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平成28年度男子U-24日本代表チーム 第2回スプリングキャンプ 開催報告

2017年3月5日

悩み、戸惑いながらも成長した姿を見せる期待のビッグガード赤穂 雷太選手(船橋市立船橋高校 3年)

ピック&ロールの使い方を学び、プレイの幅を広げる保岡 龍斗選手(秋田ノーザンハピネッツ/江戸川大学 3年)

 男子日本代表の長期的な強化・選手育成、および本年8月の「第29回ユニバーシアード競技大会」に向けて行われている、平成28年度バスケットボール男子U-24日本代表チームの第2回スプリングキャンプは、2月27日(月)~3月3日(金)の5日間、味の素ナショナルトレーニングセンターと東洋大学にて開催されました。

 先週行われた1回目は、ルカ・パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーの指導に緊張していた選手たち。しかし、16名が選考された2回目はその緊張もほぐれ、コーチが求めるプレイを表現するために持ち味を発揮していきます。また、一つひとつの練習にも少しずつ声が出始め、活気が出てきました。

 パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーは、「常にボールを動かし、とにかく走る。速攻が出せなくても素早くエントリーし、止められても何度もピック&ロールを繰り返しながらオープンスペースを見つけてドライブでアタックしていく。日本は世界に比べると身長が低いのだから、ドライブしながらボールを動かし、さらに周りの選手全員が反応し、常にオープンスペースを見つけ続けること」をオフェンスの基本に掲げています。

 保岡 龍斗選手(秋田ノーザンハピネッツ/江戸川大学 3年)は、「ピック&ロールのサイドの使い方とストレッチをしっかり使ってスペースを意識するように言われました。アウトサイドシュートが得意なので、これまではなかなかリングに向かって攻めることが無かったですが、それを求められている以上、もっと練習していかなければなりません。ドライブすると顔が上がる分、アシストもしやすくなります」と新たな発見があったようです。

 パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーの指導は難しいことではありません。普段、当たり前にプレイしている動きをさらに細かく、理論的に気付かせています。それにより保岡選手も、「指摘されたことを修正することで大幅に変わりますし、プレイの選択肢が増えたと思います」と練習の度にその効果を実感しています。「まだまだ多いミスを減らして、ルカコーチが求めるプレイをもっと正確にできるようになれば、韓国遠征メンバーにも選ばれると思いますし、秋田でも通用するプレイヤーになれると思います」と意欲的に練習に取り組んでいました。

 現役時代のパヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーは、ポイントガードとしてユーゴスラビアやフランスのリーグで活躍。194cmのビッグガードとして期待される赤穂 雷太選手(船橋市立船橋高校 3年)は、このキャンプを通じてポイントガードに必要な要素を叩き込まれ、しばしばパヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーに大きな声を出される場面もあります。それも期待の表れであり、赤穂選手自身も、「アグレッシブにプレイすることと、一つひとつのプレイをもっと丁寧にやらなければなりません。頭の中はメチャクチャこんがらがってます。練習後に考え直したり、その日にやったことを忘れないようにメモを取るようにしています」と自分の中にしっかりと落とし込み、少しずつ成長した姿を見せてくれています。理想のポイントガード像については、「この身長で千葉ジェッツの富樫(勇樹)さんくらいのプレイができるようなれば、無敵になれると思っています。それぐらいのポイントガードになれるように頑張りたいです」と抱負を語ってくれました。

 オフェンス練習を行いましたが、日本が世界レベルにスタンダードを引き上げるために重要なのはディフェンスと説くパヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザー。「現代バスケットにおいて、ピック&ロールのディフェンスは極めて大事」と強調し、5on5の練習の中でも2on2で起きるピック&ロールの練習に時間をかけています。「簡単にヘルプすることなく、ピック&ロールは2on2の状態で守り切れるようにすること」を目指して練習は続きます。

 ディフェンスの重要性について、選手たちには以下のように伝えました。
「日本代表はとにかく強固なディフェンスなチームでなければならず、お互いに声を掛け合い、もっと勇気づけ合わなければならない。目指すべきはガードにスピードを乗らせないようにして速攻を出させず、相手にセットオフェンスをさせ、こちらもセットディフェンスをする。ディフェンスの人数が少ない時は、とにかくイージーシュートに行かせないこと」

 パヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーが見据えるゴールは明確です。「試合になれば、いくら格上と言われていようが必ず勝つチャンスはある。いくら背が高く、どれだけ能力があっても試合では関係ない。サイズや才能が勝負を決めるわけではなく、このコートの中で良いオフェンスとディフェンスができるチームが勝つだけだ。だからこそ、全てを完璧にしなければならない。今、練習しているオフェンスとディフェンスをつなげられるようになれば、格上と言われるチームにも絶対に勝てるようになる。それが日本代表のゴールであり、目標でもある」と選手たちを勇気づけ、第2回スプリングキャンプは終了しました。

 選手だけではなく、男子ユニバーシアード日本代表チームを率いる陸川 章ヘッドコーチも練習中は常にメモを取り、練習後も様々な意見交換を行いながらパヴィチェヴィッチ テクニカルアドバイザーの目指すバスケットを全て吸収できるよう積極的に取り組んでいます。

 2日間のオフ後、3月6日(月)から第3回スプリングキャンプは始まります。これが最後のキャンプであり、様々なスクリーンに対するディフェンス練習を重点的に行なっていきます。計15日間に渡り、3回のキャンプを実施した後は韓国遠征(全日本大学バスケットボール連盟主催)を行い、プロリーグKBLチームを相手にその成果を試します。

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。