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バスケットボール男子日本代表チーム 第1回重点強化合宿② 開催報告

2016年12月21日

ルカ・パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーに問い詰められる杉浦 佑成選手(筑波大学 3年)

鵤 誠司選手(広島ドラゴンフライズ/写真右)は、B2の選手たちの思いとともに責任感を持って練習に励む

 2019年FIBAワールドカップ、2020年東京オリンピックの出場を目指し、選手たちのスタンダードを上げるため、日本のトップ選手の評価を行う第1回重点強化合宿②を、12月18日(日)~20日(火)の期間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて実施しました。
 グループ②は、大学生6名を含む25名が参加。2週にわたり、全50名にレベルアップの術を教えたルカ・パヴィチェヴィッチ アドバイザリーコーチは、「結果として満足しています」と話しており、良いスタートを切ることができました。

 しかし、各2日間の練習で50名の選手を評価すること、イラン代表を迎えて2017年2月10日・11日に北海きたえーるで開催される「バスケットボール男子日本代表国際強化試合2017」まで3回しか合宿が行えないこと、さらに2019年FIBAワールドカップ出場を懸けた最初の戦いとなる東アジアサブゾーン予選(2017年5月または6月開催予定)へ向けても「本当に時間が無く、この合宿から準備していかなければなりません」。パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーにとっても、「私のコーチ人生の中でもこんな短い期間で、今回のような様々なことを教える機会も初めてのことです」と話すように、厳しいチャレンジです。しかし、覚悟を決めて参加してくれた選手や、初対面にも関わらずサポートコーチ陣が一生懸命取り組んでくれたからこそパヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーが満足できた合宿となり、関わる全ての方々に対して感謝していました。

 「日本はオフェンシブなタイプ」という印象を持つパヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザー。「短い期間でも前進できるのがディフェンスです。激しく、攻撃的かつ崩れないディフェンスをするのが良いチームであり、強いチームです。アジアでそのレベルを発揮するチームに日本がなり、そのスタンダードを構築するために練習しています」と言い、1on1のディフェンスに対する徹底から様々なシチュエーションでの守り方までこと細かに伝授しています。

 ディフェンス練習について、城宝 匡史選手(富山グラウジーズ)は 「チームに持ち帰ってしっかり取り入れていきたいと思いました。個人としても、守り方の甘い部分があったことを認識したので、そこは徹底したいです」と、今週末のBリーグに向けてチームに浸透させていくようです。また、佐藤 晃一スポーツパフォーマンスコーチの指導に対しても、「トレーニング方法を変えて行けば、自分の動きももっと良くなるのかなと感じました」と新たに気づいたこともあり、「まだ自分にも上手くなれる要素はあると思うし、今後の練習次第では日本代表で試合に出られるような選手になれるかもしれない」と日本代表に意欲を見せていました。

 6人の大学生が参加し、そのうち3人がインカレ3連覇を達成し、大学日本一になった筑波大学の選手たち。昨年も日本代表候補に選ばれた馬場 雄大選手(筑波大学 3年)は、「初めて外国人コーチから指導を受けて、今までとは違った正確さを意識することが多かったです。これまではハードワークすることをメインにやってきたところがありましたが、また視点を変えた指導を受けられたのは良い経験になりましたし、これから活かしていきたいです」と感想を述べています。

 日本代表合宿に招集されることを心待ちにしていた杉浦 佑成選手(筑波大学 3年)でしたが、大人数の中の一人ということに対しては満足していません。そんな杉浦選手に対し、パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーは何度も動き方について、厳しい口調で迫ります。馬場選手同様、初めての外国人コーチを前に、「どう返事をしたら良いのかも分からず、萎縮してしまいました」と、率直な心境を吐露しました。しかし、「理解するのに精一杯でしたが、それでもしっかりと自分のものにしようと思って取り組んでいました」と体当たりで吸収しており、パヴィチェヴィッチ アドバイザリーコーチに期待されている証拠です。

 B2から唯一選ばれた鵤 誠司選手(広島ドラゴンフライズ)は、「B2のみんなの思いを受け、責任感を持たなければいけないと感じていました」と置かれた立場をしっかり把握し、希望を与える存在です。「オフェンスではピック&ロールからの攻め方だったり、フロアバランスの使い方はチームに戻ってからもすぐに活かせることの一つです。そして何よりも、継続的にプレイすることの大事さを知りました。日本人はうまくいかないとすぐにプレイを止めてしまう傾向にありますが、それでも続けることで打開できるというのは納得しました」と、新しいバスケットに触れられた成果を挙げています。

 パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーは、昨シーズンまで2つのリーグに分かれていたことも知らず、フラットな状態で選手の評価に全力を注いでいます。B2であってもそれは変わらず、鵤選手も「ここに来たからには日本代表に選ばれたいという気持ちがなければ、コートに立ってはいけないと思います。その思いや自覚を持っていきたいです」と言うように、どの選手にもチャンスがあります。その意欲の表れか、パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーの練習を終えた後も、選手たちはそれぞれの弱点を補うためにスキルコーチから様々なドリルを教えてもらいながら、自主練習に励んでいました。

 来月も今回同様、2日間で2時間×3回の練習を行い、レベルアップを図っていきます。また、今後のBリーグや年明け1月2日(月・祝)に開幕する「第92回天皇杯・第83回皇后杯(オールジャパン2017)」でもパヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーは選手たちを評価し、日本のスタンダードを高めるために必要なことを導き出していきます。

※男子日本代表チームの第1回重点強化合宿②の活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。