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平成28年度U-14ナショナルジュニアユース育成キャンプ 第2回キャンプ開催報告

2016年10月14日

正しい姿勢でチームディフェンスを遂行する

クローズアウトなど基本的な動きをしっかりと身につける

 10月8日(土)~10日(月・祝)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成28年度U-14ナショナルジュニアユース育成キャンプの第2回キャンプを開催しました。
 第1回キャンプから約1か月が経ち、今回からは選考された男子18名、女子20名が残り3回のキャンプに臨みます。

 参加選手をさらに絞った狙いについて、山本 明 技術委員会ユース育成部会 部会長は「ハードルを越えていく経験、競争を勝ち抜いていく意識を強く持たせたいから」と言います。「(中学生クラスの)若い世代にそうした経験をさせるのは酷ではないかという意見もあります。しかしスポーツ選手はそうした経験をくぐり抜けていかなければいけません。世界で戦うスポーツ選手はそうしたメンタリティーを持っているのです」。

 もちろん今回の選考を通過したから、もしくは通過できなかったからといって、今後のすべてが決まるわけではありません。この選考を勝利と考えるのだとしたら、それは視野の狭い勝利と言えます。
「今、目の前にある勝利は日本の中だけ、もしくは自分の周りの人だけに勝つことを意味しています。視野を広げてみると、(男子に関しては)アジアの中でもまだ一番ではありません。そういう世界を知ってもらいたいですし、そういう考え方を持ってもらいたい。スポーツは勝利を求めるものですが、そのためには何が必要か。まずは全力を尽くすことです。しかしそれは決して簡単なことではなく、むしろ非常に大変なことです。しかし全力を尽くすことにチャレンジすることこそが成長にもつながっていくのです。そういう姿勢を中学生のうちから植えつけたいと思っています」。

 選考については男子を指導するトーステン・ロイブルコーチも、女子を指導する萩原 美樹子コーチも、「日ごとのパフォーマンスに波のある中学生を、2泊3日のキャンプだけで判断するのは非常に難しい」としたうえで、ともに「将来性に着目した」と言います。
 現時点でシュートスキルが高い、パスの技術が高いということだけでは判断せず、「コーディネーション能力の高さ、バスケットIQの高さ、身長が伸びる可能性や運動能力などを見て選びました」(ロイブルコーチ)。「ある程度のサイズがあって、今はインサイドプレイヤーであっても、将来はアウトサイドにコンバートできそうな選手を選びました」(萩原コーチ)。

 練習に目を移すと、男子は前回キャンプと同じようなドリルを、より複雑にした内容になりました。例えば、ディフェンスでは、オンボールスクリーンをどう守るかなど、将来、日本代表チームで使うであろう考え方も伝えられました。
「コーチ陣とも話したのですが、3年前に同じことをやったときは、まったくできませんでした。これは良いニュースです。ブロックエンデバーなどでも紹介していることで、少しずつ知識が浸透している証拠です」。

 ロイブルコーチはそう言うと、我慢強く育成することの大切さを説きます。
「モチベーションも上がっているし、やる気も感じられます。ですが、日本のコーチは若い選手に期待しすぎてしまいます。例えば、ディフェンスもコミュニケーションで声を出さないのは、彼らが怠けているからではなく、慣れていないだけです。間違ったことを言うのを怖れているだけなんです。何回も何回も声を出すことで習慣づけることができればよいわけです。成功はスプリント(短距離走)ではありません。マラソンです。今回はなかなか良いキャンプでしたが、まだまだできます。我慢強く続けていきたいと思います」。

 キャンプに参加した間山 柊選手(静岡県・裾野市立東中学校 2年)は、「前回よりもミスが多かったですが、習ったスクリーンや個人スキルを使ってうまく対応できたと思います。前回のキャンプを終えて、自主練習もしてきたので、周りを生かすコンビプレイもうまくできたと思います」とキャンプを振り返りました。

 一方の女子は、「(前回から)発展ではなく、少し基礎に戻っています」と萩原コーチは説きます。基本的には男子と同じコンセプトでキャンプを進めていく予定でしたが、想像していたよりもファンダメンタルの習得度が高まっておらず、「思い切ってできていないところまで戻した」と言います。
「各チームでセンターをやっている子が多いので、オンボールスクリーンの練習をしても、ついインサイドに行ってしまいます。そのため、スペースが生まれなかったので、スペースを作るところまで段階を戻しました。キャンプが始まる前にロイブルコーチとも話して、毎回テーマを決めてそれをやりきるのではなく、選手たちの状況を見ながら加減をしていきましょうということだったので、今回は少し戻ったわけです」。

 これも全4回ある育成キャンプのメリットと言えます。1回のキャンプで新しいスキルを身につけるではなく、選手の状況を見ながら、今必要なことをしっかり伝えていく。あと2回のキャンプで、男子と同じところまでは難しいにしても、女子もオンボールスクリーンを使ったチーム戦術の基本的なところまでは進みたいと萩原コーチ。これもまた、我慢強く育成をしていくことの大切さを物語っています。

 キャンプに参加した中野 麗選手(青森県・むつ市立田名部中学校 2年)は、「普段はチームでセンタープレイしかやらないので、初めてやる動きなどもあって、練習がレベルアップをしているように感じました」と言います。それでも20名に残ったことについて「嬉しいけど、プレッシャーもあります。ここに選ばれたら、まだ日本代表ではないけれども、青森県の代表として、また東北地区の代表として参加することになるので、その代表として責任を感じています」と、よい緊張感でキャンプに参加していることを示してくれました。

 男子の間山選手も、女子の中野選手も、ともによく声を出していた選手でした。間山選手は「声を出すことはミニバスのころから指導されてきましたし、自分が通っているクラブチームでも重要視されているので、それはこのキャンプでも同じだなと思って、声を出すことを意識して取り組んでいます」と言い、中野選手は「技術面では全然ダメだから、明るさと声でバスケットをやっています」と言います。

 2人の元気な声に引っ張られるように、練習から徐々に声が出始めてきたU-14ナショナルジュニアユース育成キャンプ。
 第3回キャンプは10月28日(金)~30日(日)の3日間で行われます。

 
■平成28年度U-14ナショナルジュニアユース育成キャンプ
 第2回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 10月8日(土) 午後
・形態測定
・クリニックⅠ
・講義(女子のみ)
・栄養指導
・食事指導
・フィジカル測定(女子のみ)
・スクリメージ(男子のみ)

■2日目 10月9日(日) 午前
・朝練習(男子のみ)
・クリニックⅡ
・コーディネーショントレーニング
・講義(男子のみ)
・フィジカル測定(女子のみ)

■2日目 10月9日(日) 午後
・クリニックⅢ
・フィジカル測定(女子のみ)
・シューティングクリニック(女子のみ)

■3日目 10月10日(月・祝) 午前
・朝練習(男子のみ)
・クリニックⅣ

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。