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煌めく青春 南関東総体2014(インターハイ) 大会第4日目 現地レポート -乗り越えた先にある未来-

2014年8月5日

20cm近く身長差のある帝京長岡#11タヒロウ・ディアベイト選手を相手に、果敢にアタックして勝利に貢献した洛南#13田邉 陸也選手

東海大学付属第四#7大内 誠選手が必死に守るも、桜丘#10モッチ・ラミン選手は55得点を挙げる活躍


 「平成26年度全国高等学校総合体育大会 第67回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は第4日目、今大会の男女ベスト4が以下のとおり決定しました。

■男子
洛南(京都)
明成(宮城)
福岡大学附属大濠(福岡)
桜丘(愛知)

■女子
桜花学園(愛知)
大阪薫英女学院(大阪)
聖カタリナ女子(愛媛)
昭和学院(千葉)

 女子はシード校の4チームが下馬評どおりの強さを発揮して、準決勝に勝ち進んでいます。昨日のレポートに挙げた注目の2年生エース2人は、ともに奮闘したものの全国トップクラスの“高い壁”を乗り越えることができませんでした。しかし壁は高ければ高いほうが、乗り越えたときに充実感を得られるものです。彼女たちを含め、ベスト4を目前にして敗れたチームには、ウインターカップに向けて、改めて“高い壁”を乗り越える努力を続けてもらいたいところです。

 “高い壁”といえば、もはや常態化している世界各国からの留学生も文字どおり“高い壁”となって、多くのチームの前に立ちはだかります。しかし当初こそ、彼らの高さ、強さの前に苦しめられる一方だったチームが、近年は多くのコーチがしっかりと対策を研究し、選手たちとともに練習を積んできており、以前ほど簡単に打ち負かされることもなくなってきました。

 男子の準々決勝1試合目、京都・洛南はマリからの留学生、#11タヒロウ・ディアベイト選手を擁する新潟・帝京長岡と対戦しました。206cmあるタヒロウ選手の高さに何度もやられる洛南でしたが、第4ピリオドの終盤、大事な場面で#9髙田 颯斗選手がフローターシュートを2本決めるなど、勝負強さを発揮して【74-63】で準決勝進出を決めました。

 そのタヒロウ選手を相手に、一歩も引かずにアタックし続けていたのが2年生の#13田邉 陸也選手です。187cmと20cm近くタヒロウ選手よりも背の低い田邉選手ですが、「試合前からファウルをもらっていこうと考えていました。相手の隙間を抜いて、フェイントからファウルをもらうのが僕のプレイスタイルなんです。イメージ通りのプレイができたと思います」と自ら納得する通り、タヒロウ選手からファウルをもらい、ポイントになるプレイを見せていました。「ただ今日はフリースローが入らなくて…。いつもはもう少し入るのですが、それは明日、しっかりと修正したいと思います」

 日本人にはない留学生の高さや強さは今も脅威の存在です。しかし彼らもファウルが5回しかできないというルールは他の選手と同じです。そのルールを上手く使うことができれば、勝機も開けてきます。周りの状況をしっかりと確認して、フェイントを使ったり、ステップを巧みに使って、タイミングをずらせばファウルを誘うことはできます。それを田邉選手はタヒロウ選手に対して行なっていました。むろん、洛南のインサイドは田邉選手だけではありません。3年生の#6富田 頼選手、#8岡田 卓也選手もまた、体を張ったディフェンスでタヒロウ選手を苦しめたからこそ、それがボディーブローとなってタヒロウ選手のスタミナを徐々に奪い、田邉選手のファウルを誘うプレイを生み出したとも言えます。そのように考えると、洛南はチームとしてしっかりと準備をした上で帝京長岡の強みを少なくし、勝利を飾ったというわけです。

 同じように留学生の高さ、強さに対する準備をしてきたのが北海道・東海大学付属第四です。しかし、愛知・桜丘のセネガル人留学生、202cmの#10モッチ・ラミン選手を止めることができず、【80-94】で敗れました。試合後、佐々木 睦己コーチも「もう少し抑えられると思ったけど、パスを出す選手にうまくプレッシャーがかけられませんでした。私が思っていた以上に選手たちが疲れていました」と振り返ります。留学生の高さや強さへの対策として、留学生を擁するチームと練習試合をしてきて、「彼らにプレイさせないポイントを教えてきたつもりでしたが、やはり本番の試合で同じようにやるのは難しかったようです」とも言います。

 そのモッチ選手とマッチアップをした東海大学付属第四の#7大内 誠選手は、「しっかりとコンタクトをして動かせないようにと指示があったのですが、思っていた以上に一歩が大きかったです。腕を使ってくる選手なので、オフェンスファウルを取ってやろうと思っていて、それは上手くできたところもあったのですが、最後は我慢できず、こちらがファウルをしてしまいました。慣れないメインコートで緊張があったのかもしれません」と悔やんでいました。

 経験を積むことでわかることが、バスケットでは多々あります。大内選手を始め、東海大学付属第四の選手たちもインターハイという大舞台で苦汁を飲まされたからこそ、秋の国体、冬のウインターカップに向けて、より留学生の高さ、強さをイメージしやすくなったはずです。大内選手も「ボールを持たれる前にどれだけ苦しめられるか。トランジションを早くして、自分が走ることで相手を疲れさせ、オフェンス力を下げさせるか。こうしたところが課題になると思います。あとは少し彼の高さを怖れたところもあったので、次は逃げないでしっかりと戦いたいと思います」と、今後の巻き返しを誓ってくれました。

 しかしウインターカップの前に、明日は南関東インターハイの準決勝が行われます。タヒロウ選手を翻弄し、準決勝に進んだ洛南の田邉選手は「明日も自分のプレイをしっかりして、明日こそはフリースローをきっちり決めたいと思います」と言い、同学年で、対戦相手の明成のエースセンター、#8八村 塁選手については「ドライブもできるし、パワーもテクニックもある選手。今日の留学生よりもいい選手だと思いますし、当たり負けしないようにして、明日も勝ちたいと思います」と意気込みを語ってくれました。

 ファイナルに進出するチームは果たしてどこになるのでしょうか。明日の準決勝は激しいゲーム展開になることは間違いありません。

■8月6日(水) 準決勝スケジュール [男子]船橋市総合体育館(船橋アリーナ)
10:00~ 洛南(京都) vs 明成(宮城)
11:40~ 福岡大学附属大濠(福岡) vs 桜丘(愛知)

■8月6日(水) 準決勝スケジュール [女子]八千代市市民体育館
11:40~ 聖カタリナ女子(愛媛) vs 昭和学院(千葉)
13:20~ 桜花学園(愛知) vs 大阪薫英女学院(大阪)

 煌めく青春 南関東総体2014の試合結果は、千葉県協会 大会特設サイトにてBOXスコア、レポートとともに掲載されています。また、JBA大会特設サイトでは、連日熱戦を繰り広げている今大会のフォトギャラリーを更新しています。是非、ご覧ください。
 さらに、今大会の試合の模様は、全国高体連公式 インターハイ応援サイト「インハイ.tv」にて、インターネットLIVE配信(無料)を行なっています。高校バスケの熱い戦いをお見逃しなく。