ニュース

男子日本代表:「第18回アジア競技大会」8人で再始動した予選ラウンド最終戦は香港に88-82で辛勝し、決勝トーナメント進出へ望みをつなぐ

2018年8月23日

「全員がこの悲しみをずっと抱えてきた」と涙を見せたエルマン・マンドーレ ヘッドコーチ代行

試合ができることを感謝し、勝たなければならないという思いで試合に臨んだ辻 直人キャプテン

 既報どおり「第18回アジア競技大会」において男子日本代表選手4名の不適切な行動により、8名での戦いを強いられることとなった予選ラウンド最終戦。しかし、辻 直人キャプテン(川崎ブレイブサンダース)が「こうして試合をさせていただいたことに対する感謝の気持ちも全員が持っており、それをコート上で表現しようと思って臨みました」と言うように、関係各所の方々のご協力や温情により、試合を継続することができました。勝たなければならない香港戦は88-82で接戦を制し、予選ラウンド2勝1敗として決勝トーナメント進出へ望みをつなぎました。

 8月25日(土)に行われるチャイニーズ・タイペイvsカタール戦で、チャイニーズ・タイペイが勝てば2位通過が決まります。しかし、カタールが勝利した場合はチャイニーズ・タイペイとともに2勝1敗の3つ巴となり、当該3チームによる得失点差で順位が争われます。

 この試合に向け、チームの中では様々な葛藤や話し合いが行われました。試合後、エルマン・マンドーレ ヘッドコーチ代行、佐古賢一アシスタントコーチ、辻キャプテンが多くのメディアの皆様に残したコメントをご紹介します。信頼回復へ向け、全員で一歩一歩進んで行くしかありません。

■エルマン・マンドーレ ヘッドコーチ代行

いろんなプレッシャーがかかる中、今日は本当にタフな試合でした。今回の不祥事は、我々にとっても悲しいできことでした。その影響もあり、この試合はなかなかうまく試合を運ぶことができませんでした。イージーシュートが入らず、フリースローも決まらない、みんながずっと緊張しながら戦っていました。この状況下でもファンの方々に足を運んでいただき、我々を後押ししてくださったことに感謝しています。勝利できたのも、ファンの方々のおかげです。ありがとうございました。

(8人での戦いについて?)もちろん8人しかいないことが困難な状況ではありますが、私のコーチングスタイルとして、いろんな選手を起用することを前提に指揮しています。8人になっても同じように起用しようと思っていましたが、なかなか難しかったです。しかし、これを言い訳にすることなく(決勝トーナメント進出が決まれば)次の試合もしっかりと勝ちにいきます。2日前、全員で今大会を戦い抜こうと誓い合いました。できるだけ、日の丸を高い位置に掲げられるように精一杯戦っていきます。

選手たちには日本代表を背負うこと、国旗を胸につけて戦うことの大事さを伝えています。8人になってしまったことで、全員がこの悲しみをずっと抱えてきました。今いる選手やスタッフがこの不祥事に関与しているわけではありませんが、背負っているものは大きく、多くの方に見られていることをあらためて自覚し、この試合に臨みました。今日の試合が終わり、勝利できたことで喜びを開放できたと思っています。

■佐古賢一アシスタントコーチ

今日は一杯一杯の中、選手たちはよく戦ってくれました。作戦に関しても、ポジションによっては人数が足りず、普段とは違うプレーを強いられる選手もいます。特にディフェンスでの戦術的なところが、前半はチグハグでした。それもしょうがないところでもあり、選手たちは本当によく頑張ってくれました。

この件について「自分たちは関係ない」と思っている選手は誰一人おらず、チーム全体で反省しており、過ちの大きさを全員が痛感しています。選手たちが違う意味でフォーカスされてしまっているところは、我々スタッフがしっかりカバーしていきたいです。

(不祥事を知ったときは?)いきなりの出来事でしたので、選手たちも耳にするタイミングがバラバラな状況でした。我々も確かな情報を聞いたのも急であり、事実確認をするためにマネージャーたちも奔走していました。その日、選手たちとスタッフでミーティングをしましたが、誰もがこれからどうなるか分からない不安の中でその日は過ぎたと思います。

(東京オリンピックへ向けての影響は)かなりあると我々は思っています。FIBAワールドカップ予選に向かって準備しているチームがあり、アジア競技大会に出場しているこのチームの今後の結果も含めてですが、これからバスケットが起こしてしまったことに対する風当たりはかなり強くなってきます。2020年東京オリンピック出場に黄色信号が点っているのはずっと前から言われてることでもあります。現場は、なんとしてでも1つでも良い成績を残していかなければなりません。9月中旬に行われる(FIBAワールドカップ アジア地区 2次予選)Window4に向かって、しっかりと戦える準備をしていきたいです。

■辻 直人キャプテン(川崎ブレイブサンダース)

このような状況になり、今日はなんとしても勝たないという思いでいました。また、こうして試合をさせていただいたことに対する感謝の気持ちも全員が持っており、それをコート上で表現しようと思って臨みました。試合の内容は最悪でしたが、まずは勝てて良かったです。エルマンコーチを中心に、本当に大変な状況にはあるけど、選手とスタッフが一丸となって全力で戦う姿を見せようという話をしました。(8人しかいないことで)体力面は、これまでと比較すれば負担は大きかったと思います。

(不祥事を知ったときは?)すぐには理解できませんでした。これからどうなってしまうのかな、と思ったのが正直なところです。

(香港戦に向けてどう準備したか?)いつもの試合に臨む感覚とは全く違う状況でした。頭では試合に集中しないといけないということは理解しており、意識的にそうしようと思っていました。みんながそれぞれ気持ちを出して、チームのために戦っていました。

(プレーへの影響は?)うまくは言えませんが、簡単なミスであったり、逆に気負いすぎて空回りしてしまったり、普段ではあり得ないようなミスがあったと思います。