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男子U23日本代表:GLOBL JAM(カナダ遠征)ラストゲームのカナダ戦で初勝利を飾り、成功体験を得て閉幕

2025年8月22日

ラストゲームで初勝利を飾り、笑顔を見せる男子U23日本代表

世界トップレベルを相手にコーチ陣も選手たちも自分に向き合いながら日々成長

 8月13日〜19日の期間、カナダ・トロントで開催された「GLOBL JAM」へ、男子U23日本代表が出場。地元カナダをはじめ、ブラジル、アメリカのジョージタウン大学とのリーグ戦は全敗。しかし、選手たちは学ぶ姿勢を持って自分と向き合い、試合毎に成長した姿を見せます。3位決定戦はカナダを相手に75-74と接戦を制し、ラストゲームに初勝利を飾ることができました。

 13時間の時差があるトロント。昼夜逆転する環境に短時間で順応して迎えたジョージタウン大学(アメリカ)との開幕戦。第1クォーターから14-28と差がつけられ、世界トップレベルの差を目の当たりにします。佐藤涼成選手(白鷗大学)と川島悠翔選手(シアトル大学)がそれぞれ9点を挙げましたが、53-88と得点が伸びないまま1敗目を喫しました。2戦目は優勝したブラジルに52-78と完敗。7月の第44回ウィリアム・ジョーンズカップでも失点は80点台以下に抑えられていただけに、オフェンスで「80点台を目指せば勝負できる」と網野友雄ヘッドコーチは強化し、今大会に臨みました。その片鱗が見られたカナダとのリーグ最終戦。17点を挙げた川島選手、10点の広瀬洸生選手(青山学院大学)が二桁で続き、積極的にゴールへ向かいます。80点まであと一歩届かず、74-89で3連敗となりましたが、1戦1戦成長が見られていました。

 日本以外の3チームが2勝1敗で並び、ジョージタウン大学とブラジルが決勝進出。リーグ戦では2点差で勝利したジョージタウン大学でしたが、決勝はブラジルが77-73でリベンジを果たして優勝。その前に、無観客で行われた3位決定戦の日本vsカナダは、40-43と僅差で前半を折り返します。第3クォーター中盤、7点差に引き離されましたが、残り2分31秒にウィリアムス ショーン莉音選手(白鷗大学)が3ポイントシュートを決め、52-52と同点。続くオフェンスで、14点と活躍した初先発の十返翔里選手(東海大学)のゴールで54-52と逆転に成功。流れをつかんだ日本は第4クォーターには最大11点差とします。終盤はミスからカナダに追い上げられましたが、75-74とリードを守り切って初勝利し、成功体験を得ました。3試合連続17点を挙げた川島選手は、大会前に話していた「得点を獲れる選手になりたい」という目標を体現します。

 男子U23日本代表の片峯聡太アシスタントコーチは今年の男子U18日本代表を率い、一気通貫を担います。「完成された世界のトップレベルと戦うためにも、U18世代のときに何をどこまで突き詰めなければいけないかを考えさせられました」と述べ、バスケ観が変わる経験をしてきました。

「戦術の遂行力が違い、その中で駆け引きする力はU18世代からある程度はできるようにしていかなければいけないことを痛感しました。U18世代から習慣化し、そこからU23世代に向かっていく段階でフィジカルをワールドスタンダードに持っていけるかが重要です。そのためにもU18世代の段階で、我々が成長させていかなければいけないことをあらためて自覚し、逆にまだまだできていないことを痛感させられたカナダ遠征でした」

 福岡大学附属大濠高校の監督であり、昨年は男子U18日本代表アシスタントコーチとして強化・育成に尽力する片峯コーチ。男子U23日本代表の半分の選手を直接指導してきたからこそ、「運動能力の部分でバスケをさせていたと感じました。足元の基礎的な部分をもっと徹底して練習させ、強度を上げることが大切でした。ステップを踏むことや止まることなど一つひとつの動作の弱さが、プレー自体の弱さやターンオーバーにつながっていました。この世代で浮き彫りになる課題ではなく、U18世代で解決してあげなければいけなかったとプレーを見ながら反省しました」

 トム・ホーバスヘッドコーチ率いるトップチームの練習を見る機会もあり、アンダーカテゴリーもバスケシステムのベースは同じです。ジャンプストップの練習はトップチームでも行われていますが、「基礎練習に関してはアンダーカテゴリーから取り組み、トップチームに選ばれた選手は当たり前にできる状態にしなければいけないです。逆に、トムさんから下の年代でもっとしっかり教えておくように、と与えられた宿題だと思いながら今は指導にあたっています」という片峯コーチは5年後を見据えた指導を心がけていました。

「5年後に向けた種蒔きをどうするかを常に自分に問いながら指導しています。もちろん目の前の勝利も大事ですが、5年後になりたい選手像に向かって花咲くようにするために、今何をやっていくべきか、そこに指導の根幹を置いています。今回、U18から5年後となるU23日本代表に携わる経験ができ、今いる選手たちはこれに優る姿にならなければいけないことを自分の目で見て、肌で感じて空気感を味わってきました。より洗練された指導を目指し、U18世代のトップ選手たちに遠慮せずに伝えていくことが自分の使命だと思っています」

 帰国するや否や、8月23日より開幕する「第33回日・韓・中ジュニア交流競技会」に出場する男子U18日本代表ヘッドコーチとして指揮を執り、早くも気付いたことを還元してながら強化に励んでいました。

■#SEETHERISE GLOBL JAM
日本 53-88 ジョージタウン大学(アメリカ)[BOXSCORE]
日本52-78ブラジル[BOXSCORE]
日本 74-89 カナダ[BOXSCORE]
3位決定戦:日本 75-74 カナダ[BOXSCORE]

優 勝:ブラジル
準優勝:ジョージタウン大学
第3位:日本
第4位:カナダ