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平成29年度U13ナショナル育成キャンプ 第2回キャンプ&U14ナショナル育成キャンプ 第3回キャンプ 開催報告

2017年11月14日

ラダーを使ったドリブルファンダメンタルに取り組んだU13ナショナル育成キャンプ

U14の女子は日本の課題であるリバウンドに対する意識づけを実施

 11月3日(金・祝)~11月5日(日)の3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、平成29年度U13ナショナル育成キャンプの第2回キャンプ(最終回)、および平成29年度U14ナショナル育成キャンプの第3回キャンプを開催しました。
 3日間のうち、初日と2日目はU13とU14別のスケジュールで練習を行い、最終日は合同で練習を行いました。U13はU14の胸を借り、U14はU13の手本となるよう、ともによりよいプレイを心がけて3日間のキャンプに取り組みました。

 U14の男子を指導するエルマン・マンドーレコーチは、3回目のキャンプについて、「スピード」を一つのキーワードにしていました。
「選手たちはスピードを上げなければいけません。それは動きのスピードもそうですが、理解度のスピードについても言えることです。今行なっているオフ・ザ・ボールの動きもそうです。モダンバスケットはボールを持ってプレイする時間がすごく短く、ボールを持っていない状況でスペースを作り、動きながら、チャンスを作ることはどの国でもやっていることです。そのためにはスピードが重要になります。今回のキャンプはそれを目標にしてやりました」。

 もちろんコーディネーショントレーニングなどを行い、バスケットボールの基礎となるドリブル、パス、シュート、ディフェンスなども取り組んでいます。マンドーレコーチの言葉を借りれば「バスケットボールを覚える」こと、つまり基礎の部分もしっかりと行なったU14男子の第3回キャンプとなりました。

 受講した村瀬 拓憲選手(岐阜県・郡上市立八幡西中学校 2年)は「レベルの高い選手とプレイできて、貴重な経験ができています」と言い、自分でもいいプレイはできていると思う、と手ごたえも感じています。さらに「自分のチームと決まりごとが異なったりするので、そこは大変ですが、それもまた上のレベルのバスケットをしているんだなと実感ができて、嬉しいです」とも言い、3日間を集中して取り組んでいました。

 一方、U14の女子を指導するのは、先日インドで行われた「FIBA U16女子Asian選手権大会2017」で、女子U16日本代表を準優勝に導いた萩原 美樹子コーチです。萩原コーチは大会を受けて、「日本のドライブは通用すると感じました。ただフィジカルコンタクトがまだまだできていないので、フィニッシュがあまりよくありませんでした。またやはりリバウンドは大きな課題です。そうした課題はこの合宿でも地道に、強調して、少しでも選手たちの心に残るような経験をさせたいと考えています」と言います。

 実際、女子はフィジカルコンタクトをするようなドリブル、シュートのメニューを行い、またリバウンドで大切なボックスアウトの練習にも取り組んでいました。
 リバウンドで重要なボックスアウトについては、現時点ではまだまだ選手たちも甘さがあり、簡単にかわされてしまう場面が散見しましたが、萩原コーチが言うようにキャンプの中で地道に継続していき、少しずつ世界のスタンダードを植えつけていきます。
 U14の女子はそれ以外にも、モーションオフェンスをベースとした攻撃の、3メンアウトでのスペーシングや、オフ・ザ・ボールでのスクリーンプレーなどに取り組みました。

 U14女子の林 望愛選手(群馬県・桐生市立桜木中学校 2年)は、「自分に足りないものを学ぶことができて、できることも増えてきましたし、レベルの高い選手の動きなどを見て、学ぶこともできているので、いい経験ができています」と振り返ります。自分に足りなかったものを尋ねると「ボックスアウトです」とすぐに返してくれました。「これまであまり意識しなくてもリバウンドが取れていたので、その大切さを学ぶことができました」。
 さらに林選手は「ドリブルも接触があっても大丈夫な姿勢を学ぶことができています」と、萩原コーチが求めたいことを十分に理解して、練習に取り組んでいました。

 今回で最終回となるU13ナショナル育成キャンプは、U12がテーマにしていた「ベストを尽くす」に加えて、「影響し合うこと」つまりは「リーダーシップ」を一つのテーマにしていたと鈴木 良和コーチは言います。
「日本人の気質として謙虚や謙遜といったものがあり、それは逆に言えば相手に対してあまり影響を及ぼそうとしないとも言えます。それはそれでよい面もありますが、組織においては誰かがベストを尽くして、それが周りに伝われば伝わるほど、その組織は強くなるものです。影響し合ってよくなる。つまり自分の中だけで頑張っている状態から、U13ではそれをもっと周りに伝播できるようにしたわけです」。

 その狙いどおり、選手たちは男女を問わず、声を掛け合い、いいプレイにはハイタッチで応えるなど、いい雰囲気でキャンプが行われていました。鈴木コーチも「子どもたちからはエネルギーを感じましたし、取り組む姿勢も積極的でした。それが影響し合って、いい雰囲気を作り、今回はいいメンバーで、いいキャンプができました」と総括します。

 加えてU13ナショナル育成キャンプでは、練習の組み立て方についてもテーマを設けていたと鈴木コーチは言います。
「今回は『生命論的な練習』をメッセージにしました。逆は『機械的練習』。機械的とは、たとえば試合中にパスミスが起こった。すると次の練習ではパスの練習をする。その成果が試合に出て、パスミスが減り、試合に勝つ。一方の生命論的練習とは、パスミスが起きた状況……それが2対2とか、3対3であれば、その場面を切り出して、同じ状況、同じスペーシング、同じディフェンスでパスの練習をする。そうしてパスミスをなくしていくことです。どちらも成功することを目指しているわけですが、機械的だとどうしても練習と試合が別物になって、練習ではうまくできるけど、試合ではまた同じミスをするケースが多くなりがちです。しかも育成年代の先生方は限られた時間の中で練習をしているわけですから、ファンダメンタルはもちろん大切ですが、ファンダメンタルだけを取り出して、それだけを練習していても、技術はうまくなるけど、試合では勝てないことになります。ファンダメンタルを重視しながら、試合で使えるようにするために、今回は生命論的な練習に取り組みました。これもU13が示す一つのメッセージです」。

 さまざまなメッセージを伝えたU13ナショナル育成キャンプを経験した田中 歩希選手(兵庫県・宝塚市立宝塚第一中学校 1年)は「1回目のキャンプではいけそうだなと思っていたのですが、今回はできないことが多く、難しいと感じました。特にドリブル練習ではリズムを掴むのが遅くて、ミスばかりしていました。普段はあまりドリブルをする場面が少ないので、これからは練習してきたいと思います」と振り返ります。

 また、昨年度のU12から2年連続で受講することになった角野 寛伍選手(厚木市立厚木中学校 1年)は、「昨年度よりもみんなの身長が大きくなり、フィジカルも強いし、レベルが高くなっていました。でもその分、やりがいのあるキャンプでした」と振り返ります。そのなかで「ディナイの仕方や、オフ・ザ・ボールでの気の利いた動きなど、新たに学ぶこともできました」と、自らの幅を広げる合宿だったとも言います。

 バスケットボールの基礎をきちんと学びながら、一方で世界基準のファンダメンタルも教わるU13およびU14ナショナル育成キャンプ。U13は今回で終わりますが、ここから彼ら、彼女らがどう伸びていくかが楽しみです。
 U14ナショナル育成キャンプについては、次回が最終回となります。最後まで高い意識で臨めば、その分、自分に跳ね返ってくることも多いでしょう。
 少しずつ成長しながら、選手たちは3日間のキャンプに取り組んでいました。

 
■平成29年度U13ナショナル育成キャンプ 第2回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 11月3日(金) 午後
・クリニックⅠ:コーディネーションとファンダメンタルズ
・トレーニング
・講習

■2日目 11月4日(土) 午前
・朝練習(スキルトレーニング)
・クリニックⅡ:1on1のオフェンスとディフェンス

■2日目 11月4日(土) 午後
・クリニックⅢ:パスファンダメンタルとリバウンド・トランジション
・トレーニング
・講習

■3日目 11月5日(日) 午前
【男子】

・朝練習(シューティング)
・目標設定レクチャー
・スクリメージ(U13男子合同)

【女子】
・朝練習(シューティング)
・スクリメージ(U13女子合同)
・目標設定レクチャー

 
■平成29年度U14ナショナル育成キャンプ 第3回キャンプ 主な実施プログラム

■1日目 11月3日(金) 午後
【男子】

・トレーニング
・クリニックⅠ
・講義

【女子】
・トレーニング
・クリニックⅠ
・講義

■2日目 11月4日(土) 午前
【男子】

・朝練習
・クリニックⅡ

【女子】
・朝練習
・クリニックⅡ

■2日目 11月4日(土) 午後
【男子】

・トレーニング
・クリニックⅢ
・講義

【女子】
・トレーニング
・クリニックⅢ
・講義

■3日目 11月5日(日) 午前
【男子】

・朝練習
・目標設定レクチャー
・スクリメージ(U13男子合同)

【女子】
・朝練習
・クリニックⅣ
・スクリメージ(U13女子合同)

※活動の様子はフォトギャラリーにてご覧ください。