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平成25年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター) 第6回キャンプ開催報告

2014年3月10日

さまざまなシューティングドリルを実践

リバウンドに食らいつく


 3月1日(土)から3日(月)の日程で、味の素ナショナルトレーニングセンターにて、平成25年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター) 第6回キャンプを開催しました。昨年10月の第1回キャンプから約半年が経ち、最終回のキャンプとなりました。

■第1日目/3月1日(土)
12:00 開講式
13:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
14:30 シュータークリニック(日高 哲朗 コーチ/千葉大学)
    ビッグマンドリル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
15:30 フィジカル
17:00 チームビルディング
19:00 IT支援講習会(ビデオ編集)
20:00 フィジカルフィードバック

■第2日目/3月2日(日)
6:00 シューティング
8:00 自習時間
9:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
11:00 フィジカルトトレーニング
13:30 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
15:00 シュータークリニック(日高 哲朗 コーチ/千葉大学)
    ビッグマンドリル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
16:00 フィジカルトレーニング
17:30 個人練習(シューティングドリル) 
19:00 シュート動作解析(袴田 智子・稲葉 優希/国立スポーツ科学センター、日高 哲朗 コーチ/千葉大学)
    心理フィードバック(土屋 裕睦/大阪体育大学、奥野 真由/国立スポーツ科学センター)

■第3日目/3月3日(月)
6:00 シューティング
8:00 自習時間
9:00 バスケットボールスキル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
10:15 シュータークリニック(日高 哲朗 コーチ/千葉大学)
    ビッグマンドリル(トーステン・ロイブル コーチ/JBAスポーツディレクター)
11:15 フィジカル
12:30 閉講式

 最終回ということもあって、これまでの総ざらいとなる内容や対人のメニューが多く盛り込まれました。スクリメージでもこれまでキャンプで学んだ技術やルールを細かく条件づけ、より実践的なものに。「スクリーンケア!」「ピック、左にいるよ!」「ボールこっち!」といった本番さながらの声を掛け合いながらプレイをし、終了後、トーステン・ロイブルコーチから「指揮官に求められたゲームプランを正しく実施できれば、いい選手になれる」と講評を受けました。

 スクリメージでポイントガードの役割を担うことが多かった森山 翔太選手(大分・日田市立三隈中学校 3年/185cm)は、中学ではセンターポジションでした。
 「顧問の先生はポジションに関係なく技術を教えてくれましたが、ポイントガードの実戦経験はありませんでした。どの選手のシュートが当たっているかを見極める、明確な指示を与える、数少ないシュートチャンスを正確に決めるといった技術がないと、もう一歩上に行けないということがよく分かりました」と話しました。

 また、2日目の夜には第5回キャンプで実施したシュートフォーム解析のフィードバックも行われました。
 一人ひとりの解析データが冊子として手渡され、日高 哲朗コーチ、袴田 智子研究員、稲葉 優希研究員からデータの見方、自身のフォームの特徴や改善点などが伝えられました。ボールの回転のブレ、軌道の低さ、体の軸の不安定さなど、目に分かる形で浮き彫りにされた自らの課題にため息をついたり、思わず冊子を閉じたりしてしまう選手もいました。しかし講義終了後には、切り替えて新たな課題を克服するべく早速シュートを打ち始めていました。

 何人かのコーチに全6回のキャンプでの選手たちの成長について話を聞いたところ、特にフィジカル能力に大きな変化が出たという意見が多く出ました。部活を引退して体力や筋力が落ちやすい中学3年生がほとんどを占めるアカデミー生ですが、体力測定の項目や除脂肪体重(純粋な筋肉量)が飛躍的に向上しました。
 日高コーチは「体がある程度しっかりしてきたことに伴い、私たちの技術指導がうまく表現できるようになっていったと感じます。一番分かりやすいのは体幹。ジャンプして空中で手足を動かそうとするとバランスを崩しがちですが、おなか、背中、太もも、おしりという体幹部分の筋力が使えるようになるとそれがスムーズに行えるようになります」と説明してくれました。

 木村 優斗選手(北海道・小樽市立桜町中学校 3年/193cm)は「これまで走る練習をほとんどしていないので、2.25往復のインターバルトレーニングがすごくきつかったですが、前よりは断然走れるようになりました」。
 すでに進学先の高校の練習に参加しているという畠澤 諭選手(宮城・仙台市立長町中学校 3年/191cm)は「体幹が強くなったので、高校生相手にも押し負けずに戦うことができました。感謝したいです」と話しました。

 また、キャンプの当初から課題とされていた「コート上でのコミュニケーション」「エリートアカデミー生としての意識」も随分向上しました。
 上級生は下級生や周りを気遣い、下級生は上級生に気後れすることなく積極的にプレイしました。予定より15分早く開始する早朝シューティング、体育館入退場時の一礼、食事後のコーチングスタッフへの挨拶などは、大人たちから促されることなく自主的に実践する選手が徐々に増えてきました。
 「目を見て人の話を聞ける選手が増えました」とは心理カウンセリング担当の土屋 裕睦氏。また、佐々木 三男プロジェクト長、日高コーチもまた「プレイで指摘されたことを次のプレイですぐに改善しようという意識と行動が見られた」という成果を挙げました。

 約半年、計6回のキャンプを終え、1か月も経たないうちにアカデミー生たちは1学年ずつ進級します。佐々木プロジェクト長は、選手たちに以下のようなメッセ―ジを贈りました。
 「2泊3日の短いキャンプということもあり、毎回のキャンプにはたくさんのカリキュラムを用意しました。6時前から21時まで、バスケットボールだけでなく動画編集、勉強、チームビルディングなどの取り組みも加え『詰め込みすぎじゃないか』というご意見も多々いただきましたが、選手たちは乾いたスポンジのように多くのことを吸収してくれて嬉しく思います。心も体も技術も半年前から確実に向上してくれたとは思いますが、こことは異なるスタイルのチームで習ったスキルをどう表現するかは選手自身の資質に依ります。頑張ってほしいです」

 特に、高校に進学する中学3年生に向けても言葉をいただきました。
 「入学してすぐにスターターとして活躍するのは難しいと思いますが、そこでいかに自分の貯金をつくるかが重要になってきます。自主的にトレーニングし、自分の気持ちを消極的にさせないといった努力を必ずしてほしい。壁にぶつかったとしてもめげてはダメです。自分の足元をきちっと見てやっていってほしいです」
 そして、「いずれはU-16、U-18や日本代表などで活躍できる選手が出てきてほしいです」と語った佐々木プロジェクト長。ジュニアエリートアカデミーは、来年度も取り組みを続けていく予定です。

■平成25年度ジュニアエリートアカデミー(ビッグマン&シューター) 第6回キャンプ 指導スタッフ紹介 ※敬称略

【バスケットボールスキル担当】
トーステン・ロイブル(JBAスポーツディレクター)、日高 哲朗(千葉大学)、本永 昌生(通訳)

【チームビルディング・ライフスキル】
神田 義輝

【心理カウンセリング担当】
土屋 裕睦(大阪体育大学)、奥野 真由(国立スポーツ科学センター)

【IT(教育支援)担当】
糸満 盛晃(データスタジアム株式会社)

【フィジカル担当】
小山 孟志(公益財団法人日本バスケットボール協会)、國友 亮佑(江戸川大学)

【トレーナー担当】
西村 航(公益財団法人日本バスケットボール協会)
 
【栄養指導担当】
小林 唯(公益財団法人日本バスケットボール協会)

【シューティングメカニズム担当】
袴田 智子(国立スポーツ科学センター)、稲葉 優希(国立スポーツ科学センター)

【ジュニアエリートアカデミープロジェクトスタッフ】
佐々木 三男(慶應義塾大学)、村上 佳司(天理大学)
横嶋 暢貴(北海道立札幌工業高校)、古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)
尺野 将太(公益財団法人日本バスケットボール協会)、七川 竜寛(パナソニック株式会社)

【アシスタントコーチ】
島ノ江 耕平(株式会社リンクスポーツエンターテインメント)、関谷 悠介(東京成徳大学中学校)
田中 博昭(鳥取県立博物館)、木津 聡嗣(岩手県立福岡高校)
鈴木 誠士(東京都立蒲田高校)、菱沼 敏寛(狛江市立狛江第二中学校)
吉田 浩史(東京都立武蔵高校附属中学校外部指導員)、草柳 智紀(Risin-k)