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平成29年度U12ナショナル育成キャンプ 第2回キャンプ&U13ナショナル育成キャンプ 第1回キャンプ 開催報告

2017年10月20日

U12とU13の合同キャンプはそれぞれを刺激し合うものとなった

4対4の実戦の中でリバウンドの重要性を学んだ選手たち

 10月14日(土)~15日(日)の2日間、平成29年度U12ナショナル育成キャンプの第2回キャンプ(最終キャンプ)を、また同時期、10月13日(金)~15日(日)の3日間、平成29年度U13ナショナル育成キャンプの第1回キャンプを、いずれも味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて開催しました。
 10月14日(土)はU12とU13がタイムスケジュールをずらして、それぞれのキャンプを実施しましたが、最終日となる15日(日)はU12とU13が合同で、しかし男女を別の時間帯にずらして練習が進められました。

 今回、U12とU13のナショナル育成キャンプを合同で行なった狙いについて、鈴木 良和コーチはこう言います。
「U12が最後のキャンプということもあり、また今回のテーマが『ベストを尽くす』ということなので、自分がこれまで磨いてきたものが本当に高いレベルに達しているかどうか。それを証明できるのは高いレベルの相手がいるときです。U12にとって1つ上のカテゴリーであるU13の胸を借りて、挑戦することで自分の至らなさを見つけたり、逆に自分の磨いてきたことが通用するかどうかがわかります。つまり挑戦する舞台を作るのが、最終日に合同で行なった狙いです」

 その言葉どおり、1対1や4対4の練習ではU12対U13、つまり小学6年生が中学1年生に挑むという構図がいくつも見られました。抜こうとするU12と、実際の学校にはいない下級生に負けられないU13。そうした意地がぶつかるなかで、どれだけ教わった技術を正しく出せるのか。男女ともに選手たちはそれぞれの挑戦をしていました。
「ナショナル育成キャンプに選出される選手は、自チームではもちろんのこと、地域でも抜きん出た存在だと思います。しかしそれで満足したり、慢心したりしている暇はありません。同学年でも全国にはまだまだ上手な選手がいますし、1つ年上という遠すぎないところにもすごい選手がいる。だからまだまだ自分を伸ばさなければいけないんだということに、このナショナル育成キャンプを通じて気づいてほしいと思います。すごい人たちを目の当たりにして、そこに追いつき、追い越そうと、地元に戻ったときのモチベーションになるような刺激になればいいと考えています」(鈴木コーチ)

 さらに、男子ではナショナル育成キャンプの価値を証明する、こんな場面もありました。昨年度のU12ナショナル育成キャンプを経験した2人の選手――角野 寛伍選手(神奈川県・厚木市立厚木東中学校 1年)と曽我部 嵐史選手(愛媛県・松山市立久米中学校 1年)は、1対1のドリルでシュートを終えたあと、攻守を切り替えてハーフラインまで1対1をしていたのです。これはコーチから指示をされていた練習内容ではありません。しかし彼らは「コーチに言われた以上のことを行う」という、昨年のU12ナショナル育成キャンプで学んだことを実践していたのです。
 シュートを打ったあと、余韻に浸っていると、実際のゲームではすぐに攻防の切り替えが起こり、アウトナンバーになってしまいます。それを想定して、1対1でシュートを決めたあとすぐにディフェンスの準備をする。オフェンスもすぐに切り替える。1年前に学んだことを、1年後のキャンプでも実践していたわけです。鈴木コーチは、こう話します。
「嬉しかったというとおかしいかもしれませんが、私たち指導者が伝えたメッセージを大切に使っていてくれるんだなと、彼らを尊敬しました。嬉しさとともに、指導者としてこれからも子どもたちに、これらのことを信じて伝えていかなければいけないと痛感しましたし、1歳ごとに年齢分けしたナショナル育成キャンプの価値は、こういうところにもあるんだなと感じることができました」

 今回のキャンプでも選手たちはさまざまなことを学びました。松岡 颯汰選手(兵庫県・舞子HANDOS)は、「これまでわからなかったドライブの抜き方や、ディフェンスで抜かれたときの動きを詳しく学ぶことができました。また目標設定の大切さも学んで、これらをチームに帰って伝えたいと思います」と言います。
 最終日、女子がスキル練習をしているとき、男子は研修室で「目標設定」の講義を受けていました。男子がスキル練習をしているときは女子がそれを行なっていました。松岡選手はそこにも学びがあったと認めているのです。

 山崎 真央選手(高知県・三里MBC)も、ドリブルの種類や体幹の大切さを学んだとともに、精神面での学びを語ります。「まずはU12ナショナル育成キャンプに選ばれたことが嬉しくて、でも選ばれたということは、他のチームからもそう見られることなので、私生活でもしっかりとした姿勢を見せていきたい」。スキルだけでなく、こうした精神面での気づきもナショナル育成キャンプにはあります。

 U13では、ナショナル育成キャンプ初選出となった中村 千颯選手(香川県・丸亀市立南中学校 1年)が「この中では自分が一番背が低く、周りは背も高いし、技術もあって、まだまだだなと感じました。でも通用したところもあって、いい体験ができました。技術的にはジャブステップを使った練習で、スピードではなく、相手の重心を捉えて抜くことを学んだので、それは学校に戻っても続けたいと思います」と言います。

 女子の高木 すず選手(千葉県・翔凛中学校 1年)は、昨年度のU12ナショナル育成キャンプにも参加し、「昨年よりもみんなの身長が伸びていたり、コンタクトが強くなっていて、まだまだだなと感じました」と、周りの成長に驚いていました。「でもそのなかで課題も見つかりましたし、自分が知りたいと思っていた1対1のドリブルのテクニックを学べたことはよかったです」と手ごたえも感じているようでした。

 男子41名、女子47名の大所帯のU12・U13合同のキャンプを終えて、鈴木コーチはこう総括します。
「選手たちにはいい刺激になったと思います。特に今回はU13の選手たちのエネルギーが素晴らしく、よく声も出していたし、練習を盛り上げてくれていました。それはU12が声を出していないということではなく、彼らも出していたのですが、U13と一緒に練習をすることで『もっと盛り上げられるんだ』『もっと一生懸命にやれるんだ』と気づき、それが彼らのスタンダード(基準)を広げます。そういう意味でもよい機会だったと思います」

 U12ナショナル育成キャンプはこの第2回キャンプが最終回。このキャンプでの経験を糧に、さらなるレベルアップを期待します。
 また、U13ナショナル育成キャンプ第2回キャンプ(最終キャンプ)は、11月3日(金・祝)~5日(日)の3日間、U14ナショナル育成キャンプの第3回キャンプと合同で行われます。今回U12の選手たちが自分たちに挑戦し、感じ取ったことを、U14の選手相手にも感じてもらいたいと思います。

 
■平成29年度U12ナショナル育成キャンプ 第2回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 10月14日(土) 午後
・クリニックⅠ:コーディネーションとファンダメンタルズ
・U13ナショナル育成キャンプ 練習見学

■2日目 10月15日(日) 午前
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅡ:1on1のオフェンスとディフェンス

 
■平成29年度U13ナショナル育成キャンプ 第1回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 10月13日(金) 午後
・クリニックⅠ:コーディネーションとファンダメンタルズ
・栄養指導
・食事指導
・講習(スポーツパフォーマンス他)

■2日目 10月14日(土) 午前
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅡ:1on1のオフェンスとディフェンス

■2日目 10月14日(土) 午後
・クリニックⅢ:パスファンダメンタルとリバウンド・トランジション

■3日目 10月15日(日) 午前
・朝練習(シューティング)
・クリニックⅣ:1on1のオフェンスとディフェンス

 
※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。