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平成27年度U-14男子トップエンデバー 開催報告

2015年12月21日

各ブロックのコーチ陣も学びながら指導にあたる

個性のある将来有望な30名の選手が集まった今年のU-14男子トップエンデバー

 12月11日(金)~13日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成27年度U-14男子トップエンデバーを開催しました。北海道から沖縄まで全国9つのブロックエンデバーから推薦された14歳以下(今回はすべて中学2年生)の30名が集まり、3日間の合宿に臨みました。

 練習では、コーディネーショントレーニングから始まり、ドリブルやパスのファンダメンタル、2メンおよび3メンのスペーシングなど、中学生年代で覚えておくべき基本的なドリルが行われました。最終日にはモーションオートマティックを行うための5人でのスペーシングや、動き出しのタイミングなどが指導され、選手たちはそれらを使って5対5のスクリメージを行いました。

 指導にあたったトーステン・ロイブルコーチはトップエンデバーを終えて、感想をこう述べています。
「今回の30名は大きな可能性を持った選手が多くいました。サイズのある選手もいれば、ポイントガードとしてのポテンシャルのある選手、ペネトレイトやトランジションの能力に優れている選手、そして男子U-16日本代表選手を上回るほどの運動能力を持っている選手もいました。今後は彼らを国際的に通用する、正しいポジションでプレイさせることが重要になります。ほとんどの選手が普段はインサイドでプレイしているようですが、大半はアウトサイドでのプレイすべき選手たちです。3日間という短い期間に少し指導をしただけでもスペーシングがよくなり、オフェンスの仕掛けもよくなって、正直とても驚きました。彼らが2年後の『第5回FIBA ASIA U-16男子バスケットボール選手権大会』の中心メンバーになるであろうことは、とても喜ばしいニュースだと思います」

 練習中、コーチの指導に対してしっかりと理解を示す声を出すなど、練習への意欲を見せていた木村 拓郎選手(青森・藤崎町立藤崎中学校 2年)は、「初日はみんなとコミュニケーションが取れなくて、うまく馴染めませんでしたが、2日目以降はみんなでコミュニケーションを取って、いい練習ができたと思います。チームではセンターをやっているのですが、今回はポイントガードのポジションで練習をしました。これからどのポジションになるのか分かりませんが、今の自分ができるプレイをしっかりやって、日本代表に呼ばれるようになりたいです」と、今後への抱負を語ってくれました。

 また、抜群の運動能力を発揮した三宅 翔 リーディローチ選手(沖縄・北中城村立北中城中学 2年)も、「チームではセンターですが、最終日のスクリメージではフォワードとしてプレイしました。初めての経験でしたが、前日までに練習したことで少しはフォワードとしての役割もできたかなと思います。ハンドリングやドリブルのドリルはうまくできませんでしたが、練習すればできるようになるのかなと思いました」と、こちらも一定の手応えを感じていました。

 閉講式で小倉 恭志スーパーバイザーが選手たちに伝えていましたが、選手たちは「ここで学んだもの、感じたことを継続することが大切」になります。

 U-14トップエンデバーは一方で、「指導者の育成」も大きなテーマにしています。そのため今回も9つのブロックエンデバーからそれぞれ推薦されたコーチと、自主参加されたコーチが数名参加していました。

 中国ブロックエンデバーから推薦された中村 高之コーチ(山口・岩国市立東中学校)は、「内容の濃い3日間で、そのなかでバランス――ただ技術だけを教えるのではなく、理解力や精神的にハッスルする気持ちなどのバランスが取れていないと、いくら技術ができていても、また体力があってもついていけないメニューになっているなと感じました。しかもそれらを行うとき、ただ強くプレイさせるだけでなく、タイミングよく、かつ技術を正しく使われなければいけないという視点は、私の今後の指導にも生かせそうです」と話していました。

 中村コーチは人一倍大きな声を出して選手たちを盛り上げ、うまくできていない選手がいれば近づいていき、ポイントを伝えるなどエネルギッシュに指導されていました。トーステン・ロイブルコーチもまた、彼のハッスルを認めており、「コーチにエナジーは重要です。選手はコーチの鏡ですから、コーチが一生懸命に取り組めば、選手も一生懸命に取り組むものです」と言います。中村コーチも「選手たちと同じく、我々指導者もトップエンデバーに参加できる機会はなかなかないので、自分が選手たちに伝えられることは出そうと思っていました」とハッスルの源を明かしてくれました。

 今後は3日間で学んだことをいかに地方ブロックに伝えていくか、トーステン・ロイブルコーチもそれを求めています。中村コーチ自身も「すごく可能性を持った選手がたくさんいるなと感じました。ただ普及の視点から見ると、まだまだ足りない面が多く、今回学んだことを持ち帰って、各地区でのベースアップが必要だなと改めて感じました」と言います。
 指導者にとっても、選手たちと同じように新しい発見や改めて気づくことのできた3日間でした。それを自チームや各地域に伝えていくことで、日本のバスケットボール界の底辺の拡大とレベルアップにつなげていきます。

 
■平成27年度U-14男子トップエンデバー 主な実施プログラム

■1日目 12月11日(金) 午後
・形態測定
・コーディネーショントレーニング
・クリニックⅠ
・フィジカル測定
・栄養指導(講義)

■2日目 12月12日(土) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・クリニックⅡ

■2日目 12月12日(土) 午後
・クリニックⅢ
・フィジカルトレーニング
・フィジカル測定フィードバック

■3日目 12月13日(日) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・クリニックⅣ
・スクリメージ

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。