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【インターハイ2025 第3日 大会レポート】王者に挑んだからこそわかるもの
2025年7月29日
「令和7年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会」の第3日は男女の3回戦がおこなわれました。3回戦ともなれば、すべてのチームが少なくとも1試合は戦っているので、インターハイのコートに立つ緊張はやわらぎ、自分の、あるいは自分たちのプレーにフォーカスしやすくなります。一方で対戦相手のレベルも前日よりひとつ上がるため、プレーの質も強度も高くなっていきます。
そのようななか、昨年度のインターハイ王者に挑んだチームがあります。女子の昨年度の王者、京都精華学園(京都)と対戦したのは慶誠(熊本)です。京都精華学園と慶誠といえば、メンバーこそ異なりますが、昨年度の「SoftBank ウインターカップ2024」決勝戦と同じカードです。そのとき以来となる再戦を、慶誠の右田卓也コーチはこう振り返ります。
「前半のところで相手は決定力があって、自分たちは決めなければいけないシュートがなかなか入りませんでした。そこが勝つチームと負けるチームの差かなと感じました」
その言葉どおり、前半のスコアだけを見ると、18-51です。インターハイ3連覇中のチームに対して、後半の20分で33点差を逆転することは、不可能ではありませんが、難しいと言わざるを得ません。結果としてファイナルスコアは46-81で、慶誠の敗戦に終わりました。
ただ後半の20分だけを見ると28-30と競り合っているので、今後の積み上げ次第では慶誠の冬も楽しみです。同時に、夏の時点で京都精華学園と対戦できたことはよかったと、右田コーチは言います。
「やはり今の京都精華学園が日本一強いチームであることはわかっていて、そのチームに対して自分たちのやってきたバスケットがどれだけ通用できるかを一度試せたことは、今の自分たちが全国でどのくらいの位置にいるかという目印にもなると思うんです。何が課題かもわかりましたし、ありがたいことに私たちは今年度の「U18日清食品トップリーグ2025」に参加させていただくので、夏の課題を踏まえたうえで一つずつ経験していきたいと思っています」
課題は明白です。シュートの決定力を、強度の高いゲームのなかでどれだけ上げられるか。王者と対戦したからこそわかる次の課題に、これからの慶誠は取り組んでいくことになります。
男子の昨年度のインターハイ王者、東山(京都)と対戦したのは中部大学第一(愛知)です。前半を終えた時点で35-35の同点でしたが、ファイナルスコアは63-83。中部大学第一にとって20点差での敗戦という結果になりました。
「組み合わせを見たときから、(お互いが勝ち上がると予想して)東山にひとつの照準を合わせてきました。しかし、それ以上に今日は、近年の中部大学第一の弱さが露呈したゲームになってしまいました」
試合後、中部大学第一の常田健コーチは敗れた結果よりも、またそのゲーム内容よりも、「苦しいときにチームとして戦えなかったことが一番の敗因」と悔しがります。ゲーム内容についてはむしろ、前半にオンボールスクリーンからジャンプシュートを打っていくという戦略が機能していました。ただ、と常田コーチは続けます。
「東山は前日、苦しいゲームを勝ち抜いてきていますから、今日はそれを修正し、水を得た魚のように攻めてくるだろう。前半も同点で終わったけれども、ここからシュートタッチも上げてくるだろうし、前半と同じような展開にはならないと伝えたのですが、それが選手たちにうまく届きませんでした」
40分のゲームですから、そのなかで流れが悪くなることはあります。中部大学第一でいえば、第3クォーターの序盤、東山に一気に流れを持っていかれた場面がそうです。コート上の選手たちで流れを引き寄せる展開をつかめなかったことが、今日の東山戦では響いたと言えます。
常田コーチはこう続けます。
「選手一人ひとりが持っている能力はけっして低いわけではありません。ただそれを活かそうという考え方を持つ選手が少ないので、これから冬に向けてはもう一度、心技体がしっかり揃った選手を育てていく覚悟を持って、チームと向き合いたいと思います」
これもまた東山という強豪校と戦い、敗れたからこそ見つかった大きな課題です。常田コーチの覚悟に選手たちがどう応えるか。中部大学第一のこれからに注目です。
中部大学第一の常田コーチも言っていましたが、全国大会に出てくるチームで、弱いチームなどひとつもありません。それが3回戦ともなれば、相手が強いのは百も承知のはず。そこでどのように戦い抜いて、勝っても負けても、どのように学ぶかで、開いた扉の先の景色は変わります。強いチームとやるからこそ、わかること、あるいは、わかっていたつもりだけど、改めて足りないと気づけることがあるのです。
大会は佳境に入り、明日の大会4日目は男女の準々決勝がおこなわれます。
【放送・配信予定】
[全試合配信]
〇 インハイTV ※決勝は録画配信
〇 バスケットLIVE ※1・2回戦 / 決勝は録画配信
[男女準々決勝・準決勝・決勝 (放送 / 配信)]
〇 J SPORTS / J SPORTSオンデマンド
※一部試合は録画放送 / 配信
※女子準々決勝はJ SPORTSオンデマンドでの配信のみ
[決勝]
〇 NHK BS で男女決勝を生中継