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男子U22日本代表:第1次強化合宿 活動報告「自分の強みはドライブでインサイドに攻め込むこと」キング開選手

2021年6月21日

積極的なドライブを仕掛けるキング開選手

ダンクシュートで練習を盛り上げる佐土原遼選手

 昨年2月、網野友雄ヘッドコーチ率いる男子U22日本代表は、男子日本代表への架け橋となるべく継続的な強化・育成を目的にスタートしました。しかしその後、新型コロナウイルスの影響により昨年は1度だけに終わり、その後もなかなか実施することができないまま、1年4ヶ月が経過。ようやく迎えた6月17日(木)〜21日(月)の期間、13名を選出して第1次強化合宿を実施しました。

 久しぶりの合宿に、「みんな大人になったというのが率直な感想です」という網野ヘッドコーチ。日本代表が目指すトランジションバスケの精度を高めていくことをベースとしながら、「それだけでは勝てないので、ディフェンスのプレッシャーの仕掛け方やハーフコートオフェンスのスペーシングなど、状況に応じて最適な判断ができるように挑戦させています」

 合宿期間中には、トップチームである男子日本代表がFIBA アジアカップ 2021予選を戦っていました。中国との初戦を見た網野ヘッドコーチは、「試合の立ち上がりの部分で受けずに、自分たちからアクションを起こす積極的なプレーが求められ、そのためにも精神的な強さが必要だと思いました」。2017年2月、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ(アルバルク東京)率いる男子日本代表がイラン代表を迎えて強化試合を行った際、サポートコーチとしてベンチ入りしていたのが網野ヘッドコーチです。当時を振り返り、「筑波大学3年生だった馬場(雄大)選手(※現在、オーストラリアNBL/メルボルン・ユナイテッド)が、積極的にプレーしたことで勝利することができました。相手の様子を見るのではなく、自分たちから仕掛けることが試合の入りには重要な部分です」と強調します。

 「自分の強みはドライブでインサイドに攻め込むことだと思っています」と言うのは、キング開選手(専修大学4年)です。その長所を生かしつつ、「国際試合で対戦する大きな相手に対してアジャストする力、世界と戦うために必要なスキルを学び、しっかりと遂行していけるように意識をしています」と積極的なプレーを見せます。ポイントガードには、中村拓人選手(大東文化大学3年)や関屋心選手(白鷗大学3年)、河村勇輝選手(東海大学2年)ら後輩たちがライバルであり、「レベルが非常に高く、彼らから学ぶことはたくさんあります。しっかり彼らから吸収して、自分も教えることがあれば積極的に声をかけるようにしています。良い関係は保てています」と刺激し合っていました。キング選手は選手たちに声をかけてリーダーシップを発揮し、チームを引っ張っています。

 横浜ビー・コルセアーズを経験したキング選手をはじめ、今回選出されたほとんどの選手が特別指定制度でBリーグに挑戦しました。今後、プロとして活躍していくためにも、特にインサイドプレーヤーたちにはポジションアップが求められ、日本代表でもそれは必要となります。網野ヘッドコーチは「ポジションを固定せず、ペリメーター陣はボールプッシュをしたり、プレーのコールをしたり、3ガードの役割を求めています」と話すとともに、大きな選手が多いこのチームだからこそ挑戦を促します。

 普段はパワーフォワードの佐土原遼選手(東海大学4年)ですが、「このチームでは3番(スモールフォワード)に挑戦しています。スクリーナーではなくハンドラーになることが多いので、まわりを見ることやシュートの確率を上げることが求められます。その判断をもう少し良くしなければなりませんが、シュートの確率も徐々に上がってきています」と手応えを感じています。特別指定選手として広島ドラゴンフライズでの経験も大きく、「アウトサイドシュート、特に3ポイントシュートの試投数と成功本数が少なかったので、そこから日々練習を続けてきました」という成果をこの合宿でも発揮します。また、スペースが開けば果敢にドライブでアタックし、そのままダンクを叩き込むシーンも多く、練習を盛り上げていました。

 今回招集された大学生たちは緊急事態宣言の発令により、第70回関東大学バスケットボール選手権大会が中断となり(6月25日より再開)、まだ今シーズンは公式戦を迎えられていません。所属チームでの活動もままならない状況も続きましたが、ようやく実現した合宿に対し、「みんなが集まること自体に意味があります」と佐渡原選手は言います。「今回選ばれたメンバーはチームのエースなどが集まっています。所属チームの中でも競争心を持って成長することはできますが、同等レベルかそれ以上の選手たちとここで競い合うことで個人の技術を伸ばすことができます」と続け、先を見据えます。

 合宿初日に網野ヘッドコーチは、「今年は東京オリンピックがあり、来年は1年延期となったFISU ワールドユニバーシティゲームズが行われる。さらに2023年にはFIBAワールドカップ、2024年にはパリオリンピックが続くスケジュールの中で、この世代から一人でも多くその大会に日本代表として選出されるようになることをしっかりと考えて、この強化に取り込もう」と選手たちに伝えました。馬場選手や八村塁選手、渡邊雄太選手は、大学生の頃からすでに日本代表でした。東京オリンピックを皮切りに、世界との戦いが続いていく中、U22世代の成長や突き上げが不可欠です。