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第28回FIBA ASIA男子バスケットボール選手権大会 9日目結果 -準々決勝、日本はカタールを81-67で下し、18年ぶりベスト4進出。同時に来年のFIBAオリンピック世界最終予選の出場権を確保-

2015年10月2日

18年ぶりにベスト4進出を決め、自らの手で世界への切符を掴んだ

気持ちを全面に出し、22得点を挙げて勝利に貢献した#25古川 孝敏選手

 「第28回FIBA ASIA男子バスケットボール選手権大会(兼 2016年リオデジャネイロオリンピック アジア地区予選)」は決勝ラウンドに入り、日本は準々決勝のカタール戦を迎え、アジアで低迷する現状を打破する大一番。国歌斉唱時には選手、スタッフ全員が腰に手を当てて組み合い、試合に入る際にはカタールの選手が驚いて顔を向けるほど大声を張り上げ、気合十分に臨んだ一戦。序盤から日本のスタイルを全面に出してリードを握り、ディフェンスとリバウンドで我慢しながら逃げ切った日本が、81-67で勝利しました。この結果により、チームが目標に掲げたベスト4の壁を1997年以来18年ぶりに破り、今大会の2~4位に与えられる「FIBA男子オリンピック世界最終予選(2016年7月/開催地未定)」への出場権を確保しました。自らの手で世界への切符を掴んだのも18年ぶりとなります(2006年FIBA世界選手権は自国開催枠で出場)。

 「出だしから日本のバスケットをできたことが大きかったです」と長谷川 健志ヘッドコーチも納得の立ち上がり。「気合いが入っていたので、自然と攻めようという気持ちになっていました」と言う#6比江島 慎選手がファーストシュートを決めます。カタールは昨シーズン、日立サンロッカーズ東京でプレイした#5クリントン・ジョンソン選手(日本ではトレイ・ジョンソンの名で登録)に得点を挙げらますが、ゾーンディフェンスに切り替えると日本がリズムに乗ります。

 これまではマンツーマンディフェンスを主体として戦ってきた日本でしたが、「試合前からドロップゾーンをやろうと決めていました」と長谷川ヘッドコーチ。「このような大きな試合でゾーンディフェンスを機能させることができたのは、今まで海外遠征などで練習してきた成果であり、突き詰めてやってきた証拠」と自信に満ちあふれていたのは#15竹内 譲次選手。ゾーンディフェンスでしっかりプレッシャーをかけ、リバウンドを拾って速い展開に持ち込んで日本のスタイルを出し、第1ピリオドから28-13と15点のリードを奪います。

 試合開始3分、大黒柱の#15竹内選手がインサイドから攻めた際、相手のハードファウルで倒れてベンチに下がる場面がありました。しかし、代わって投入された#25古川 孝敏選手が奮起します。「気持ちを全面に出してやろうと感じていましたし、そういうプレイができたことで個人としても数字を残すことができたのだと思います」と話す#25古川選手は、第1ピリオドだけで11点を挙げる活躍。幸い#15竹内選手も大事に至らず、すぐさまコートに戻ったことで15点差をつけ、第2ピリオド途中には22点差までリードを広げました。カタールに3Pシュートで対抗されましたが、慌てることなく1本ずつしっかり返していく日本。途中交代で入った#42広瀬 健太選手や#24田中 大貴選手らが交代直後にしっかり得点を挙げ、46-32とリードしたまま前半を終えます。

 リバウンドがカギとなる言われていたこの試合。前半を終えて、18:14本と日本がリバウンドを上回っていました。#6比江島選手は、「どうしても競った場面でリバウンドでつながれて負けるのが今までのカタール戦でした。今日は気持ちで負けずにしっかりコンタクトをして、リバウンドを取れたことが勝因でした」と振り返ります。しかし第3ピリオド、#15竹内選手、#8太田 敦也選手、#17荒尾 岳選手がファウルを重ねてしまい、次々とベンチへ下がったことで、第3ピリオドを終え、23:26本とカタールにリバウンドで巻き返されます。得点も63-50とされると、第4ピリオド開始早々には3Pシュートを決められ、10点差まで迫られました。少しでも気を緩めれば、流れはカタールに傾いてしまう場面でしたが、それを凌いだのもリバウンド。「自分と太田、荒尾がファウルを重ねてしまった時に、古川や田中がしっかり全員でリバウンドつないでくれました」と、#15竹内選手はベンチから仲間たちの活躍に頼もしさを感じていました。

 40分間を戦い終え、81-67でカタールに勝利した日本は、1997年に2位でFIBA世界選手権(現:FIBAワールドカップ)の出場権を獲得した以来となる18年ぶりのベスト4進出を決め、チームが掲げた目標を達成しました。「選手たちが、耐えて、耐えて、本当に頑張ってくれた良いゲームでした」。ガッツポーズとともに、涙を流しながら長谷川ヘッドコーチは、この勝利の感想を話し始めました。「もちろん組み合わせが良かったこともあります。初戦でイランに負けた後、腐らずにその事実をみんなで受け止めて、その中でも良いところも出せていましたし、練習してきたことをちゃんと整理して臨めたことで、一歩一歩前進して今日があったわけです。ベスト4進出をティップオフミーティングの時に目標に掲げ、選手たちもそれに向かって積極性を持ち、全員がリーダーシップを持ってコートに立ってくれました。そういうメンタリティが成長したことが大きいです」

 「絶対に入るから大丈夫」と長谷川ヘッドコーチから声をかけられ、3Pシュート4本を含む22得点を挙げた古川選手。「大事な仕事が続いていく中で、自分たちは泥臭いことをしなければならず、キレイなバスケットをして勝てるわけではないです。そういう泥臭いことからしっかりやろうと思っていましたし、みんなが気持ちを前面に出して戦えました」と気持ちを強く持ち、みんなで戦ったことで世界の扉を開くことができました。

 この価値ある勝利に対し、#0田臥 勇太選手は「今日の勝ちは一つの目標でしたが、明日もあります。まだまだ絶対に勝てるチャンスは、どの国と対戦してもあると思っています。今日の結果だけに満足せず、もっと上を目指してやっていかなければいけないです」とさらなる高みを目指し、明日もチーム一丸となって準決勝に挑みます。

 明日、10月2日(金) 22:30(現地時間 21:30)より行われる準決勝の相手は、2次ラウンドの初戦で敗れたとともに、自信を持たせてくれたフィリピンに決まりました。リベンジするチャンスを得た日本は、再びモチベーションを高く持ってフィリピン戦に向かいます。
 準決勝・フィリピン戦の模様は、CS放送「フジテレビNEXT」にて22:20より生中継されます。また、試合経過や速報はFIBA大会公式サイト ライブスタッツ(英語)にてご覧ください。