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男子U18・U16日本代表:合同強化合宿開催報告「八村塁を神として崇める世代であり、明確な目標に変わった」佐古賢一ヘッドコーチ

2019年6月27日

ポイントガードにチャレンジする小川敦也選手(洛南高校2年)

八村塁選手に憧れて明成高校へ進学した菅野ブルース選手

男子U18日本代表は「第27回日・韓・中ジュニア交流競技会」(8月25日〜27日/中国・湖南省長沙市)、男子U16日本代表は「FIBA U16アジア選手権大会」(時期・開催国未定)へ向け、6月24日(月)から26日(水)の期間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて合同強化合宿を実施。男子U18日本代表は、大会へ向けた最終メンバーを決める選考合宿となりました。

 男子U18日本代表は4月以来となる今年度2回目、毎月合宿を積み重ねる男子U16日本代表はこれが3回目です。それぞれ練習してきた成果を試すスクリメージを行ったことで、様々な課題が見つかりました。10分間×4本のスクリメージは2勝2敗。最初の2本は男子U16日本代表が勝利しましたが、残る2本は男子U18日本代表が意地を見せました。「甘さが出た」と指摘する佐古ヘッドコーチは以下のように評価します。

「男子U16日本代表はリバウンドを獲ってからの切り返しを早くし、ポジションに関係なくどんどん前にボールをプッシュをしていた部分と、全員で走って行くスタイルが勝ったときはできていました。しかし、敗れた2本はビッグマンが外からシュートを打つケースが多くなり、展開がどんどん重くなってしまいました。最初に勝てたことで、なんとなく『できる』と選手たちは思ったのでしょう。貪欲に走って、こぼれ球を拾って粘り強くバスケットをすることを忘れてしまい、3Pシュートでどうにかしようというプレーになったことが敗因です」

「逆に男子U18日本代表は、ディフェンスで厳しいプレッシャーをかけ、スクリーンのときもしっかりコンタクトをしたことで意地を見せました。しかし、最初の2本は全くそれをせず、1on1ばかりになって力でねじ伏せようとする甘さが出ました。どう考えても体の大きさやパワー、所属チームでもプレータイムをもらっている男子U18日本代表の方が経験もあるので、もう少しイニチアシブを取りながら自分たちのバスケットを余裕を持って展開できたはずです。それにもかかわらず最初の2本は、男子U16日本代表を相手に焦ってしまい、そういう甘さが出てしまいました」

 良くも悪くも課題が明確になったことで、しっかりと映像で見直して修正しながら選手たちの成長につなげています。

 ポイントガードにコンバートされた男子U18日本代表の小川敦也選手(洛南高校2年)。「リバウンドを獲って、そのままボールをプッシュして自分からオフェンスに持ち込めるのが持ち味です」と言い、それこそが佐古ヘッドコーチをはじめ、日本代表が求めているスタイルです。状況判断も大事なポジションであり、「ディフェンスを引きつけてピックからのパスや、ドライブからのキックアウトをして、仲間がフリーでシュートを打てるような状況を作ることを目指しています」と新たなポジションにチャレンジしながら、自らも得点に絡む積極的なプレーでアピールしていました。

 男子U16日本代表でも、192cmの菅野ブルース選手(明成高校1年)がボールを運ぶシーンが多く見られています。「明成高校でもガードをするようにしていて、ボール運びも積極的に取り組んでいます。外のプレーの精度をもっと上げて、外でも中でもできるようにしたいです」とプレーの幅を広げています。

 今合宿がはじまる3日前、日本人初となるNBAドラフト1巡目で八村塁選手が、ワシントン・ウィザーズに指名された吉報が届きました。高校生たちにとっては、「いきなり塁を神として崇めるようになった世代です。明確に目指すべき目標に変わりました」と佐古ヘッドコーチが言うように、その効果はこの合宿にも現れています。八村選手が高校3年生のとき、「ウインターカップ」3連覇を果たした試合を見た菅野選手は、明成高校への進学を決めました。

「本当にすごい選手だと思い、僕も明成高校に入って(佐藤)久夫先生のもとでバスケがしたいと思いました。塁さんは、久夫先生のもとで素直にいろんなことを受け止めて練習していたと聞いています。自分も負けないようにがんばります」

 16歳当時を知るスタッフは、本格的にバスケをはじめたばかりの八村選手よりも、今の選手たちの方が「技術は上」と口を揃えます。同じ日本人がNBAドラフト1巡目で指名された快挙により、遠い夢ではなく目指せば届くかもしれない目標として意識が大きく変わっています。八村選手も男子U16日本代表からスタートし、世界への切符をつかみながら年々大きくなっていきました。今、彼らは同じスタートラインにいます。大きな可能性があり、同じ道を歩むためにも、高い目標を持って努力していくだけです。

■2019年度バスケットボール 男子U18日本代表チーム 第2次強化合宿 参加メンバー

【スタッフ】
チームリーダー 吉田 裕司 (洛南高等学校)
ヘッドコーチ 佐古 賢一 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ 常田 健 (中部大学第一高等学校)
アシスタントコーチ 入野 貴幸 (東海大学付属諏訪高等学校)
アシスタントコーチ兼テクニカルスタッフ 前田 浩行 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレチックトレーナー 高橋 基樹 (専修大学)
マネージャー 古海 五月 (公益財団法人日本バスケットボール協会)

【選手】
元田 大陽 (SG / 北陸学院高等学校 3年)
米山 ジャバ 偉生 (PF / 東海大学付属諏訪高等学校 3年)
仲田 泰利 (C / 福岡第一高等学校 3年)
脇 真大 (PF / 岡山商科大学附属高等学校 3年)
木林 優 (PF / 福岡大学附属大濠高等学校 3年)
松山 雄亮 (C / 洛南高等学校 2年)
栃木 俊亮 (PF / 東海大学付属諏訪高等学校 2年)
當山 修梧 (PG / 福岡第一高等学校 2年)
葉山 隆誠 (SF / 中部大学第一高等学校 2年)
河合 海輝 (C / 明成高等学校 2年)
小川 敦也 (PG / 洛南高等学校 2年)
前野 幹太 (PF / 東海大学付属札幌高等学校 2年)
ジョーンズ 大翔 (SG / 開志国際高等学校 2年)
淺野 ケニー (PF / 洛南高等学校 2年)
丸山 賢人 (SF / 報徳学園高等学校 2年)
松村 竜吾 (SF / 土浦日本大学高等学校 2年)
田中 力 (SG / 17 / IMG アカデミー)

■2019年度バスケットボール 男子U16日本代表チーム 第3次強化合宿 参加メンバー

【スタッフ】
チームリーダー 近藤 義行 (一般社団法人千葉県バスケットボール協会)
ヘッドコーチ 佐古 賢一 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ 藤井 貴康 (広島県立広島皆実高等学校)
アシスタントコーチ 堀 里也 (新潟市立白新中学校)
アシスタントコーチ兼テクニカルスタッフ 前田 浩行 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレチックトレーナー 細川 英範 (HOKUMA)
マネージャー 古海 五月 (公益財団法人日本バスケットボール協会)

【選手】
小河原 幹太(C / 八千代松陰高等学校 2年)
間山 柊 (PF / 福岡大学附属大濠高等学校 2年)
一戸 啓吾 (SG / 明成高等学校 2年)
保坂 晃毅 (SG / 飛龍高等学校 2年)
加藤 陸 (SF/PF / 明成高等学校 2年)
ハーパー ローレンス Jr (PG / 福岡第一高等学校 2年)
菅原 佳依 (PF / 岩手県立一関工業高等学校 2年)
浅井 英矢 (C / 福岡県立北筑高等学校 2年)
金近 廉 (SG/SF / 関西大学北陽高等学校 2年)
石坂 悠月 (PF / 國學院大學久我山高等学校 2年)
岩下 准平 (PG / 福岡大学附属大濠高等学校 1年)
菅野 ブルース (SF / 明成高等学校 1年)
山崎 紀人 (SF / 明成高等学校 1年)
山﨑 一渉 (SF / 明成高等学校 1年)
福田 健人 (SF / 中部大学第一高等学校 1年)
大西 一輝 (SG / 洛南高等学校 1年)
山之内 勇登 (PF / 16 / リベットアカデミー)
加藤 大智 (C / 浜松西高等学校 1年)

※所属は2019年6月24日現在
※ポジション(P): PG-ポイントガード、SG-シューティングガード、SF-スモールフォワード、
         PF-パワーフォワード、C-センター