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男子U16日本代表:第2次強化合宿 活動報告 ポイントガード陣に求めるそれぞれの哲学

2021年6月17日

強みであるリバウンドを取るウィリアムス ショーン 莉音選手

ポジションアップにチャレンジする高田将吾選手

 4月に行われたエントリーキャンプを経て、19名に選考された男子U16日本代表チームは6月14日(月)〜16日(水)の期間、第2次強化合宿を実施。本年開催が予定されている「FIBA U16 バスケットボール アジア選手権大会2021」へ向けた本格的な強化がスタートしました。全国各ブロックからさらに推薦していただき、約10cm身長が伸びたフリッシュ ニコラス聖選手(開志国際高等学校1年)とB.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2021でMIPを受賞し、中学生ながら琉球ゴールデンキングス U18で活躍する平良宗龍選手を追加招集し、競争が行われています。

 今合宿のテーマは、日本代表として世界と戦うための基礎を徹底させること。国内における高身長の選手たちを揃えてはいますが、このチームが戦う世界の相手はさらに大きいのが現実です。全員がオールラウンダーとなり、脚力とスタミナを生かして勝機を見出す戦い方は、どの世代も変わりません。その中において、200cmの川島悠翔選手(福岡大学附属大濠高校1年)をはじめとした「ビッグマンたちがガードを探すことなく、自らボールをプッシュし、コートの真ん中を走ってくれたことが今合宿の大きな収穫です」と佐古賢一ヘッドコーチは評価します。これまでのアンダーカテゴリーチームと比較しても、「まさかU16日本代表の2次合宿から、あのようなプレーが見られるとは思いませんでした。これまでで一番早くに気づいてくれたと感じています。スタート時点としては最高です」

 平均189.3cm、まだ身長が伸びており、いろんなことを吸収できる世代です。所属チームではセンターも務める最年少の高田将吾選手(富山市立奥田中学校3年)ですが、ここではスモールフォワードやシューティングガードとポジションアップにチャレンジしています。前回合宿では「シュートを打つタイミングやボールをもらうために動くタイミングなど、その考え方がまだまだ足りていなかったです」という課題点に対し、練習してきた成果を見せます。積極的にシュートを打ち、アウトサイドプレーにも自信をもってプレーできています。

 199cmのウィリアムス ショーン 莉音選手(仙台大学附属明成高校1年)は、「リバウンドやルーズボールなど泥臭い部分でがんばることが、自分の責任です。日本代表ではリバウンドが課題になってきますが、自分の強みとして生かしていきたいです」と頼もしいコメントを残しました。中学卒業間際に、川島選手と対戦するチャンスがあったのですが、残念ながらコロナ禍により中止となってしまいました(※2019年、中学1年時の関東ブロックエンデバーで二人とも選出)。間近で見る川島選手の印象について、「身体能力が高いですし、落ち着いてプレーしているので安定があります。同世代ですが、尊敬する部分がたくさんあります」というウィリアムス選手。お互いにとって良いライバルであり、選考をともに勝ち残り、チームメイトとして世界と戦う今後が楽しみです。

 富山市立奥田中学校と仙台大学附属明成高校はご存知のとおり、NBAワシントン・ウィザーズで活躍する八村塁選手のルーツです。偶然ではありましたが、高田選手とウィリアムス選手が練習中に着ていたビブスは8番でした。「奥田中学校の坂本コーチから、八村選手や馬場(雄大)選手の練習方法などの話を身近に聞かせてもらっているので刺激にもなっています」という高田選手は、もちろん日本代表になることが目標です。ウィリアムス選手にとっての8番は「コービー(ブライアント)選手も好きですし、八村さんは明成でも日本のバスケ選手としても大先輩なので、8番をつけるとモチベーションが上がります」と目を輝かせていました。

 積極的にチャレンジをさせてポジションアップする一方で、現在選出されているポイントガードはコンバートしたわけではありません。現役時代は日本を代表する司令塔として世界と対峙し、FIBA殿堂入りを果たした佐古ヘッドコーチだけあり、ポイントガードには厳しく指導する一面を見られました。「今は、自分をアピールしたい気持ちが出ているのは十分わかります。でも、それが無理にプレーし、ミスになってしまったらポイントガードとしては絶対に許されません。そこを許してしまえば、みんなが同じことをしはじめてしまいます。ポイントガードは、このチームの中で一番バスケIQが高い選手であって欲しいです」と期待を込め、自身の経験を踏まえながらすべてを伝授しています。

「自分の武器は何か、ポイントガードとしてそれぞれの哲学を持つことが大事です。今合宿はそれを知ってもらうスタート地点であり、気付きはじめてもらいたかったので、練習中にはダメだとハッキリ言いました。小さいポイントガードは『スペシャルでなければいけない』と、これまでのチームでも言い続けています。なんでもできるというガードを僕らは求めていませんし、作ろうともしていません。それであれば、身長ある選手をコンバートした方が良いという考えです。彼らにとってポイントガードがナチュラルポジションであり、今後も変わらないわけですから」

 現在19名に絞られた男子U16日本代表候補選手ですが、7月25日から新潟県で行われるインターハイで頭角を現す選手がいれば積極的に招集していく方針です。選手同士の競争が激しくなればなるこそ、チームは強くなっていきます。