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2019年度 U15ナショナル育成センター (女子) 第2回キャンプ 開催報告

2019年12月5日

今キャンプのメインテーマは「オンボールスクリーン」

オンボールスクリーンからの選択肢を広げることを意識しよう

 10月25日 (金)~27日 (日) までの 3 日間、味の素ナショナルトレーニングセンター (東京都北区) において「U15 ナショナル育成センター (女子)」の第 2 回キャンプが行われました。

 今回のキャンプは「オンボールスクリーン」がメインテーマでした。スクリーンにはボールを持っている選手が絡む「オンボールスクリーン」と、ボールを持っていない選手同士の「オフボールスクリーン」の 2 つがあります。その 2 つのうち「オフボールスクリーンからすぐにオンボールスクリーンにつながるシーンがよくある」ことから、まずフィニッシュにつながりやすい「オンボールスクリーン」から学びました。

 20名の参加者のうち、約 3 分の 1 が普段の中学校、もしくはクラブチームでオンボールスクリーンを使っていると言います。裏を返せば 3 分の 2 はオンボールスクリーンを使わずに、1 対 1 やパッシングを中心に攻めていると考えられます。萩原美樹子コーチも「基本的には 1 対 1 が大事だと思っています。オンボールスクリーンを使うにしても、最終的には自分とディフェンスの関係性がわかったうえで 1 対 1 にいかないとダメだからです」と、第 1 回キャンプで行った 1 対 1 の重要性を改めて説きます。
 そのうえで彼女たちの世代でスクリーンを学ぶ意味をこう話します。
「15歳くらいになったら、少しずつ戦術や、コーチが意図したオフェンスに約束事が入ってくることに慣れてほしいと考えます。これまでは感覚を頼りにしたバスケットでも処理できていたことも、これからはチームで意図を持って、『ここで、こう攻めたいから、こう動く約束にしよう』というチームでの動きが加わってきます。今回のキャンプでオンボールスクリーンをテーマにしたのは、その入口だからです」

 ただし「入口」となると、どうしても説明が多くなってしまうと萩原コーチは認めます。
「まずは説明をしっかりして、そののちに実戦形式のなかで選手たちには教わったことを選択してもらいたいと考えています。あくまでも推測ですが、オンボールスクリーンを使ったことがある選手でも、練習の動きを見る限りでは、スクリーンのあとにユーザーがドライブに行くことくらいしか選択肢がないように思います。実際にはスクリーナーにもチャンスがあるわけで、そのための戦術でもあります。なおかつディフェンスを見て判断することを理解できれば、オンボールスクリーンは枝葉が広がっていきます。まだまだ選手たちは不慣れですが、やはりキャンプのコンセプトの一つが『国際ゲームを意識する』ことです。日本が国際ゲームではそれを使うかどうかは別として、諸外国は必ず使ってくる戦術なので、避けては通れません。少なくともこのキャンプを通じて考え方の整理だけはしてほしいと考えています」

 実際にも選手たちはなかなかポイントをつかめず、スムーズなオフェンスにならないこともありました。しかしトライアウト等を通じて選ばれてきた選手たちですので個々のレベルは高く、徐々に順応していきました。

 自チームでオンボールスクリーンを使っていないと言う森岡ほのか選手 (北海道・札幌市立向陵中学校 3 年) は、スクリーンのかけ方など難しいところはあったと言いながら「オフェンスもディフェンスももっと自分で工夫をしていかなければいけないと感じました」と前向きな姿勢を見せていました。実際に森岡選手は前回のキャンプで行った練習を自主練習に取り入れて、できなかったところを克服しようとしてきたと言います。「その成果は出せたと思います。練習で学んだ細かいところまで注意しながら練習できていたと思います」と自らのステップアップを実感していました。こうした姿勢は今後にもつながります。

 また、自チームでオンボールスクリーンを使っていると言う三宅亜弥選手 (神奈川・横浜市立名瀬中学校 3 年) ですが、普段はセンターのため、オンボールスクリーンも「かける側」、つまりスクリーナーだと言います。「これまではかける側だったので、今回使う側になったときに、チームメートのガードの気持ちになって『スクリーンがもっとこういう角度だったら使いやすいんだな』と学ぶことができました」。相手のことを理解できれば、それが自分のレベルアップにもつながる好例といえるでしょう。

 一方で、今はスクリーナーになることの多い選手たちも、これから先に使う側へコンバートする可能性も十分に秘めています。三宅選手は「使う側としてはディフェンスを見て次のプレーを決めないといけないのですが、そこはまだまだ練習が必要だなと感じました」と自らの課題を前向きにとらえていました。

 今年度のナショナル育成センターは、U13 を除いて、2 泊 3 日のキャンプがそれぞれ 3 回行われます。期間としては決して長くありませんが、そのなかで学んだことを意識して自チームでの練習に取り組めば、そこに成長のチャンスは広がっていきます。


※キャンプの様子はフォトギャラリーをご参照ください。