南大学(大阪)。結果は72-83で県立沖縄水産が敗れました。
それでも県立沖縄水産は相手の高さに圧倒されたわけではありません。むしろ#2マクミラン アレックス選手が阪南大学の留学生に対しても、しっかりとコンタクトしながら、ポジション争いで苦しめていました。#2マクミラン選手は、来月におこなわれる「第33回日・幹・中ジュニア交流競技会」の男子U18日本代表チームのエントリーキャンプに参加した、196センチのパワーフォワードです。
「今は率直に悔しいです。留学生を相手に攻めることはできたと思うんですけど、その後のフィニッシュがうまくいかなくて……」
試合後、#2マクミラン選手はそう振り返ります。本人は「自分の実力不足です」と言いますが、シュートの精度が徐々に落ちていったのには、ディフェンスでフィジカルコンタクトをし続けていたことも影響したでしょう。それだけに#2マクミラン選手の課題は明確です。本人も「留学生に当たり負けしないくらい体をもっと強くしていきたい」と言っています。

身長はほぼ止まったと言いますから、今後、適切に筋力をつけていけば、留学生のみならず、将来は外国籍の選手にも当たり負けないプレーヤーになる素質は十分にあります。将来的には「ガードもできるオールラウンドな選手になりたい」と言っていますし、県立沖縄水産の方針としても、嘉陽宗紀コーチ曰く「沖縄の子たちが全国で勝つためには、ディフェンスはオールコートで当たって、オフェンスでは誰もがオールラウンドに攻める」ことを求めているそうです。実際、阪南大学戦でも4本の3ポイントシュートを打ち、2本を沈めています。
そう考えると課題はフィジカルだけに留まりません。#2マクミラン選手もフィジカル以外の課題にも冷静に目を向けます。
「シュートに行くときの判断もまだまだですし、攻めるときも得意な方向ばかりに行くことが多いので、左右どちらからでも攻められて、相手を揺さぶりながら、シュートをしっかり決めきれるようになりたいです」
まだ2年生。伸びしろも十分です。今後、どのような選手になっていくのか、楽しみな選手がまた一人出てきました。しかし、だからこそ、阪南大学に敗れた今を大切にしてもらいたいところです。

明日は男女の2回戦がおこなわれ、それぞれのシード校が登場します。