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第17回アジア競技大会 女子最終日 女子日本代表チームはチャイニーズ・タイペイに61−59で逆転勝利し、3大会連続で銅メダルを獲得

2014年10月3日

自分から仕掛けて行こう、と積極的に攻めた#6本川 紗奈生選手はチームハイとなる12得点

残り30.9秒、逆転となる決勝点を決めた#8川原 麻耶選手


 「第17回アジア競技大会 バスケットボール競技」は第13日目。女子バスケットボール競技は最終日。ハヤブサジャパン 女子日本代表チームは、銅メダルを賭けてチャイニーズ・タイペイと対戦しました。前日の準決勝・韓国戦に敗戦後、暗いムードだったバスの中で、キャプテンであり、国際大会経験豊富な#5諏訪 裕美選手が明るく声をかけたことで一気に表情が和らいだそうです。気持ちを入れ替えて臨んだ3位決定戦。

 試合前のウォーミングアップ中、珍しく一色 建志ヘッドコーチが練習している選手たちを集め、話しを始めました。「試合前はしっかりミーティングをして臨んでいるのですが、このチームの良いところでもありながら、ポッと忘れてしまうところがあります。そこも良いキャラなのですが、試合前に再度確認しに今日はいきました」。用意周到に臨んだ序盤は、合わせのプレイで得点を重ね、チームワークの良さを発揮します。しかし、チャイニーズ・タイペイのインサイドへのパワープレイにやられ一進一退。ミスもありましたが、積極的なプレイを続け、31-33と2点ビハインドで前半を終えます。

 第3ピリオドは一変します。「若干、焦ってはいました。とにかく誰かが点を取らないといけないという気持ちがありました」と言う#8川原 麻耶選手のシュートがエアボールになってしまったりと、定まりません。途中交代で入った#13大沼 美琴選手が2本のシュートでつないで37-40。そこから一気にチャイニーズ・タイペイに決められ、第3ピリオド終了時点で37-49。

 「相手はベテランであり、パワーもありました。マンツーマンディフェンスでは防げなかったので、用意していたゾーンプレスを使いました」と第4ピリオドへ向かう選手たちに指示を出した一色ヘッドコーチ。さらに諏訪キャプテンからは、「メダルを獲りに来たんじゃないの?」と発破をかけ、反撃に向かいます。さらにここで、男子日本代表チームが会場に到着。ビハインドと確認するや否や大声で声援を送り、女子日本代表チームの背中を押します。運命の第4ピリオドは作戦通りのディフェンスがうまく機能し、相手に得点を許さず、逆に日本は5連続得点を挙げ、残り5分25秒で46-49と3点差まで迫ります。残り5分、ようやくチャイニーズ・タイペイに1本目のシュートが入ると、その後はしっかり決め返し逆転を許しません。

 #6本川 紗奈生選手は「絶対に自分から仕掛けて行こうと決めていました。この日のために練習をしてきたわけですし、ミスになろうが全部のプレイを積極的に行こうと思っていました」と言うように、思い切り良いドライブから得点を挙げます。残り1分5秒、58-59。1点差に迫る日本。続くチャイニーズ・タイペイの攻撃を阻止し、巡ってきた逆転のチャンス。

 「コートに立っていても、ベンチにいる仲間たちの負けたくないという気持ちが伝わってきて、やっぱり私たちはこのままでは帰れないという思いがプレイに出たのかもしれません」。そう話す#8川原選手もまた、強気のドライブでゴールを狙い、ファウルコール。残り30.9秒、フリースローを得ました。「私がファウルをもらった時にベンチを見たら、諏訪さんが私に対してすごく声をかけてくれていました。これは決めるしかない、絶対に決めてやる、と思いました」と奮起し、1本目を成功させ59-59。普段は緊張するというフリースローでしたが、落ち着いて2本目も決めて60-59とし土壇場で逆転します。

 若いチームゆえ、勢いに乗ったらもう恐いものはありません。チャイニーズ・タイペイの攻撃を、足を使って相手を翻弄し、トラベリングに追い込んで守りきります。残り時間は8.9秒。あとは時間をしっかり使うことだけを考えれば良く、キープする日本に対してファウルゲームに持ち込むチャイニーズ・タイペイ。#10町田 瑠唯選手がフリースローをもらい、1投目を外すも2投目を決め、61-59。タイムアウトを使い切っていたチャイニーズ・タイペイはエンドからスローインとなり、自陣に持ち込ませる前にタイムアップ。61-59のまま日本が勝利し、3大会連続となる銅メダルを獲得しました。

 コート上で抱き合い、笑顔や涙を見せながら喜びを分かち合う選手たち。うつむきながらコートを足早に去ろうとする一色ヘッドコーチの目にも涙が溢れており、それを選手たちが見つけ、さらなる歓喜の輪が広がりました。

 決勝点となるフリースローを決めた#8川原選手は、「内心、今日もダメかな、と一瞬思いました」と折れそうな心をつなぎとめながら、40分間の激闘を戦い抜きました。「今日はいろいろな思いがありました。コートに立てない選手たちのため、サポートしてくれるスタッフのため、特に一色ヘッドコーチを手ぶらで帰すわけにはいかないという思いがありました。本当に今日はみんなの気持ちがコートに出ていたと思います」

 苦しいところで投入されながらも、得点やリバウンドで活躍し、勝利に貢献した#4馬瓜 エブリン選手。「勝った瞬間は本当に安心しました。試合の最初から最後逆転するまで自分たちが受け身にまわり、相手の勢いに押されっぱなしでした。最後の最後まで諦めない気持ちを全面的に出すことができたことで、川原選手がしっかりフリースローを2本決めてくれました。勝てて良かったです」

 メダルを獲得した3チーム合同で行われた記者会見において、#5諏訪選手は「決勝の舞台で戦いたかったのが本音ですが、最終的に気持ちを切り替えて、最後にメダルを獲ることができてうれしく思います」とコメントを残しました。

 なんと言ってもこのチームの良さは明るさと、まじめさと、チームワーク。日に日に成長が見て取れました。一色ヘッドコーチは、「諏訪、川原、森、牛田の年上の選手たちがうまく若い選手たちに歩み寄ってくれましたことで、高校生を含めて遠慮なくプレイできる練習ができていました。その度に、このチームは良いチームだと思いましたし、監督冥利に尽きる本当に良いチームになったと感じていました。ここで終わるのが残念です。昨年から専任コーチになり、ジュニアの時もそうですがチームが良くなると解散になってしまいます。今後、選手たちには各チームでさらに頑張ってもらうことを期待しています」と、途中言葉を詰まらせながらも選手たちへのメッセージを送り、涙を拭いました。

 日本戦の後に行われた決勝戦は地元・韓国が70ー64で中国を振り切り、1994年広島大会以来となる20年振りの優勝に輝き幕を閉じました。

 ハヤブサジャパン 女子日本代表(アジア競技大会)チームは、明日、10月3日(金)の帰国を持って解散となります。
 多くの選手たちは休む間もなく、10月31日(金)から開幕するWJBL 2014-15シーズンへ向けた準備に追われることでしょう。高校3年生の#15赤穂 さくら選手は、一色ヘッドコーチとともに10月10日(金)よりヨルダン・アンマンにて開幕する「第22回FIBA ASIA U-18女子バスケットボール選手権大会」へ出場します。アジア競技大会での経験を糧に、各チームでの活躍に期待です。
 また、来年はリオデジャネイロオリンピック アジア予選が控えています。この日本代表からも選ばれる可能性はあり、また戦いがスタートします。

 さて明日、10月3日(金)は男子バスケットボール競技が最終日。ハヤブサジャパン 男子日本代表チームは、20年振りのメダル獲得へ向けてカザフスタンと対戦します。引き続き、ハヤブサジャパンへのご声援をお願いいたします。