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男子日本代表:名将フリオ・ラマスヘッドコーチがかけるマジックを間近で見てきた佐古賢一アシスタントコーチが語る「オーストラリア戦の勝利も必然だった」

2018年7月8日

勝利したオーストラリア戦をベースに指導にあたる佐古賢一アシスタントコーチ

練習中からフィジカルコンタクトを厭わないプレーが求められ、トップチームの合宿にも参加していた西川 貴之 (左)とシェーファー アヴィ 幸樹選手(右)が体現

 オーストラリアを破り、チャイニーズ・タイペイに完勝し、9月からはじまる「FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区2次予選(以下FIBAワールドカップ予選)」へ駒を進めたAKATSUKI FIVE 男子日本代表チーム。現在、第40回ウィリアム・ジョーンズカップに挑むチームが強化合宿が行っており、底上げを図っています

 フリオ・ラマスヘッドコーチの初来日からまもなく1年。昨年8月に行われたFIBAアジアカップ2017ではベスト8に残ることができず、実戦経験を積み上げられることなく早々に敗退。Bリーグのシーズン中に選手たちを招集し、ライバルたちよりも早くFIBAワールドカップ予選へ向けた準備をはじめていましたが、結果が伴わなずにうつむく日々が続いていました。しかし、Window3を迎える前にニック・ファジーカス選手(川崎ブレイブサンダース)の帰化が受理され、オフシーズン中の八村塁選手(ゴンザガ大学)が合流し、驚くようなスピードでチームは生まれ変わっています。ラマスヘッドコーチの片腕として、この1年間、強化に携わってきた佐古賢一アシスタントコーチは「オーストラリア戦の勝利も必然だった」と考えています。

「今回、チームとして大きく変わったのがコンタクトプレーに慣れた部分です。普段の練習からフィジカル向上のためにいろんな取り組みをしてきました。その向上がリバウンドにも現れ、前回(オーストラリアでのアウェーゲーム)は27本差(21:48本)で負けましたが、今回は6本差(44:50本)まで迫ることができました。この差はもっと縮めていける部分です」

 ラマスヘッドコーチは来日時から一貫した強化方針を図ってきました。常に世界のトップレベルとの戦いを想定していた指揮官と、2016年にFIBAリオデジャネイロオリンピック世界最終予選にこそ出場しましたが、なかなか世界との真剣勝負を継続的に体感できずにいる選手たちには大きなギャップがあったのも事実です。それが今回、バスケの母国で活躍してきた二人の新戦力の加入により“スムーズ”に動き始めたことを佐古アシスタントコーチは実感しています。

「ニックと塁の二人が加入したことにより、低い位置にあった日本のレベルが、一気にラマスヘッドコーチが求めている高いイメージまで引き上げられたことで、これまでにはないほど練習がスムーズでした。来日したときからラマスヘッドコーチは日本の足りない部分を単に補うのではなく、世界に勝つためのシステム的な戦術を教えてくれてはいましたが、なかなか日本人選手がイメージできないまま練習していた部分もあり、そのギャップを感じてもいました。しかし、ニックと塁という世界を知る選手が加入したことで彼らが良い潤滑油となり、Window3へ向かう合宿は本当にスムーズでした。オーストラリア戦は『行ける』という感覚を、練習の時から感じていました。伝え方の違いはあったかもしれませんが、チームを作っていく順序としてはラマスヘッドコーチが常に世界レベルを伝えてくれたことは間違えではなかったですし、そのおかげで一気にチームが生まれ変われたのだと思います」

 世界に勝つための策が浸透した結果、オリンピック常連国であり、Window3にはNBA選手二人を追加してきたオーストラリアを相手に、『79-78』で大金星を挙げることができました。「オーストラリア戦は相手に主導権を渡すことなくずっとガマンの戦いができていました。現体制にとっては大きな財産であり、今後の日本バスケの指針となります」と佐古アシスタントコーチは手応えを実感しています。この経験があるからこそ、これからジョーンズカップに臨むチームは「迅速にレベルアップできるチャンスがあります」と期待値も高まります。

「ジョーンズカップに臨む選手たちも、まずはアジアで戦うために何が足りないかを知り、一つずつ克服していかなければなりません。今回は全員が、ラマスヘッドコーチ体制になってから日本の課題点をひとつずつ改善をしてきたスタッフ陣です。その過程を見てきたからこそ、選手たちには明確に求めていくことができます」

 すでにはじまっているジョーンズカップチームの練習でも、激しいぶつかり合いはありました。しかし、「フィジカルの当たり方がまだまだでたらめすぎます」と佐古アシスタントコーチは指摘します。

「ただ勢いよくプレーしているだけなのでバテてしまい、そのために荒くなってしまっています。それでは簡単にファウルを取られてしまい、フリースローでの失点が増えるだけです。必要な時に必要な強度のコンタクトをすることを覚えなければいけません。今回のトップチームはそこでガマンができていたからこそ、粘ることができました」

 高さと能力を兼ね備えたファジーカス選手と八村選手のような逸材が揃っていること自体が希であり、ジョーンズカップチームのようなサイズでも勝機を見出していく必要があります。

「このサイズで勝つためには、フィジカルコンタクトを厭わないプレーをすることが絶対に必要です。それとともにターンオーバーの数を減らすこと。そのためにもスティールやルーズボールの数を増やすことが求められます。そう考えていくと、実は技術の部分はさほど細かくは必要ありません。闘志を持続できるメンタルが、このサイズで国際試合に臨むには不可欠です。常に戦う環境を練習中から作っていくことが大切であり、それを試合の中で発揮しながらビルドアップしていくことが必要です。それがトップチームにはできていましたし、練習の質がこれまでとは大きく変わった点です」

 若い選手も多いジョーンズカップチームですが、限られた時間で強化をしなければいけない日本代表にとっては猶予はありません。「本当に必要なところにフォーカスをして積み上げていく必要があります。ジョーンズカップではただ勝った負けただけではなく、自分たちがアジアでチャンピオンになるために何が足りていないのか、アジアや世界の強豪チームと対戦した時に自分たちの何が通用しているのかを見つけ出して欲しいです。そのイメージだけでも良いので、しっかり持って帰ってこなければいけません」と佐古アシスタントコーチは考えており、このメンバーから一人でも多くトップチームに引き上げられることも期待していました。

 オーストラリアに勝利した試合は、多くの選手たちが何かしらの形で目の当たりにしたことでしょう。日本が世界の扉を開くためにも、「日本全体であのレベルの戦いを求めていかなければいけません」と佐古アシスタントコーチは強調します。トップチームが取り組んできた強度の高い練習をジョーンズカップチームにも浸透させ、強化を継続しつつ、しっかりと積み上げています。

「オーストラリア戦は完全に自信になりました。同時に、オリンピックに向かっていけると強く感じられるゲームでした」