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女子U16日本代表:FIBA U16女子アジアカップ 2025 総括「スキルを身につけていく必要があるとともに解決できる課題」鈴木良和ヘッドコーチ
2025年9月30日

試合毎にフィードバックし、選手たちの成長を促し続けた鈴木良和ヘッドコーチ

細澤幸生選手はコート内外でキャプテンシーを発揮
「FIBA U16女子アジアカップ2025」での女子U16日本代表は3位に終わりましたが、来年チェコで開催されるFIBA U17女子ワールドカップ2026への出場権を獲得。竹内みや選手(桜花学園高校2年)は得点(平均19.4点)とアシスト(平均6.6本)の2部門で大会トップに立ち、MVPとオールスターファイブを受賞。名実ともにエースとして大活躍でした。
鈴木良和ヘッドコーチは、「このチームには竹内選手というクリエイトできる強力な武器があり、そこを軸にオフェンスはデザインを考えていました」と信頼を寄せます。一方、エースを止めに来られたときに、「相手のディフェンスのちょっとしたズレやクローズアウトに対して仕留めきるスキルやオフェンス力がこれから磨いていかなければいけないテーマです」と来年の世界へ向けた課題を持ち帰ってきました。
予選グループフェーズ2戦目の中国戦へ向け、「山場であり、試合前には竹内選手と『出だしから自分たちで得点を取りに行こう』と話して臨みました」と言うのはキャプテンの細澤幸生選手(大阪薫英女学院高校2年)です。その言葉どおり、中国に先制されるも竹内選手、続いて細澤選手が3ポイントシュートを決めて勢いに乗せます。
「オフェンスでは得点を取りに行くことができ、リバウンドなど泥臭い部分でがんばることもできたと思います。相手のキーマン(#11Yuanshan Li選手/オールスターファイブ受賞)をマッチアップする役割でしたが、そこを止めきれなかったのが反省点です」と振り返る細澤選手は16点、10リバウンドで勝利に貢献。しかし終了間際に不慮のケガに見舞われ、残る3試合は欠場を余儀なくされました。「ベンチでは全員を鼓舞するような声がけをし、代わってスタートで入った小林(蘭)選手には特にアドバイスをしていました。用意してもらったスカウティングシートを見ながら、ベンチで相手がどういうプレーをしてくるかを叫んでました」とコートに立てなくてもキャプテンシーを発揮し続けます。
権藤寧々選手(聖カタリナ学園高校2年)はキャプテンが負傷欠場したからこそ、「コートの中では自分たち2年生から積極的にコミュニケーションを取ることを心がけていました」と合宿から変わらずチームを鼓舞します。シックスマンとして起用され、「1番できることは声を出したり盛り上げたり、あとはディフェンスで前から当たって少しでも相手のガードに負担をかけてスムーズにオフェンスにつなげることを意識しました」と話すとおりにスティール総数11本は交代する安井穂香選手(四日市メリノール学院中学校3年)とともにチームハイを記録。ディフェンスでプレッシャーをかけ続けました。
そのディフェンスに対し、「外からの1対1は止めることもできました。ミーティングではチームルールのポイントをコーチから伝えられ、40分間全員が遂行し、相手を苦しめることができたと思います」と加地百香選手(桜花学園高校1年)も手応えを実感します。ローテーション良く守れていた要因について鈴木ヘッドコーチは、「大会を通じて勤勉に良い読みでディフェンスは対応してくれました。目標には届きませんでしたが金メダル獲得へ目指し、そして来年の世界で戦うためにも“ショーハードの牙を研ぐこと”をテーマとしてきました。2戦目まではまだ理解が深まっておらず、試合毎に振り返り、対応策を確認しながらレベルアップし、選手たちがしっかり体現してくれました」と評価します。
唯一黒星を喫したニュージーランドとの準決勝。権藤選手は「コーチと面談した時もオフェンスでのターンオーバーが多いと言われていました。判断するときに迷いが出て、ミスにつながる場面が多かったです」と言えば、加地選手は「自分が決めるべきシュートを外してしまって勝てなかったと思っています」と続け、それぞれに悔やまれる反省点があります。フィジカルの強いニュージーランドに対し、「体格差で壊されてしまう部分はどうしても出てきます。だからこそ、この世代から体感しながらどうすれば体格差を上回ることができるかをつかみ、そのためのスキルを身につけていく必要があるとともに解決できる課題です。育成年代で解決することで、日本代表トップチームでは当たり前のようにインストールされる強化が必要だと感じました」と鈴木ヘッドコーチは述べ、パリ2024オリンピックから続く日本全体の弱点を克服するためにアンダーカテゴリーで取り組んでいます。体格差がありながらも選手たちは常にヒットファーストし、平均57.2失点に抑えることができました。所属チームに戻っても、その意識を継続することを鈴木ヘッドコーチは期待しています。
はじめての国際試合を終え、様々な差を実際に体感することで多くの発見を得られる大会でした。次は世界の強豪と対戦するチャンスをつかむため、ここから新たな競争がはじまります。
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