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【インターハイ2025 第2日 大会レポート】実力伯仲のゲームを分けた分水嶺

2025年7月29日

「令和7年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」の第2日は男女の2回戦が行われました。2回戦からはシード校も登場してきます。

女子2回戦でも「実力伯仲」と呼ぶに相応しいゲームが繰り広げられました。そのうちの1試合が、シード校の聖和学園(宮城)と、1回戦を苦しみながらも勝ち上がってきた浜松開誠館のゲームです。
ゲームは僅差で推移していきます。高さで優位に立つ聖和学園がペイントエリアで得点を重ねれば、浜松開誠館も#4前川桃花の3ポイントシュートなどで応戦。第3クォーターを終えたところで、聖和学園が46点、浜松開誠館が45点です。1点を争うクロスゲームになりました。明暗を分けたのはリバウンドです。
試合後、浜松開誠館の三島敬正コーチは話します。「肝心なときにリバウンドを取れなかったり、肝心なときにシュートを落としたり、ここぞというときに、聖和学園さんに泥臭い部分で上回られましたよね。お互いにずっと決めきれない時間帯も、何で得点を取られたかといえばリバウンドシュートなんです。それはオフェンスの作り方の問題ではなく、球際の泥臭い部分なので……うちはそこがちょっと粘りきれなかったかな」

お互いがシュートを決めきれない時間帯とは、裏を返せばお互いがディフェンスで頑張れているときとも言えます。そのときにどちらがリバウンドを制するか。ディフェンス側が制すれば、トランジションオフェンスに移行できるし、オフェンス側が取れば、セカンドチャンスが生まれます。リバウンドの総数で言えば聖和学園の32本に対して、浜松開誠館は24本。8本の差ですが、オフェンスリバウンドに目を向けると、聖和学園は、わずか4本だった浜松開誠館を大きく上回る15本です。
最終スコアは59-56。勝った聖和学園の小野裕コーチも、クロスゲームを勝ちきった要因について、こう話しています。「やはりクロスゲームになったら、インサイドが一番大事なんだなっていうのを改めて感じました。インサイドのオフェンスもそうですけど、リバウンドも、今日はそこで浜松開誠館さんを上回って勝てたなと。クロスゲームのときは、本当にこのインサイドのリバウンドとゴール下の争いで戦っていかなきゃいけないんだなと、改めて感じました」
聖和学園は明日、岐阜女子(岐阜)との対戦になります。そこでもどれだけリバウンドで奮闘できるかに注目が集まります。

もう1試合競り合う展開の試合となったのは、四日市メリノール学院(三重)と大阪薫英女学院(大阪)のゲームでした。
序盤は完全に大阪薫英女学院のペースです。ゾーンディフェンスを敷く四日市メリノール学院に対して、大阪薫英女学院は#5三輪美良々選手を中心に、ペイントエリア内で得点を重ねます。
四日市メリノール学院の稲垣愛コーチはこう振り返ります。「この試合のカギはリバウンドだと思っていました。大会前に大阪薫英女学院さんのビデオを何回も見ましたが、勝ち筋がなかなか見つからなかったんです。インサイドの選手はいいし、シューターもいる。どうやって勝ち筋を見つけようかとずっと考えていたんですけど、その厳しい戦いの中で五分に持っていくには徹底してリバウンドしかないと。選手たちにも『リバウンドだよ』と言い続けて、そのリバウンドが第2クォーターあたり少しずつ機能しだしました」

しかし第1クォーターでの18点ビハインドは大きく、前半を終えた時点で、大阪薫英女学院のリードは24点です。すると四日市メリノール学院は、ゾーンディフェンスを継続しつつも、その内容に修正を加えたと稲垣コーチは認めます。「やられているところと、もう少し苦しめられるところを選手たちに伝えて、やはり前半からリバウンドのところが苦しくなっていたので、リバウンドの取り方も少し修正しました」
それが功を奏して、後半に入ると大阪薫英女学院のオフェンスが停滞し始めます。同時にそれは四日市メリノール学院の流れを呼び込むことにもなり、ファイナルスコアは74-70。大阪薫英女学院が逃げ切りましたが、四日市メリノール学院の立て直しも見事でした。ただリバウンド総数を見れば42-22。オフェンスリバウンドでも21-9と大阪薫英女学院が圧倒しています。リバウンドが勝敗を分けたひとつの分水嶺であることは間違いありません。

リバウンドが大事なことは誰もがわかっています。しかし、その大事なことが、懸命になりすぎるがあまり見失うことも、バスケではよくあることです。よくあるのですが、それでもできるだけなくしたい。そう思ってコーチや選手たちは、たとえそれがインターハイ2025に出るようなチームであっても、また練習に取り組むのです。
クロスゲームに敗れた浜松開誠館と四日市メリノール学院もまた、これまで以上にリバウンドに向き合うことになりそうです。

大会3日目の7月29日は男女の3回戦がジップアリーナ岡山で行われます。

 
【放送・配信予定】
[全試合配信]
▶ インハイTV ※決勝は録画配信
▶ バスケットLIVE ※男女1・2回戦と決勝は録画配信

[男女準々決勝・準決勝・決勝 (放送 / 配信)]
▶ J SPORTS / J SPORTSオンデマンド
※一部試合は録画放送・配信
※女子準々決勝はJ SPORTSオンデマンドでの配信のみ

[決勝]
▶ NHK BS ※男女決勝を生中継