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FISUワールドユニバーシティゲームズ[5位決定戦]日本 71-47 ポルトガル 前回の銀メダル以上に価値ある5位「世界との差を強く感じた3つのポイント」小笠原真人ヘッドコーチ

2025年7月26日

チームをまとめて成長につなげた三浦舞華キャプテン

世界との経験を今後につなげる小笠原真人ヘッドコーチ

 「FISUワールドユニバーシティゲームズ」は最終日。女子ユニバ日本代表は、5位を懸けてポルトガルと対戦。第1クォーターから日本らしいディフェンスが機能し、19-4と引き離します。残る3つのクォーターも日本が上回り、71-47で快勝。この結果、今大会は5位で全日程を終えました。

 前回大会は銀メダルを獲得し、期待値が高かった今大会でしたが、「現地や日本からたくさん応援していただいたことに感謝します。だからこそ、メダルを逃してしまったのは申し訳ない気持ちがあります」という小笠原真人ヘッドコーチは今大会をこう振り返ります。

「今大会で驚いたのは、どのチームにも各国代表選手が3人ほどいたことです。特にヨーロッパ勢がかなり力を入れており、レベルが非常に上がっていると感じました」

 過去には女子U19日本代表のスタッフとして、FIBA U19女子ワールドカップも経験する小笠原ヘッドコーチですが、そこから3〜4年経ったこの世代の選手たちは「全く別次元のレベルでした。正直、U25ワールドカップと言っても過言ではないです」と述べ、リトアニアのコーチ陣も同意していました。日本もWリーグでのキャリアをスタートさせた選手を中心に構成されていますが、今大会のライバルたちは「すでにユーロリーグなどプロで活躍する選手や、各国代表としてFIBAユーロバスケットに出場する選手が多くいました。また、アジアにはないアンダーカテゴリー大会であるFIBA U20ユーロバスケットを経て、非常にタフになっていました」と真剣勝負における経験値の差は明確です。

 前回大会を経験した林五十美アシスタントコーチも、「格段にレベルが上がっています。だからこそ、前回の銀メダル以上に価値のある5位でした」という言葉にも、厳しい戦いだったことが伺えます。

 小笠原ヘッドコーチは、「ほとんどが接戦でした。ハンガリーと中国には僅差で敗れ、チェコとはダブルオーバータイムの末に勝ち切りました。今大会前にはドイツと練習試合を行い、こちらも辛勝でした。いろんなタイプの接戦を経験できたことが一番の収穫です。もちろん勝ち切れなかった試合もありましたが、世界と戦える手応えは選手もスタッフもみんなが感じることができました」と今大会を通じたプラス面を挙げます。一方、世界との差も痛感しました。

「日本がスピードとスリーポイントを武器にしているのは間違いないですが、他のヨーロッパのチームもアメリカに勝つために、同じように走ってスピードをつけてきており、スリーポイントを決めるバスケスタイルをしていました。その中において、特に感じたのは決定力の差です。日本もシュートチャンスを作り出せていたからこそ、そこを決め切る力が必要です。それに加えて、リバウンドや球際を含めたフィジカルの差です。また、日本の批判ではなく、笛が鳴る感覚がどうしても違っていることをあらためて感じ、育成年代から世界基準の笛に合わせて慣れていくことが必要だと思いました。これらが、世界との差を強く感じた3つのポイントです」

 世界との真剣勝負ができたからこそ、最終カテゴリーとなる女子日本代表トップチームへ一人でも多く引き上げられることがこのチームの大きな目的です。三浦舞華キャプテン(トヨタ自動車アンテロープス)は、ふたたび仲間たちと同じユニフォームを着て再会することを約束しました。

「メダルを獲ることができなかったことは本当に悔しいです。でも、それだけではなく、相手からいろんなことを学ぶことができ、自分の可能性にも気付けました。その感じたことをそのままにせず、これから日本に帰ってそれぞれのチームでたくさん練習して、次に会ったときにはレベルアップしたと思い合えるような関係になろう。それができることで、今大会が意味のあるものになります。みんなは可能性を秘めており、素晴らしい選手が揃っていました。今大会中も誰かが調子悪くても、誰かがシュートを決めて引っ張って、助け合える関係が楽しかったです。これから日本バスケをもっと盛り上げていけるようにがんばりましょう」

 コーリー・ゲインズヘッドコーチが就任後、最初に視察したのが女子ユニバ日本代表です。その目に止まるためにも、各所属チームでプレータイムを勝ち獲り、活躍することが求められます。小笠原ヘッドコーチは、「今大会を通じて感じたであろうシュート力やフィジカルの課題をしっかりと埋めていくことができれば、自ずとプレータイムも勝ち獲れるはずです。この経験を生かし、1人でも多く女子日本代表に行ってくれればうれしいです」と今後を楽しみにしていました。来年7月1日より、ここドイツで「FIBA女子ワールドカップ2026」が開催されます。アジア予選で2位となった日本は、来年3月の世界予選で出場権獲得を目指します。この中から、ふたたびドイツへ連れてくるような選手が現れることを期待しています。

■FISUワールドユニバーシティゲームズ 大会結果
優 勝:中国
準優勝:アメリカ
第3位:ハンガリー
第4位:ポーランド
第5位:日本
第6位:ポルトガル
第7位:チェコ
第8位:フィンランド
第9位:ドイツ
第10位:リトアニア
第11位:チャイニーズ・タイペイ
第12位:ブラジル
第13位:ルーマニア
第14位:チリ
第15位:アルゼンチン
第16位:インド