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平成27年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン) 第3回キャンプ開催報告

2015年12月18日

積極的な取り組みを見せる丸山 遼選手(秋田市立飯島中学校3年)

キャンプを通して指導者の育成も図る

 12月5日(土)~7日(月)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成27年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマンキャンプ)の第3回キャンプを開催しました。

 今回は、これまで練習してきた「ペネトレーションテクニック」に加え、「パッシング」や「ポストディフェンス」といった新たな要素を取り入れた練習内容となりました。また、ハーフコートの片側での「3メンオートマティック」を行い、それに逆サイドの1人を加えたときのスペーシングなどを練習しました。

 選手たちはそれらに熱心に取り組むも、一方でチームオフェンスでは周りの状況を判断せずに強引なドライブにいくなど、難しい選択をしていました。すると、すかさずトーステン・ロイブルコーチが練習を止め、「形を簡単に崩してはいけない。オートマティックの動きをしていれば、チャンスは必ずできる。もちろん崩す判断をしてもよいが、それは状況を見て8割以上成功する可能性があるとき。スペーシングやパスの回し方はすごくよくなってきているから、これからはいつ崩していいか、崩してはいけないかの判断を覚えていこう」と注意を与えつつ、次へのステップアップを図っていました。

 トーステン・ロイブルコーチも認める選手たちの成長に、昨年度のジュニアエリートアカデミーにも参加した丸山 遼選手(秋田・秋田市立飯島中学校 3年)は、「昨年よりもレベルが高いイメージがあります。その中で自分はなかなかできないこともあって、悔しい思いもあります」と話します。地元に戻って課題にも取り組んでいますが、「自分は不器用で、コーディネーションスキルなどがなかなかうまくできません」と悔しそうに話します。一方で、さまざまな練習の先頭に立ち、スペーシングのドリルではチームメイトに声をかけながら、プレイを組み立てる積極性など、経験者ならではのリーダーシップを見せていました。

 ジュニアエリートアカデミーでは、指導者の研修の場として、アシスタントコーチの公募も行なっています(今年度は既に締め切り)。今年度は応募のあった中から各キャンプに3名ずつの指導者が参加しています。
 今回のキャンプでは、アシスタントコーチの1人が、丸山選手を普段指導している中山 元コーチ(秋田・秋田市立飯島中学校)でした。中山コーチはジュニアエリートアカデミーを通じた丸山選手の変化を、こう話します。
「目に見えてフィジカルコンタクトが強くなり、モノの考え方、目標の持ち方も変わってきました。彼はもともと意欲の高い選手でしたが、ジュニアエリートアカデミーを通じて、やるべきことをやりきる姿勢も、これまで以上にレベルアップしたなと感じています」
 中山コーチ自身も「15歳以下のゾーンディフェンス禁止などルールが変わりつつある今、日本のバスケットボールがどういう方向に進んでいくのか、最先端で頑張っている人たちと一緒に体験してみたかった」と、応募動機を語ってくれました。

 また、佐藤 容子コーチ(福島・南相馬市立鹿島中学校)は、昨年度に続き、2度目の参加になります。
「自分の指導がマンネリ化しないよう、心の入れ替えも含めて、また指導している子どもたちに新しい要素を取り込めたらいいなと思って応募しました」と話す佐藤コーチは、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の被災者の一人です。木造の家屋をすべて流され、形としては残った鉄筋の家屋も1階部分は使える状態になく、全て取り壊したそうです。
 その当時は高校男子のコーチをしていたそうですが、バスケットボールを専門とする顧問が赴任することで退き、そのままバスケットボールから離れようと考えていたときに被災。その年の新人戦から鹿島中学校の指導に携わり、「やはり私にはバスケットボールしかない。バスケットボールのある生活は楽しい」と思ったそうです。未曽有の大震災を経験しながら、それでもなお自分の指導がマンネリ化しないよう、日本のトップクラスのキャンプに参加しようとする意欲は、ジュニアエリートアカデミーの選手たちにも元気を与えているようでした。
「昨年度のキャンプでは1回の合宿に6名くらいのアシスタントがいらっしゃったので私も下がり気味に見ていました。でも今年度は3人体制でしたので、トーステン・ロイブルコーチの練習の意図が少しでも伝えられるよう、選手たちとも積極的に接触するようにしています。まだまだうまくいかない選手もいますが、一生懸命、前向きに取り組む彼らの姿勢が見られてよかったです」と、佐藤コーチは第3回合宿の感想をそう述べていました。

 水野 慎士コーチ(株式会社ERUTLUC)と合わせて3人のアシスタントコーチは、次回の第4回キャンプも参加します。丸山選手は中山コーチがいることに「緊張します。僕がデモンストレーションでシュートをミスすると、中山先生がプッシュアップをすることになっているので、いつも以上にシュートが入りません…まだまだメンタルが弱い証拠です」と笑いますが、それでもトーステン・ロイブルコーチ以外にも積極的に声をかけるコーチングスタッフがいることで、選手たちは今回も充実した3日間を過ごしていました。

 
■第3回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 12月5日(土) 午後
・スキルトレーニング
・フィジカルトレーニング
・栄養講習
・自主学習

■2日目 12月6日(日) 午前
・朝練習(シューティングドリル)
・スキルトレーニング
・フィジカルトレーニング

■2日目 12月6日(日) 午後
・スキルトレーニング
・フィジカルトレーニング
・心理サポート
・自主学習

■3日目 12月7日(月) 午前
・朝練習(全員参加の自主練習 ※個人またはグループで実施)
・スキルトレーニング
・フィジカルトレーニング

<練習メニュー 一部紹介>
キックパス&ディッシュパス
https://youtu.be/nEOrLeor-u0

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。

 
■第3回キャンプ 参加スタッフ

【バスケットボールスキル担当】
トーステン・ロイブル(男子ジュニア専任コーチ)

【フィジカル担当】
國友 亮佑(JBA)

【栄養指導担当】
小林 唯、石垣 小百合

【心理サポート担当】
奥野 真由

【トレーナー】
西村 航(JBA)

【映像撮影】
荒川 哲史

【ジュニアエリートアカデミープロジェクトスタッフ】
佐々木 三男(慶應義塾大学)、村上 佳司(國學院大學)、古海 五月(JBA)、本永 昌生(通訳)

【アシスタントコーチ(研修)】
中山 元(秋田市立飯島中学校)、佐藤 容子、水野 慎士(株式会社ERUTLUC)