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3×3男子日本代表:強化合宿レポート「ハンドラーの技術として5人制でも生かすことができる」岩屋 頼選手

2025年5月30日

FIBA 3x3アジアカップ2025を通じて明確になった課題克服に勤しむ出羽崚一選手

3x3をはじめたことで積極的にゴールを狙う進化を遂げた岩屋 頼選手

 3×3男子日本代表は5月26日から29日の期間、「FIBA 3×3ワールドカップ2025」へ向けた選手選考を兼ねた強化合宿を実施しました。今年3月に開催された「FIBA 3×3アジアカップ2025」と同じく、国内外の3×3大会で活躍する17名を招集。試合中はルールとしてコーチが介入できない3×3だけに、選手同士が大きな声でコミュニケーションを取り、誰と組んでも短時間でチームプレーを構築していたのはさすがです。

 FIBA 3×3アジアカップ2025ではじめて日本代表に選出された出羽崚一選手 (ZETHREE ISHIKAWA)。「チームとして2ポイントシュートを打たせてはいけないディフェンスの決まりごとがありましたが、何本か打たれて負けてしまったケースがありました。最後までどんな状況でも徹底できるように意識して、この合宿に取り組んでいます」と経験を生かします。所属チームにも同じ課題を持ち帰り、「常に相手オフェンスにタッチすることを意識して取り組むだけで、もう2ポイントシュートを簡単に打たせないようになりました。打たれないだけで強い相手とも互角に戦えるようになったので、そこはチームのレベルアップにつながっています」と日本代表で得たものを継続しています。

 今合宿中のスクリメージでは、FIBA 3×3アジアカップ2025に出場した小澤 崚選手(SHINAGAWA CITY 3×3 BASKETBALL CLUB)、仲西佑起選手 (UTSUNOMIYA BREX.EXE)、井後健矢選手(SAGAMIHARA PROCESS / HIU ZEROCKETS)と同じチームになることもありました。小澤選手はイラン戦で21点中20点を挙げ、FIBAの1試合過去最高得点記録を樹立。一方、「どうしても小澤選手に対して相手のディフェンスがより警戒し、オフェンスも厳しくなりました。そのときに僕らがプレーを生み出し、切り崩していけるようになれば、チームとしてもっと良い形でオフェンスができると思うので、そこは意識してこの合宿でも取り組んでいます」と出羽選手が積極的にゴールへ向かうシーンを増やし、課題克服に勤しんでいます。

 5月11日にコレド室町テラスで開催された「3×3 JAPAN TOUR 2025 [U23カテゴリー]プレ大会」に3×3男子U23日本代表候補として出場した岩屋 頼選手(早稲田大学 / SHINAGAWA CITY 3×3 BASKETBALL CLUB)。今回はベテラン揃いの合宿でしたが、「自分のバスケスタイルは変わらないので、相手がベテランということは意識せず、普段どおりにできています」と平常運転でアピールします。

 岩屋選手が3×3と出会ってからまだ1年。早稲田大学では5人制バスケを主体とし、4年生になった今はBリーグ入りを目指しています。夏の時期に3×3をすることで、バスケが大きく変わったことを実感していました。

「昨年から3×3をはじめましたが、もう吸収できることばかりです。極端に言えば、3×3を経験してから5人制に戻り、3ポイントシュートのアテンプトが増え、自分から得点を取るプレーも増えました。3×3に出会う前までは、コントロールだけをするポイントガードでしたが、自分からアタックすることがすごく増え、相手にとっても脅威になっているのではないかと思います。ディフェンスでも、3×3はオンボールもオフボールも3人しかいないからこそ、常に気が抜けない状況です。ディフェンスで足を使ったり、体を使ったりする部分が5人制にも良い影響が出ています」

 今合宿ではセルビアのミラン・イサコフ コーチが3×3特有のスキルを指導していただきました。岩屋選手は「ミランコーチがひとつのピック&ロールプレーに対して、いくつものバリエーションを長く時間を割いて教えてくれました。そのアドバイスのすべてが今まで考えたこともなかったプレーを細かく教えてくれて、とても参考になりました」とピックを使う技術に舌を巻きます。基本的に3×3はコート上に6人しかいないことで、必然的にスペースができます。イサコフコーチから学んだスキルは、「ハンドラーの技術として最初にスペースを作ったり、腕を振り払ったり、そこからダイブへパスするなどのポイントは5人制でも生かすことができます。今回学んだことを利用した方が、5人制でも通用すると思えることばかりでした」と岩屋選手は話し、バスケ全般に有効な武器を携えました。

 長く3×3でプレーする出羽選手にとっても、イサコフコーチの指導は「新鮮な刺激がありました」と感謝します。「バックペダルをする動きも分かってはいましたが、実際にやってみるとうまくできなかったです。練習を重ねていかなければいけないですし、逆にそれができるようになれば、もっともっとプレーも広がっていくと思いました」と成長のきっかけとなる合宿となりました。

 FIBA 3×3ワールドカップ2025の組み合わせが決まり、アジアのライバルであるモンゴル、ロサンゼルス2028オリンピックへ向けて急ピッチで強化を進めるアメリカ、さらに東京2020オリンピックで金メダルに輝いたラトビア、そしてモテンネグロと予選プールを争います。女子も東京2020オリンピックで金メダル、パリ2024オリンピックでは銅メダルに輝いたアメリカ、現在世界ランキング1位のオランダ、チェコ、チリと対戦することが決まり、男女ともタフなグループに入りました。3年後のオリンピックを見据え、世界での立ち位置を知る機会とするためにも、最強メンバーを選考していきます。

■FIBA 3×3 ワールドカップ2025
日 程:6月23日(月)〜29日(日)
開催地:モンゴル・ウランバートル

▼男子:予選プール
【A】セルビア(1) ドイツ(8) ベルギー(10) オーストラリア(27) マダガスカル(49)
【B】日本(15) アメリカ(2) ラトビア(7) モンゴル(11) モンテネグロ(16)
【C】フランス(4) オーストリア(6) 中国(9) プエルトリコ(14) カナダ(19)
【D】オランダ(3) リトアニア(5) スペイン(12) スイス(13) イギリス(42)

▼女子:予選プール
【A】中国(2) ポーランド(5) イタリア(9) オーストラリア(16) マダガスカル(44)
【B】日本(13) オランダ(1) アメリカ(10) チェコ(8) チリ(18)
【C】フランス(4) カナダ(7) ハンガリー(12) オーストリア(15) ラトビア(19)
【D】スペイン(3) ドイツ(6) モンゴル(11) ウクライナ(14) ブラジル(50)
※()内数字はFIBAランキング(5月29日現在)